『ルドルフ』第2回トークショーレポート

■集中連載『ルドルフ ザ・ラスト・キス』 第14回■

ミュージカル『ルドルフ ザ・ラスト・キス』
、いよいよ今週末までとなりました。
行きそびれている方は、いまのうちですよ!
その魅力を追っている集中連載、最後の更新は、7月23日に行われた第2回トークショーのレポートです。

出席者は井上芳雄さん、坂元健児さん、一路真輝さん、村井國夫さんの4名。Rudolf2012_1400.JPG村井さんや一路さんがアフタートークにご出席されるのってかなりめずらしい!?
井上さんも「大先輩の3人とトークショー、大変やりにくいなと思って(笑)でも貴重な機会だと思い僕も楽しみにしています」と挨拶されていました。
ちなみに一路さんは「なぜか女子の方(第1回の、和音さん&吉沢さんが出席した回ですね)に呼んでいただけなくて。なんで私がこちらにいるのかわからない...」とこぼしていました。

今回も、お客さまから募った質問を中心にトークは展開。
まず井上さんには「2幕はじめの場面でベッドを回されていますが、目はまわらないのでしょうか」

「実は全然目はまわらないんです。中心にいるのでどこを向くのも自分で選べるので。たぶんベッドを回している方のほうが目がまわっているんじゃないかと。あとは、実は隣にマリーが寝てるんですが、マリー(和音美桜さん)が目がまわっているかも」
と答える井上さんに村井さんが「いや、"暑い"って言ってた!」

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続いてラリッシュ役の一路さんへの質問は「『エリザベート』では息子役を演じた井上芳雄さんのルドルフですが、演じられていて時として母の気持ちが蘇ってしまうことはありますか?」です。

一路さん、ひと言力強く「ありませんっ!」Rudolf2012_1403.JPGそのあとはこんなかんじのやりとりが。

一路「私は役によってちゃんと切り替えているつもりなんですけれど、お客さまの方にそう思われる方が多いみたい。芳雄さんとは長いお付き合いですので、息子から、愛人から...」
井上「パトロンとかね」
一路「パトロン...?何だっけ(小声で)」
井上「(小声で)モーツァルト!」
一路「ああ!すみません(笑)。とにかくいろんな作品でご一緒させていているので、お客さまの方が重ねて観られるみたいですけど、私自身は一切ないです。今回はいとこ同士であり、信頼している人間関係であるというということだけです」
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村井「僕はおじいいちゃんをやって(『エリザベート』かな?)、人生の師をやって(『キャンディード』ですね)、おじさんをやって(『ハムレット』ですかね?)、今回は息子...。混乱することは、ありませんっ!」
井上「一路さんが仰ったんだったかな。何回も共演する俳優さんっているじゃないですか。同じ方といろんな役でご一緒できるというのは、かつてどこかの世界でとても縁があって、だから現世で何回も...」
一路「あたし、そんな話してない...」(客席笑)
井上「(笑)。じゃあ、一路さんと一緒にやってたときに別の人が言ってたんです。だから何回も何回もいろんな役でお会いできる方はすごく縁が深いんだって話を訊いて、僕もそれからはそう思えるようになりました」

井上さん、一路さん、村井さんはきっととっても縁が深い、ってことですね。

話をまぜっかえしては客席の笑いをとっていた村井さんですが「でも毎回その役によって、(井上さんの)目が違うんだよね。今回のルドルフは前回のハムレットとは僕を見る目が違う。そういう意味では今回はすごく感じるものがありますよ」と、素敵にまとめていました。
Rudolf2012_1407.JPGRudolf2012_1408.JPG
お次の質問は「ルヴォーの演出を受けられた感想」です。

特に、志願した、と公言している村井さんは「それを話すと2時間くらいかかっちゃう...」と言いながら、
「ルヴォーの演出は僕は19年前にストレートプレイで一度受けています。非常にスタイリッシュであることは、皆さんご覧になってわかると思うんですが、その上でぎりぎりの線で、人間の奥に潜んでいる欲望とかを描いていきます。僕(フランツ・ヨーゼフ)は国を守る、息子(ルドルフ)は自由主義という甘い言葉に傾いている...まあ若者というのは絶対に権力に抵抗するわけですから、それを絶対的な権力で抑えるという、最初のふたりが言い合うところも、デヴィッドは「もっと、もっと」ってすごく言って、こんなに言いまくっていいのかってくらいでした。僕たち日本人だとちょっと情緒的になるところをばっさりと切って、そういうところではデヴィッドの考え方では親子の関係も違いますしすごく刺激になりました。それに俳優さんひとりひとりを美しく見せる術を持っていて、特に女性の描き方に惹かれるものがあります。見ていてうらやましいくらいに丁寧に描いています。本当に稽古場にいて幸せな夢をみさせていただきました」と、熱弁!Rudolf2012_1404.JPGターフェ役の坂元さんも「最初に僕は、(ターフェを)悪だと考えないでくれと言われました。...僕は「当たり前だ」と思ったんですが(笑)。ルヴォーは人間の胸の中、人間性とかを、生活の中で生まれてくるものから引き出してくれる能力がすごくあって、セリフには表れていない心情とかを良く見ていて、すごく勉強になりました。自分の中ではターフェという存在が、嫌なやつかもしれませんがすごく理解できる。それはルヴォーが導いてくれたんだと思います」Rudolf2012_1402.JPG井上さんも「坂元さんがおっしゃったように、ひとりひとりが自分の役に、何の疑問も、理解できない部分を抱かせないように全部説明してくれて、それでいて、2時間半のお芝居の中でずっと気持ちが繋がるように演出してくれた。しかもその都度、素敵な言葉をくれるんですよね。ダメ出しのときも。思わず台本に書き留めたくなる言葉。ふだん僕、書き留めたりしないんですが、これは忘れないでいたいという言葉がたくさんあった!」と話していました。
井上さん、坂元さんへのダメ出しも書き留めていた、と言われ
「それはターフェに言ってても、そうか自分の役を演じるときもそう思ってやれたらいいなとか思うんですよ。「言葉を発するときはただ言葉を発するのではなく、発することによって相手を変えようとしたり変化を期待したりしている」とかそういうことがひとつひとつ。あとは「呼吸しなさい」とかね。たしかに舞台上で気合い入る過ぎると息が止まってるみたいな状況によくなっちゃうんで、「呼吸して普段どおりでいるあなたたちが一番素敵なんだ」って言ってくれた。励まされるというか、勇気付けられる」
井上さんもルヴォーを語ると熱くなってきました。皆さんが語るルヴォー像、素敵ですね。

一路さんも、「すごく褒めてくれる。でも褒めをきちんと受け取って、そのかわり批判も受け止めてくれって言われました」と話していました。



ターフェ首相・坂元さんへは、劇中のワンシーンへの質問です。
「ラリッシュがソロで歌っているシーンで、ターフェは上手のバルコニーでピストルを渡しますが、その意味するところは?」

言っていいんでしょうかねえ...と逡巡する坂元さんに、村井さんからのGoサインが出て、「村井さんの許可がでましたので(笑)。あれは(ルドルフの)暗殺計画です」と教えてくれました。
ホントは感じ取ってほしいんですけどね...と言う坂元さんに、「それがわからないというのはサカケンの演技がもうひとつってことだよ!」と村井さん。
それには「拳銃が小さすぎるんですよね...」と返す坂元さんでした。Rudolf2012_1406.JPG
最後は「ご自身の役以外で演じてみたい役は?」という質問。

井上「マリーに出会う前はお気に入りだったミッツィーという役がいるんですけど。さっきのルヴォーの演出の話じゃないんですが、ミッツィーはそれこそソロ歌ったりする役ではないんですが、この作品の中でずっとひとりの女性として描かれて、ルドルフのことを愛している。僕も途中で気付いたんですけど(笑)、「ミッツィー、俺のことすごい見てるな」って。そのミッツィーの役をやったらルドルフはどう見えるのかなという意味でやってみたい」
一路「私はじゃあ...ルドルフ」
と言ったところで客席から拍手!
村井「何の拍手だ!」
井上「なんか、絵が想像できるんじゃないですか?」

Rudolf2012_140b.JPG村井「僕はなんといってもターフェでしょうね。この国を動かしている。僕は守る、ターフェはそれを変えていこうという立場。すごくスマートだし一番インテリだし。そういう意味ではターフェ(坂元さん)、見ているとまだまだだなって思うんですけど...」
坂元「1800人のお客さまの前でダメ出し、ありがとうございます!」
村井「(笑)ぜんぜん別の話なんですが、昨日食事したんですが、すごかったんですよ。初演のシンバの「問題ないさ」を...」
井上「「心配ないさ」です!」
村井「あ、「心配ないさ」ね(笑)。聴けたんですよ、2度も!」
ここでまた場内、大歓声。
そして坂元さん、大サービスで側転からの「心配ないさー」を披露!もちろん客席も大拍手です!!

Rudolf2012_140c.JPGそんな坂元さんは「フランツ・ヨーゼフ。まだまだだなと思いながら拝見しています(笑)」と村井さんに逆襲、村井さんも「1800人のお客さまの前でありがとうございます!」と返していました。

Rudolf2012_140e.JPGベテランの皆さんのフリーダムなトークに、場内大盛り上がりとなった2回目のトークショー。
最後に井上さんが
「本当に夢のように時間が過ぎ去っていっています。終わってから「あの作品よかったね、夢みたいだったね」と思うことはあるんですが、今回はやっているときから「きっとこれは夢のように終わっていって、あの素敵な時間はなんだったんだろうってあとから自分たちも思うだろうね」って話してるくらいです。それくらい恵まれているし、やりがいもあるし、自分たちも精一杯やってるし、すべてをこの劇場で出してみなさんと共有してすばらしい時間を過ごさせていただいています。あとに残らないのが舞台のいいところだとは思うんですが、しっかり夢を見て、夢のように終われたらと思っていますので、また一緒に夢を見にいらしてください」
とご挨拶して終わりました。

キャストの皆さんが、本当にこの作品に惚れこんで演じているのが伝わってきました!

Rudolf2012_1401.JPG公演は7月29日(日)まで、東京・帝国劇場にて上演中です。
お見逃し・思い残しないようにご注意ください!!

そしてこの連載にもお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

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