■『エリザベート』への道 2012 第33回【番外編】■
東宝版『エリザベート』を中心に追っている当連載ですが、
今年2012年は、ウィーンでの『エリザベート』初演から20年目のアニバーサリー・イヤー。
現在上演中の
・東宝版『エリザベート』
以外にも
・ウィーン版ミュージカル エリザベート20周年記念コンサート(10月)
・エリザベート スペシャル ガラ・コンサート(宝塚OG版/11~12月)
と、日本で3バージョンの『エリザベート』関連公演が上演されます。
トリで登場するのが『エリザベート スペシャル ガラ・コンサート』。
ファンの方はよくご存知かと思いますが、『エリザベート』日本初演は1996年の宝塚雪組公演。
『エリザベート』の日本での歴史は、宝塚版の大ヒットから始まったのです。
その宝塚版、これまでに7回、上演されています。
今回の「ガラ・コンサート」では、その歴代のスターたちが出演するであろうことで、注目が集まっていましたが、本日6月28日、製作発表会見が行われ、出演者が発表になりました!
まずは本日の会見の出席者のみなさんはこちら。
●トート
一路真輝...1996年雪組公演に出演
姿月あさと...1998年宙組公演に出演
彩輝なお...2005年月組公演に出演
春野寿美礼...2002年花組公演に出演
紫苑ゆう〈特別出演〉
●エリザベート
花總まり...1996年雪組公演、1998年宙組公演
大鳥れい...2002年花組公演
白羽ゆり...2007年雪組公演
●フランツ・ヨーゼフ
高嶺ふぶき...1996年雪組公演
初風緑...2005年月組公演
涼紫央(東京のみ)
●ルイジ・ルキーニ
轟悠〈宝塚歌劇団〉...1996年雪組公演
湖月わたる...1998年宙組公演
●ルドルフ
香寿たつき...1996年雪組公演
朝海ひかる...1998年宙組公演
涼紫央
●ゾフィー
出雲綾...1996年星組公演、1998年宙組公演
朱未知留...1996年雪組公演
初風諄〈特別出演〉...東宝版に2000~2009年で出演
●マックス
立ともみ...2002年花組公演、2007年雪組公演
大峯麻友...1998年宙組公演(グリュンネ伯爵役)
なんと1996年雪組での初演メンバーが、
トート(一路)、エリザベート(花總)、フランツ(高嶺)、ルキーニ(轟)、ルドルフ(香寿)、ゾフィー(朱)と勢ぞろいです!
ほかにも宙組コンビ(姿月&花總)、花組コンビ(春野&大鳥)となつかしのトップコンビが揃うし、
『エリザベート』初演前に宝塚を退団している伝説のスター、紫苑ゆうのトート登板も!
初演の『ベルサイユのばら』マリー・アントワネット役など、宝塚の娘役スターとして一時代を築き、『エリザベート』では東宝ミュージカル版の初演から長くゾフィーを演じていた初風諄が、宝塚版の『エリザベート』に出演するのも注目です。
日本の『エリザベート』の、そして宝塚歌劇の歴史が凝縮されたステージになりそうで、これはもう、お祭りですね!
会見ではまず演出の小池修一郎さんが
「こうしてスターたちを見るにつれ、それぞれとの思い出が走馬灯のように、と言いますか、どちらかといえばスパイラル、竜巻のように思い起こされます。今回やっぱり一番感無量なのは初演の雪組のメインキャストが揃っていること。彼女たちはそのあと全員、トップスターとなった。彼女たちが育つ過程で『エリザベート』という作品を一緒に作りました。それが一堂に会するとは思っていませんでした。また紫苑ゆうさんは、私が初演の前にウィーンに行った時にちょうど観にいらしていて、「これをやってからやめるんだった」と非常に悔しがっていらっしゃいました。彼女の夢を果たせられます。それに、宝塚出身のスターであり、東宝版の『エリザベート』でゾフィ役をずっと務めてくださいました初風諄さんにもご参加いただけます。同じ宝塚版の舞台に出てはいませんが、退団後の自分と向き合い女優としての自分を築かれた方が、改めて宝塚のOGたちがやる『エリザベート』にひと味加えてくださるのでは。また初風さんと花總さん、宝塚に長く在籍して"女帝"と言われたふたりが対峙するのも楽しみで、これは本当になかなかの見ものになるんじゃないかと(笑)。それによって花總まりも可愛く見えるんじゃないかと思いますので、ぜひ楽しみになさってください(笑)。
『エリザベート』の歴史、宝塚の歴史が一堂にみられる公演なんだなと私自身楽しみにしていますし、みんな切磋琢磨して自分の芸を磨いている人たちばかりなので、年齢とともに芸の厚みや人生の深みというものが、エリザベートやほかの役にも出てくると思います。またトートというのは年齢を超越しています。今の彼女たちがやると、また別の凄みが出るんじゃないかと大変楽しみにしています」
と挨拶。
続いてキャストの皆さんのご挨拶です。
初演・1996年雪組公演でトートを演じた一路真輝さんは
「16年ぶりにトートをやらせていただきます。16年という月日は長いような短いような...人生いろいろありました。どういうことになるか自分自身も楽しみなんですが、それよりももっと楽しみなのが、あの当時のメンバーがほとんど集まるということで、まずそのことに興奮しています。先日轟悠...いしちゃんから「私もすごく楽しみしています」と連絡がありました。轟さんはまだ現役でいらっしゃる、私は宝塚を辞めた人間。それがこうして同じ舞台に出られるというのも今回の企画の目玉です。初演の時は、「宝塚のトップスターが死神とは何ごとぞ」と、結構、大変でした。でも私と小池先生はウィーンで『エリザベート』を観て、その素晴らしさをふたりとも確信していましたので、日本でこの『エリザベート』という作品を汚すことはぜったいできないと思いました。そういう思いで小池先生を中心に雪組が一致団結して作った『エリザベート』が16年たった今もこのように皆さまに愛されている、ということを感謝したいと思います」
とご挨拶。
一路さんは退団後、東宝版の『エリザベート』で今度はヒロイン・エリザベートを演じました。
まさに『エリザベート』の生き字引。ご挨拶も深かったです。
宙組の初代トップスターとして人気を博した姿月あさとさんは
「私は14年ぶりのトート。雪組さんの初演を観させていただいたときは、ほんとうに涙が溢れ、感動した覚えがあります。今回それを拝見させて頂いたり近くで学ばせていただくことができると思うので、その時間を大切にしたい。今回、花總さんとは...14年ぶりに対面ですね。夢のような時間を過ごせるのかなと思って楽しみにしています。二度と戻らない時間ですので、一日一日、リハーサル、本番と、無駄のない時間を過ごしたいと思います」。
彩輝なおさんは、2005年月組公演のトートが、サヨナラ公演でした。
「久しぶりに『エリザベート』の公演DVDを見ましたが、あの緊張感がいまでも蘇ります。私は星組時代にも最後の新人公演でトートをさせていただきました。節目節目でトートをやらせていただき、とても大切な作品になっています。月組の公演は初演の一路さんから10年目の節目、そして5組すべてまわった最後の組の『エリザベート』だったのですが、その初日に小池先生がいろいろなことを思い出されて感極まっていらっしゃっているのを見て感動したことを今でも思い出します。渾身の思いをこめて、楽しみ半分、緊張感半分で、あらたなメンバーと新しい『エリザベート』に新鮮な気持ちで取り組めれば」。
春野寿美礼さんは2002年花組公演のトート役。春野さんのトップお披露目公演でした。
「私は2002年にトート役をやらせていただいたので、ちょうど10年ぶりに、またトートをやらせていただくことになります。その時はトップお披露目だったので、右も左もわからないトップスターが、黄泉の帝王を演じなければいけないという重圧に押されて、しかも相手役のエリザベートはその公演で退団する大鳥れいちゃんで、ものすごく強くて(笑)、引きずり回されたトート...だったよね?」
大鳥さん、首を横にふって否定していますが、春野さんに
「そうです、と向こうで言っています(笑)」と進められてしまいました。続いて春野さん、
「今回こういう形でやらせていただくということで、当時トートを演じていたことを本当にいろいろ思い出します。そういう気持ちを今思い返すことも、とても大切なことだと思うので、そういったことも楽しみたい。初めて組むキャストの方も楽しみですし、観にきてくださるお客さまにも喜んでいただけるように、素敵なステージを作っていきたいと思います」と意気込みを話していました。
春野さん、現在は東宝版『エリザベート』でエリザベートを演じていますね。
今日の装いはトート風に黒を基調にしたお洋服でした。
この可愛らしいエリザベートと同一人物とは、ちょっと思えない!?
初演の雪組に出演した、初代エリザベートの花總まりさん。
その後宙組でもエリザベートを演じています。
「私もまず、なんといってもあの初演のメンバーがこんなに集まるなんて思ってもみなかったので、まだ感動の渦の中で、信じられない気持ちでいっぱいです。初演のときは私も何もわからない状態で、一路さんに泣き付き、小池先生に泣き付き、無我夢中でやっていた記憶がすごくあります。幸せなことにもう一度姿月さんの時に再び『エリザベート』という作品にめぐりあって、その時は今度は勝手に自分の中で再演というプレッシャーをすごく感じてしまって、ひとりまた違うところで苦しんでいました。15年以上たった今、こういう機会をいただけましたが、時の流れがすべて押し流してくれて、今度は変に肩の力が入ることなく『エリザベート』という作品と向き合えるんじゃないかなと思います。数少ない公演数ですので、一回一回大切に、もう一度初演メンバーとできる幸せをかみ締めながらやっていきたいと思います」と当時を振り返りながら話してくれました。
大鳥れいさんは春野さんとともに2002年花組公演に出演していました。
「またこうしてエリザベート役をやらせていただけるということを本当に嬉しく思っていますし、また皆さんの顔を拝見してとても身が引き締まる思いでいます。現役時代のときには感じられなかったこと、今の自分だから感じられることを大切に、小池先生やみなさんのお力をおかりして新しくエリザベートを作っていきたいと思います」と意気込みを。
そして白羽ゆりさんは、水夏希さんのお披露目公演だった2007年の雪組公演に出演。
「私自身、娘役として、役者としてもっともっと成長したい、変わらなければいけないと思った時期にこの作品に出会ったことによって、今までに感じたことのなかった気持ちや感情とぶつかることができて、すごく強くなった作品。改めて懐かしく思います。今回は歴代の皆さんとご一緒できるということで緊張やプレッシャーはもちろんあるのですが、新しい発見があると思いますので、どんどん新しい気持ちでやっていきたいと思います」と話していました。
小池先生は
「コンサート版ということでマイクを持って歌う形になるのですが、みんなが作品を経験してきているので、(マイクを手に持っていても)役としてきちんと感情をうまく表現してくれる。さらに踊りがついたり動きに制限があったりすることなく、歌に集中していくのでとても聴きごたえのあるものになるのがガラ・コンサートの魅力。扮装はすべてではないかもしれませんが、かなりの率で再現して、新たなトート像、エリザベート像をお見せできるのではと思います。また、皆さん、だてに人生経験を積んだり舞台の仕事を重ねてきていらっしゃるわけではない(笑)。女優としても今は働きざかり。芸の深みなどたぶん宝塚時代より円熟したものをみせてくださると思います」と期待も口にしていました。
公演は11月6日(火)から21日(水)まで東京・東急シアターオーブ、11月25日(日)から12月3日(月)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて。
チケットは10月8日(月・祝)に一般発売開始です。