染五郎、愛之助、勘九郎、七之助の明治座『五月花形歌舞伎』会見模様をほぼ完全掲載!

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2011年、16年ぶりに歌舞伎公演が復活した東京・明治座で今年も歌舞伎が上演されます。
今回は市川染五郎、片岡愛之助、中村勘九郎、中村七之助ら次代を担う花形歌舞伎俳優が明治座に集結!
それぞれが大役に挑む『五月花形歌舞伎』に期待が高まりますね。

さて、その興行の制作発表会見が3月21日、東京・人形町にある「玄冶店 濱田家」で行われました。

「玄冶店 濱田家」は、昼の部で上演する『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』の三幕「玄冶店」縁の地といわれています。美男美女が互いに一目ぼれしたことからはじまるふたりの数奇な運命を描く人気狂言。染五郎の与三郎、七之助のお富の顔合わせで上演します。
昼の部はほかに、親子の奇縁や未来へ繋がる主従の縁を描く『実盛物語』を勘九郎と七之助で。

夜の部は重厚なドラマでみせる真山青果作の『将軍江戸を去る』。染五郎と勘九郎のセフリフの応酬がみどころです。続いて、可憐な舞踊『藤娘』を七之助で、最後は宙乗りと本水を使った激しい立ち回りでみせる『鯉つかみ』を愛之助が勤めます。

人気花形俳優による歌舞伎の楽しさがギュッと凝縮された『五月花形歌舞伎』。

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げきぴあでは、会見の模様をほぼ完全バージョンでご紹介いたします!

――まず明治座公演への意気込みをお願いします。

染五郎
「明治座には一昨年、出させていただきまして、またこうして出演できることはありがたいです。一昨年の5月公演のときは、まだ余震が続く中でしたが、この(明治座での)興行が続いていくように願いをこめて懸命に勤めさせていただいた思い出があります。『与話情浮名横櫛』の与三郎は3度目です。ぜひ(上演機会の少ない)『赤間別荘』をやりたいと思っておりまして、それが今回念願が叶うということでほんとうに楽しみにしています。名作としてお見せできるよう勤めたいです。夜の部は『将軍江戸を去る』ですが、これは憧れていたお役です。それもなるべく若い年で勤めたいと思っていました。それがこの明治座で初めて勤めさせていただけるのは楽しみです。この興行が若手花形歌舞伎として熱い一か月になるように。新しい歌舞伎座の向こうを張って頑張りたいと思います」

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愛之助
「明治座は歌舞伎以外の舞台で何度か出させていただきましたが、やはり歌舞伎役者ですので歌舞伎で出させていただくのは嬉しいですね。今回勤めさせていただく多左衛門は初役でございます。そして伊勢守も初役なんですね。みなさまの足を引っ張らないよう頑張りたいと思います。『鯉つかみ』は永楽館というところで勤めさせていただき、今回2回目ということでさらにパワーアップをしたいです。わたくし、宙乗りをさせていただきます。"へぇー"でしょう?(会場・笑)。鯉の精がどんな形で飛ぶか、期待していてください」

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勘九郎
「一昨年の5月、初めて明治座に出させていただき、そのとき感じたのがとても使いやすい劇場だなと。前回、染五郎さんが『牡丹灯籠』をお勤めなさっていたとき、ぼくは 円朝で出させていただいて、しゃべっている声が届きやすかったんですよ。あと、楽屋がいろんなところに通じているので行きやすいです。昼の序幕に実盛という大役を勤めさせていただけるのは本当にありがたいです。以前大阪・松竹座でやらせていただいたとき、父に習ったんですけれども、父が初役で羽左衛門のおじさまに習ったときちょうどわたくし楽屋におりまして、父が教わっているのを見てました。声の出し方などを注意してやるように言われていたのを覚えてます。わたしも初めてやらせていただいたときに父から同じことを言われて勤めさせていただいた思い出深い役です。すごく好きな作品ですし、古典の時代物ですがファンタジーな部分もあったりして、歌舞伎初心者の方でも楽しめる作品だと思います。そして『見染』の金五郎。これは初役でやらさせていただくんですけれども、華やかに染五郎さんと会場を歩きたいと思います。『赤間別荘』(の上演)はすごく大賛成です。やはりこの場がないとなと思います。『将軍江戸を去る』、この時代が僕は大好きです。若い人たちが国を動かしていた幕末という江戸が終わるまさにその瞬間の時ですから。熱い男を演じられたらと思っています」

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七之助
「16年前の明治座の歌舞伎公演に実は出てまして。そのときは『重の井』の三吉という子役をやっていたんですね。それで一昨年の5月に16年ぶりに出させていただき、『牡丹灯籠』という当時の年齢では難しい役もやらせていただきまして。また、今回も濱田家さんに縁のあるお富という、とても難しい演目をここでやらせていただくのはすごくうれしく思いますし、料金も手ごろなので若い方に見てもらって歌舞伎を好きになってもらいたいです」

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――染五郎さんに質問です。『赤間別荘』をやりたいと思われた理由と挑戦の仕方について教えてください。

染五郎
「歌舞伎の見方はいろいろありますし、ストーリーを追うだけではない楽しみ方もあると思いますが、『与話情~』のお話として、『赤間別荘』があることによって、どうやって玄冶店の切られ与三郎になるかというところをお見せすれば、見やすいお芝居になると思います。それによって玄冶店のかけ引きもわかりますし。とにかく与三郎が好きなので、それをわかり易く見せたいという気持ちです」

――与三郎役にはどんな思い入れがあるのでしょうか?

染五郎
「若旦那ですから切られ与三郎になったとしても、かわいらしさがあったり、とても魅力的な役です。前回やらせていただいたとき、玄冶店で着る衣裳を作ったんですが、そのとき2種類作りまして。前回のときはお値段が安いほうで、今回は高い方を着ますのでそれもぜひ楽しんでいただければと思ってます」(会場爆笑)

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――愛之助さんに質問です。『鯉つかみ』では宙乗りもして、本水の立ち回りもあるのでしょうか?

愛之助
「はい、本水を使わせていただきます。鯉から人間の形に変身するところを見ていただきたい」

――早替わりも大変そうですね。

愛之助
「そうですね。失敗しないように頑張りたいと思います」

――永楽館と舞台の大きさがだいぶ違いますが。

愛之助
「そのときは宙乗りしませんでした。永楽館は狭いところなので水を使うのに苦労しましたが、今回は場所も用意していただいたので思う存分暴れたいと思います」

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――染五郎さん、勘九郎さん、七之助さんに質問です。前回の明治座公演のときは震災直後でしたが、当時のエピソードは何かありますか?

染五郎
「まずは舞台を勤めさせていただく場を与えてもらい、そこで大勢のお客様に見ていただけたのはありがたかったです。日々さまざまなことを考えながら、舞台ができる場を大切に、次に繋がるようにという気持ちで勤めました」

勘九郎
「当時は震災2か月後でしたから、芝居を今やってもいいのかという気持ちはありました。それでも僕たちに何ができるかを考えて、お客様が笑顔になって、その笑顔の輪が広がっていったらいいなと思って勤めました。震災で団体のお客様がすべてキャンセルになった中でも来ていただいたお客様には感謝しています。節電という状況もありましたが、みなさま方の協力でできた、力をあわせて舞台を作っているんだと改めて感じた公演でした」

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七之助
「お芝居ができる場があるという喜びと、『牡丹灯籠』は僕の中でも思い出深い役のひとつです。2役早替り(お峰/お露)というあり得ないことをしていたんですが、最初のころは照明をつかって茶色の(顔の)ままでお露をやって、暗いから大丈夫だろうとそんな安易な考えでやってたんですけど、ぱっと染五郎さんを見たら、ありえないスピードで白くなったり茶色くなったり、"この人は何なんだっ!"って。ぼくもこんなことをしてちゃダメだなと思い直して、途中から決死の覚悟で早替りしたのを覚えています。やれないからと言って小細工するのは誰でもできるんですけど、やってみて失敗したっていいじゃないかと、ちゃんと行動で見せてくれる先輩はすごいなって思いますね。うちの父親もそういう人だったので、あらためて身近で感じさせてもらって七之助としても役としても思い出深いものになりました。その素敵な染五郎さんからいただいた化粧水は今でも使っています」(←染五郎は隣で照れ笑い)

――染五郎さん、勘九郎さんに質問です。『将軍江戸を去る』はセリフ劇ですが、その魅力と難しさについて教えてください。

染五郎
「真山青果が本当に大好きでして。その言葉の強さ、言葉に血が滲んでいるような強さがあります。それをなんとか体現したいと思っています。時代が変わる歴史的に大きな日の話で、ほんとうに言葉の応酬ですが、日本語の力強さを感覚として感じていただけるように演じたい。あでやかさはないですが、言葉でみせるパワーを感じて欲しいなと思います」

勘九郎
「言葉を大切にしていた作家だと思います。自分が言葉を発したときに、お客様に伝わらなきゃいけないと思います。感情が先行してしまって、言葉が聞き取れなくてはいけないですし、浴びせられる言葉がひとつひとつ胸に刺さるので、そこを見せられたらいいなと思います」

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――七之助さんに質問です。『見染』のお富の色気についてどう演じたいですか?注意すべきところはありますか?

七之助
「『見染』は注意することは何もないです。自分が世界一美しいと思って出ないと成立しない。よくあんな恐ろしい芝居を書いたなと。初役でやらせていただきたときこんな恐ろしい芝居はないと思いました。あっ、ぼく浮気ものなんです。今回同じ座組みに与三郎がふたりいて(←浅草公会堂でも愛之助の与三郎でお富を演じている)。舞台稽古はしなくていいです。舞台稽古のとき客席に出たら、一列に仁左衛門のおじさま、玉三郎のおじさま、うちの父親、左團次のおじ様が並んでいて。そのとき兄は、舞台を見に行こうと思って、ふっとみたらその4人が並んでいるのをみて引っ込んだんですよ(笑)。それくらい、何もないんですよ、ほんとうに。ただ風情。だから何も考えずにやろうと思います。お客様がなんだかわからないけれどいいなと思ってもらえたら成功だとぼくは思います」

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―明治座で『玄冶店』をやる意気込みをお願いします。

七之助
「ほんとに何にもない。成立しているのが奇跡。むかし与三郎をやりたくて父にやりたいといったら"ほんとか!?"って言われました。父はあまり好きな役じゃなかったみたい。玉三郎のおじさまに聞いたら"無心で自分が一番美しいと思ってやらないと成立しないよ、自信をもってやりなさい"といわれました」

染五郎
「ぼくはとにかく高いっていう衣裳(会場笑)。風情でみせるというか、おおらかに見ていただきたいですね。やるほうも理屈を考えずに。ぼくはとにかくお富が好きという気持ちでやります」

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会見はここまでです。
この後囲み取材があり、マスコミから熱愛報道されている愛之助に質問が集中。
「春爛漫ですけれども恋も満開でしょうか?」との質問に「幸せですよ」とリップサービス。
横で聞いていた勘九郎がマスコミにつっこまれると「いやいやオヤジギャクなんで」と言いつつ「"鯉(恋)つかみ"だけにね」と言うと愛之助が「ちょっと待ってよ〜、見出しになるようなこと言わないでよ」と大慌て。最後に染五郎が「出し物は何ですか?」と愛之助に振ると「『鯉つかみ』です」としっかり公演をアピールしていました。
チームワークもばっちりな楽しい会見でした。

公演は5月3日(金・祝)から27日(月)まで同劇場にて。
チケットは3月28日(木)より一般発売開始。


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