●ヒラノの演劇徒然草●
「考える人」など数々の名作を遺した現代彫刻の巨匠、オーギュスト・ロダン。
彼の弟子であり、愛人であったカミーユ・クローデル。
このふたりの芸術家の関係を描いたミュージカルが『GOLD~カミーユとロダン~』です。
2003年にアメリカで初演され、アメリカ以外で上演されるのは今回の東京公演が初というこの作品。
カミーユに新妻聖子、ロダンに石丸幹二という華と実力を兼ね備えたキャストが揃います。
この稽古場に11月某日伺ってきました。
作曲は『ジキル&ハイド』『ルドルフ』『スカーレット ピンパーネル』などで日本でも大人気のフランク・ワイルドホーン。脚本・作詞はナン・ナイトン。
演出は白井晃が手がけます。
「考える人」など数々の名作を遺した現代彫刻の巨匠、オーギュスト・ロダン。
彼の弟子であり、愛人であったカミーユ・クローデル。
このふたりの芸術家の関係を描いたミュージカルが『GOLD~カミーユとロダン~』です。
2003年にアメリカで初演され、アメリカ以外で上演されるのは今回の東京公演が初というこの作品。
カミーユに新妻聖子、ロダンに石丸幹二という華と実力を兼ね備えたキャストが揃います。
この稽古場に11月某日伺ってきました。
作曲は『ジキル&ハイド』『ルドルフ』『スカーレット ピンパーネル』などで日本でも大人気のフランク・ワイルドホーン。脚本・作詞はナン・ナイトン。
演出は白井晃が手がけます。
稽古場は芸術家のアトリエさながら。彫刻が立ち並びます。
この日は2幕の稽古が行われていました。
伺ったところ、蜜月な関係の1幕に対し、2幕でのロダンとカミーユはもっと複雑な愛憎を抱えている関係になっているとのこと。
...でも取材陣が最初に見たカミーユの表情はとても穏やか。
父の元で安らぎの時間を過ごしています。
カミーユの父は西岡徳馬。西岡さんの歌声も穏やかに心に染みます。
カミーユはロダンとのことを終わったことだと思い切り、ブリュッセルで個展を開けることを喜んでいます。
新妻さん演じるカミーユは、自尊心と明確な目的、そして才能を持ち、自分をとり囲む社会に挑んでいくような女性。
しかし、弟ポールはロダンと不倫関係にあった姉を、その芸術も含めふしだらだとなじり、母親もカミーユを否定します。
ポールは伊礼彼方。母親は根岸季衣。
神を信じ、清廉であれと姉にすがる伊礼さんのポールは、姉を否定しながらも姉への愛情が溢れ出て、とても切ないです...。
母・弟とわかりあえないカミーユは、それでも、「私は自由」「私は誰もなしとげられなかったことを私はやり遂げる」と絶唱。
新妻さんの、涙を目にたたえ、それでも力強く前を見据える姿。
鳥肌が立ちます。
一方、ロダンはカミーユをまだ愛していながら、彼女を自由にしてあげることこそ愛ではないかと考えます。
カミーユのブリュッセルの個展は大成功。
そこでロダンとカミーユは再会し、ふたたびパリに戻り共に暮らすことに。
でもパリでは女性芸術家はまだ色物扱いされ、作品は正当に評価されず。
カミーユは再度、ロダンの元を去ります。
ロダンは知り合いの画商や記者たちにカミーユの作品を取り上げてくれと手紙を書き続けます......。
石丸さんのロダンは、カミーユに対し愛と嫉妬の両方を持ちながらも、それでも同じ芸術家として彼女の才能を認めている、そして女性が芸術の世界で生きることの苦労も一番理解している、そんな複雑さを内包していて魅力的。
ロダンとカミーユは表面的にはドロドロの関係ですが、石丸さんと新妻さん、ともに俳優自身の持つ個性もあいまってか、知的な関係にも見えるのが不思議。
そんなふたりが生きにくい世界に必死に抗っている切なさ。そんなものを感じさせます。
音楽も、ワイルドホーンといえばアピール度の高い、壮大に歌い上げる楽曲のイメージがありますが、この作品では登場人物たちの感情に沿うように清流のように流れていきます。
しかしその分、カミーユの、ロダンの、抑えた熱情が浮かび上がってくるのです。
史実では、このあとカミーユは精神病院に入れられ30年を過ごし、亡くなります...。
激しい人生を駆け抜けたカミーユと、芸術家として成功し頂点に立ちながらカミーユへの愛を手放せなかったロダン。
ふたりの熱情に触れられる、激しくも切ないミュージカルになりそうです。
公演は12月8日(木)から28日(水)まで、シアタークリエにて。東京公演のみです。お見逃しなく!
チケットは発売中です。
この日は2幕の稽古が行われていました。
伺ったところ、蜜月な関係の1幕に対し、2幕でのロダンとカミーユはもっと複雑な愛憎を抱えている関係になっているとのこと。
...でも取材陣が最初に見たカミーユの表情はとても穏やか。
父の元で安らぎの時間を過ごしています。
カミーユの父は西岡徳馬。西岡さんの歌声も穏やかに心に染みます。
カミーユはロダンとのことを終わったことだと思い切り、ブリュッセルで個展を開けることを喜んでいます。
新妻さん演じるカミーユは、自尊心と明確な目的、そして才能を持ち、自分をとり囲む社会に挑んでいくような女性。
しかし、弟ポールはロダンと不倫関係にあった姉を、その芸術も含めふしだらだとなじり、母親もカミーユを否定します。
ポールは伊礼彼方。母親は根岸季衣。
神を信じ、清廉であれと姉にすがる伊礼さんのポールは、姉を否定しながらも姉への愛情が溢れ出て、とても切ないです...。
母・弟とわかりあえないカミーユは、それでも、「私は自由」「私は誰もなしとげられなかったことを私はやり遂げる」と絶唱。
新妻さんの、涙を目にたたえ、それでも力強く前を見据える姿。
鳥肌が立ちます。
一方、ロダンはカミーユをまだ愛していながら、彼女を自由にしてあげることこそ愛ではないかと考えます。
カミーユのブリュッセルの個展は大成功。
そこでロダンとカミーユは再会し、ふたたびパリに戻り共に暮らすことに。
でもパリでは女性芸術家はまだ色物扱いされ、作品は正当に評価されず。
カミーユは再度、ロダンの元を去ります。
ロダンは知り合いの画商や記者たちにカミーユの作品を取り上げてくれと手紙を書き続けます......。
石丸さんのロダンは、カミーユに対し愛と嫉妬の両方を持ちながらも、それでも同じ芸術家として彼女の才能を認めている、そして女性が芸術の世界で生きることの苦労も一番理解している、そんな複雑さを内包していて魅力的。
ロダンとカミーユは表面的にはドロドロの関係ですが、石丸さんと新妻さん、ともに俳優自身の持つ個性もあいまってか、知的な関係にも見えるのが不思議。
そんなふたりが生きにくい世界に必死に抗っている切なさ。そんなものを感じさせます。
音楽も、ワイルドホーンといえばアピール度の高い、壮大に歌い上げる楽曲のイメージがありますが、この作品では登場人物たちの感情に沿うように清流のように流れていきます。
しかしその分、カミーユの、ロダンの、抑えた熱情が浮かび上がってくるのです。
史実では、このあとカミーユは精神病院に入れられ30年を過ごし、亡くなります...。
激しい人生を駆け抜けたカミーユと、芸術家として成功し頂点に立ちながらカミーユへの愛を手放せなかったロダン。
ふたりの熱情に触れられる、激しくも切ないミュージカルになりそうです。
公演は12月8日(木)から28日(水)まで、シアタークリエにて。東京公演のみです。お見逃しなく!
チケットは発売中です。