福岡を代表する劇団・ギンギラ太陽'sの最新公演は、2006年上演の「スーパーマーケット三国志」に大幅に手を加えた「決定版」です。今や全国に名を轟かせる彼らですが、今回も地元福岡を題材に、役者は「かぶりモノ」を被り、「モノ」を擬人化することで物語が綴られます。
主宰であり、作・演出・出演・かぶりモノ造型まで一手に担う大塚ムネトに舞台の見所を聞きました。
■ホームグラウンドの西鉄ホールではなく、規模の大きなキャナルシティ劇場での公演
「いつものように、ギンギラチックなおばかをやりながらも、広いので、吊り物を使った、立体的に場面を見せる演出もできますね。キャナルシティ劇場といえば、劇団四季の磨きぬかれたエンターテインメント作品を長く上演してきたところです。特別な劇場ですから、そこに出るという気持ちの高ぶりが大きいんですよ。豪華な器が準備できたので、活きのいい材料を集め、素材のおいしさを生かした、地産地消の、お正月"おせち料理スペシャル"」みたいなことになるのかな(笑)。」
■「スーパーマーケット三国志」について
「「スーパー歌舞伎」と三国志が大好きで、もともとはそれをやりたくて。福岡でやるならなんだろうな・・・というミーハーな気持ちから始まった企画なんです。取材を始めて、ショックだったのは自分にとって小さい頃から街にあったモノが忘れられている、記録にも残っていないという事実。忘れられてしまったモノを忘れさせないぞ、と気合が入りましたね。驚いたのはスーパーの歴史自体が福岡から始まっていたこと、発見の連続で、やっぱり「福岡の物語」として描くべきだったのだと気づいたんです。」
■かぶりモノが活躍する面白さ
「かぶりモノってある意味、飛び道具的な側面があるじゃないですか(笑)。初期は表面的に使っていたので、飽きられるときがくると思っていたんですが、福岡の街の物語を擬人化して描くということでやりかたによってとてつもない奥行きを感じはじめました。
僕がやっているのは、一番安上がりな"都市の再開発"だと思うんです。その表現をするためのツールです。かぶりモノで(シンボルとしての)キャラクターを集約しているので、あるときは明治の創業者の言葉をしゃべり、あるときは現在の現場の方の思いをしゃべることもできます。擬人化したモノの器に集約することで、時間も越えるし、一人の物語にも一万人の物語にもなりえることに気付いたんですよ。」
写真/PHOTO WORKS 藤本彦
切り口がたくさんあるので、世代を超えてみんなで楽しめる、正月にみんなで集まって楽しめるという、まさに"おせち料理"のような公演に期待しましょう。
ギンギラ太陽's スーパーマーケット三国志 決定版は1月5日(土)と6日(日)に福岡・キャナルシティ劇場で上演