■『エリザベート』への道 2012 第13回■
2012年版『エリザベート』、皇帝フランツ・ヨーゼフは久しぶりのダブルキャストになります。
2004年から出演している石川禅さんと、今回初参加となる岡田浩暉さん。
ともに日本ミュージカル界を支えるベテランですが、意外なことに「共演したことは全然ない!」とのこと。
おふたりとも『レ・ミゼラブル』のマリウスを演じられていましたが「マリウスも同じ役なんで一緒に出ることはなかったですし、今回もない。一回くらい絡んでみたいよね」と石川さん。
でも共演はなくとも気心は知れているようで、ふたりのフランツ、インタビューではお互い共感しあうことしきりで、熱いトークを繰り広げてくれました。
2012年版『エリザベート』、皇帝フランツ・ヨーゼフは久しぶりのダブルキャストになります。
2004年から出演している石川禅さんと、今回初参加となる岡田浩暉さん。
ともに日本ミュージカル界を支えるベテランですが、意外なことに「共演したことは全然ない!」とのこと。
おふたりとも『レ・ミゼラブル』のマリウスを演じられていましたが「マリウスも同じ役なんで一緒に出ることはなかったですし、今回もない。一回くらい絡んでみたいよね」と石川さん。
でも共演はなくとも気心は知れているようで、ふたりのフランツ、インタビューではお互い共感しあうことしきりで、熱いトークを繰り広げてくれました。
【@ぴあニュース インタビュー】
『エリザベート』皇帝フランツは、石川禅と岡田浩暉を悩ます難役!?
オーストリア・ハプスブルク帝国皇后、エリザベートの生涯を描いたミュージカル『エリザベート』。今年、その夫である皇帝フランツ・ヨーゼフに扮するのは、2004年から本作に出演している石川禅と、今回初参加する岡田浩暉のふたりだ。エリザベートを誘惑しハプスブルク家を破滅へ誘う"トート(死)"と対立、作品の要となる存在のフランツ。「大変な役」だと口を揃えるふたりに今の心境を訊いた。
20世紀初頭まで生きた実在の人物であるフランツ。だが石川は「ドレスのお姫様の夫、という存在はなかなか肌に伝わってこなくて。徳川家康とか織田信長とかならまだわかるんですが(笑)。自分との接点がなくて大変なんですよ」と演じる上での苦労を語る。岡田も「資料を読んだりしても、なかなか捉えどころのない人で、しかもその捉えどころのなさが皇帝フランツの大きな部分を占めている。観客として観ている時も、難しい役だな、禅さんすげぇな、と思っていました。だからこの役のオファーが来たときも、手放しの嬉しさというより『エリザベート』という作品と自分は相撲をとるんだ、って気持ちでしたね」と緊張が先に立ったそうだ。
そんな岡田に石川は「浩暉君の戸惑い、わかります。僕、シェーンブルン宮殿でフランツ専用の便器を見たときに、"あ、この人も生きていたんだ"って思ったの(笑)。そこから彼が夢の世界の人間じゃなくなった」と自らが辿ったエピソードを披露。「フランツって、何もしなかったらしないで成立してしまうけど、それだと何も表現しないことになる。禅さんがおっしゃるようにそこに人間っぽさを加えていけば、僕のフランツが出来るのかな......」という岡田は、自らのフランツ像については「僕は禅さんほど器用ではないので、"動かない"方向になるかな」。これに対し経験者・石川は「多くの縛りがある皇帝という立場で、様々なものを背負ってフランツは立っているんです。そうするとどうしても動けなくなる。だから浩暉君はしっかりフランツを受け止めている。そんな彼を見て、僕も自分が初めて演じた時のことを思い出して、こういう気持ちを忘れちゃいかんぞって思うんです」とこちらも気を引き締める。
『エリザベート』は日本でも、今回の上演中に公演回数1000回を迎えるほどの大ヒットとなっている作品。定番と言ってもいい存在だが、今年は作品に向かう気持ちが、例年とは少し異なるそうだ。「3.11の震災以降、日本では大変なことが起こっている。これはもう動乱と言ってもいい。演出の小池修一郎さんが、今の現状は、エリザベートが生きたハプスブルク家の動乱の時代とリンクすると話していましたが、それはその通りで、この経験は少なからず反映されると思います」(石川)、「そしてこの話がその動乱の時代の中でエリザベートが自らの意思で自立していく話なら、フランツは逆に"混沌の時代"の象徴ですよね。そこを意識したい」(岡田)。2012年ならではの『エリザベート』、気合いも新たにベテラン俳優ふたりが挑む皇帝像に注目したい。
公演は5月9日(水)に東京・帝国劇場で開幕する。チケットは発売中。
記事では主にフランツの内面について記しましたが、それ以外にも
石川「フランツ、本当に大変な役なんです。とにかく舞台への出入りが多いので、手順が多い。衣裳も12・3着あるし」
岡田「着替えだけで疲れちゃいますね」
石川「うん。そのなかでも超早替わりが2回くらいあって。女優さんはワンピースだから、あんなきらびやかなドレスでもシュッ!って下ろして、ハイって跨って、シャッ!と(背中のファスナーを)上げたら着れるの。男はそうもいかないから!(笑) 」
岡田「でも心強いです、そういうことを教えてもらえるのは」
石川「なんでも手順に関しては訊いてください! 」
なーんて会話も。
「大変なんだよねえ...」という気持ちをしみじみ共感しあっているような、なんだか微笑ましいおふたりでした。
撮影:西村康