去る7月12日に宝塚歌劇宙組公演『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』の制作発表が行われました。
新トップ・鳳稀かなめ&実咲凛音コンビのお披露目公演であり、さらに雪組から緒月遠麻、花組から朝夏まなとも加わり、「新生宙組」の印象が強いこの公演。
原作は言わずと知れた、田中芳樹の大ベストセラー小説です。今までの売上げは累計1500万部!
これを、ミュージカル界の鬼才・小池修一郎の脚本・演出で舞台化します。
小池先生も「ずっと宙組にいたメンバー、そして今回宙組に来たメンバーが一緒になって、新たな宙組を、新しい時代を築いていけたらいいなと思っています。その意味では「英雄伝説」...つまり複数のヒーローたちが活躍する物語だというところが、新しい門出に相応しいのでは」と話していました。
会見の冒頭では、出演者によるパフォーマンスがありました。
ラインハルト・フォン・ローエングラム役、凰稀かなめ
ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ役、実咲凜音
パウル・フォン・オーベルシュタイン役、悠未ひろ
ヤン・ウェンリー役、緒月遠麻
ジークフリード・キルヒアイス役、朝夏まなと
オスカー・フォン・ロイエンタール役、蓮水ゆうや
ウォルフガング・ミッターマイヤー役、七海ひろき
アンスバッハ役、凪七瑠海
会見では、小池先生が
「凰稀かなめの門出にどういう作品をやるかというのを協議を重ねて、『銀河英雄伝説』のラインハルトという役は大変ぴったりであろうと、誰もの意見が一致した。でもちょうど昨年から、一般の男優さんを使った舞台のシリーズが始まって、宝塚で並行してやるということに許諾はいただけないんじゃないかと思っていましたが、原作の田中芳樹先生、また一般の舞台の制作会社にも快諾いただいて、やることになりました。宝塚はご存知のように上演時間が限られています。本当に膨大な情報量のある原作です。冒頭の2巻くらいのところをやろうと思っていますが、今もまだ取捨選択には日々頭を悩ませ、田中先生にいろいろお伺いしつつ、調整中です。結果は本番舞台をみていただけたら」とご挨拶。
なおタイトルにある「@TAKARAZUKA」の意味は、その外部の舞台と違うということがひと目でわかるように、と話していました。
冒頭2巻というと、ちょうど、その外部舞台シリーズの第1弾(2011年1月上演。コチラです→松坂桃李らイケメン俳優らが、ベストセラー小説『銀河英雄伝説』の世界を体現)と同じあたりでしょうか?
新トップ・凰稀かなめさんは
「多くの方々に愛されてきた大ベストセラー小説の初の舞台化、このような大作で新生宙組がスタートできることを本当に嬉しく幸せに思っています。これからも皆さまに楽しんでいただける舞台を目指し、精一杯心をこめて務めてまいりたいと思いますので、どうぞ新生宙組をよろしくお願いいたします」とご挨拶です。
そのあとは、出演者8名+小池先生のトークショー形式の質疑応答がありました。
凰稀かなめさんは
「小説はあと少しなのですが、マンガも購入して読みました。登場人物が600人以上いるようなんですが、その中の人間模様がすごく面白く描かれているなと思いました。演じるラインハルトは、なんて喜怒哀楽のすごい人なんだろうと思いながら、姉のアンネローゼと幼なじみのキルヒアイスに見せる少年のような可愛い部分もあり、とても魅力的な人だなと思いました」と感想を。ちなみに相手役となる実咲さんの印象は、
「みんなからきいたイメージが、すごくさばさばしているということだったのですが、実際にお仕事とか一緒にしゃべったりとかした時、「この子は天然だ!」と思いました」と話していました。
実咲凜音さんは「すごく大きな作品だなと衝撃を受けました。本当にいろいろな方が出てきて、ひとりひとりの思いが交差しているところに魅力がある。ヒルダを演じるにあたり、彼女は伯爵令嬢でかつ頭脳明晰でという芯の強い女性だと思うので、そのあたりをどういう風に作り上げていくか、また宝塚でやる『銀河英雄伝説』、小池先生の描かれるヒルダという役に私自身が近づいていけるように努力してまいりたいと思います」と意気込みを話します。
悠未ひろさんは「人物がすごくたくさん出てくるんですが、ひとりひとりが個性豊かで魅力的。本当にそこに惹かれました。私が演じるオーベルシュタインは義眼で、冷酷なんですけれど私利私欲で動くのではなく、あくまでも帝国の、ラインハルトの参謀としている、という役どころ。参考資料もたくさんありますので、これから役を掘り下げる上でいろんなもの読んで深めていきたいなと思っています」と意気込みを。
これが宙組デビューとなる緒月遠麻さん。
「ヤン・ウェンリーは自分の中でも惹きつけられる役。すごくヤン・ウェンリーさんのファンも多いと聞きましたので、プレッシャーも感じつつ、精一杯頑張っていきたいと思います」。
原作では、ラインハルトとヤン、ふたりが主人公ですね。
今回はラインハルトを中心とした銀河帝国軍を中心に描かれそうですが、ヤンはそれに敵対する自由惑星同盟の将軍です。
朝夏まなとさんもこれが宙組デビュー。
「自分はキルヒアイスという、アンネローゼさまとラインハルトさまの姉弟をずっとお慕い続ける役なので、そのあたりを私らしさも取り入れつつ演じられたらいいなと思っています」と挨拶。
朝夏さんは鳳稀さん演じるラインハルトと幼なじみである役どころを演じますが、「ラインハルトとキルヒアイスの仲は、原作では「半身的存在」と描かれているので、かなめさんとその部分を今から作って、原作に負けないくらいのふたりの関係性を作れるように頑張りたいと思います!」とも話していました。
蓮水ゆうやさんはロイエンタール役。
「私もこの作品をやるということになって初めてアニメも小説も拝見したんですが、最近アニメを見始めてもうすっかりはまってしまって、どうしてもっと早く見ておかなかったんだろうってくらい(笑)すっかり作品の世界観に魅了されてしまいました。今回、沈着冷静、ちょっとミステリアスな役をさせていただくんですが、今まで11年間宝塚にいて、こういう役どころはあまりやったことがなく、私としても新たな挑戦なので頑張りたいと思います」。
アンスバッハ役、凪七瑠海さん。
「アンスバッハはラインハルトと相反する門閥貴族の腹心だったんですが、上級貴族にしてはすごくまともな考えを持って、的確な判断ができる人という印象を受けました。でも主君にはすごく忠誠心がありましたし、最後はすごく重要な鍵を握っている人物のひとりだと思うので、心理描写を深めていきたいと思います」。
七海ひろきさんは「私はすごく昔に原作を読んだことがありまして、また改めて読ませていただいて、あとアニメは今回初めて見るようになりました。原作とアニメとマンガがあるんですが、それぞれ3つともちょっとずつ感じが違うので、その中で自分のミッターマイヤーという役を深めていきたいなと思いました。あと蓮水さんのロイエンタールとは双璧なのでそのあたりもふたりで深めていけたら。精一杯ミッターマイヤーという男気溢れる役を演じていきたいなと思っています」。
この中で唯一、以前から原作を読んでいた七海さんには「好きなキャラクターは?」という質問も。
七海さん、即答で「断トツでヤン・ウェンリーが好きですね。私が演じるのは帝国側なので...裏切り者って言わないでくださいね(笑)。ヤン・ウェンリーは生き方とか考え方が、たぶん男の方から見てもカッコいいですよ。セリフとかも名言がたくさんあります!」とのことでした。
またこの日のパフォーマンスの感想では
凰稀「いろんな人と目をかわしたりして、これからが楽しみになりました」
実咲「私はまず男役さんと同じ衣裳、ズボンをはかせていただくのが初めてだったので、男役さんは大変だなというのを改めて感じました(笑)」
悠未「『銀河英雄伝説』はこれをきっかけに読み始めたんですが、本当にファンの方の気持ちがわかるなというか、みんな揃うと「はあ...素敵...」と思ってしまう(笑)。楽しんでパフォーマンスさせていただきました」
緒月「宙組に組替えになってこのメンバーで踊らせていただくことがまず嬉しくて、楽しかったです」
朝夏「今日舞台に皆さんと一緒に立って、本当に今から宙組が始まるんだなと思い、その一員でいられることが嬉しく思いました」
蓮水「今日のパフォーマンスだけでもすごく素敵な舞台が出来上がったので、これが公演になるともっと個性豊かなキャラクターも増え、素敵なメイクと素敵な衣裳とで、どんなものが出来上がるかと思うとすごく楽しみ」
凪七「私は出番が最後の方だったので皆さんを舞台袖から拝見していたのですが、すごく興奮しました」
七海「アニメや小説をみていたので、自分より皆さんを見て、なんかもう、そのままでいいんじゃないかってくらいすごい素敵なので、それにまずすごく興奮してしまいました」
というような感想が飛び出しました。
また小池先生は「アニメはアニメ、マンガはマンガ、それぞれ作家やスタッフの方が原作をいかに膨らませるかというのを考えておやりになっている。舞台は生身の人間、まして女性の彼女たちがやります。それはものすごい制約だし、出来ないことの方が多いのですが、その中でどうやっていくか。その意味でも本番の舞台にご期待いただきたいなと思っています。戦闘場面などもいろんな意見を重ねて、例えばアタマに戦艦をつけて...とか(笑)あったのですが、でももっともっと、この作品に書かれている宇宙はものすごく大きくて、それはこの舞台全部使っても表現できないような大きさなので、そういうところは映像を使ったりしようかと思います。そしてやはり宝塚ですので、みんな踊れますから、ダンスで表現ができる、そこが『@TAKARAZUKA』。テクノロジーと彼女たちの技能、両方で相乗効果になると面白いと思っています。宝塚は、美しさとかカッコよさというものと、パワーがある。集団のパワーがこの物語を膨らませ、より魅力的な新たな光を与えると思います」と宝塚版のみどころを語りました。
キャストも
悠未「宝塚ならではのラインハルト様の美しさなど、ビジュアルの部分でも楽しんでいただけるんじゃないか」
蓮水「私たちはメイクやかつら、髪型を自分でやるので、それぞれが舞台にあがるまでに役に自分を取り入れていろいろと作っていきます。その個人の思いが役柄に出て作品が出来ていくと思うので、それが原作とは違う魅力じゃないかと思います」
凪七「少女マンガと宝塚というのは切っても切り離せない関係。今回も少女マンガではないですが、ビジュアル面でもすごく楽しんでいただけるものになるんじゃないかなと思います」
七海「一度アニメにもなっているので、アニメのものを舞台化するとなると、男性がやるよりも宝塚でやった方がいいと私は思っています。やっぱりアニメの中の、現実には存在しないんじゃないかというようなビジュアルのものは宝塚でやるのが一番」
等々、それぞれ宝塚の「強み」を話していました。
最後に小池先生が、新生宙組への期待を
「宙組は最初に出来た時から大型の背の高い男役をそろえて、かつ現代的、モダンな感じがある組でスタートしたと思います。凰稀かなめが主演になったことで改めて「モダニティな宙組」というのがより強調されていくのでは。今回新しく入ってきた人たち、前からいた人たちが今日一緒にパフォーマンスをしましたが、私もこれが次の時代、2010年代を担っていく人たちだなとすごく感じました」
と語り、会見は終了。
皆さん本当に美しくて、個性的で、『銀英伝』の世界にぴったりハマりそう。
宝塚版『銀英伝』、とっても楽しみになりました!
公演は8月31日(金)から10月8日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、
10月19日(金)から11月18日(日)に東京宝塚劇場にて。
兵庫公演のチケットは7月28日(土)に一般発売開始です。
原作者の田中芳樹氏(右から2人目)と。