舞台のウラ話from キャラメルボックス東北応援無料ツアー vol.04

宮城県・気仙沼市の公演をレポート!

10月9日、東北応援無料ツアー3日目! 岩手県を後に、今日は宮城県・気仙沼市へ。宿泊先からのバスでの移動中、陸前高田に近づくに連れて震災の被害の痕が未だに歴然と車窓に広がります。ニュースの映像などで状況を伺い知っていた一行も、実際に目の当たりにすると声ひとつ出せず、車内は沈黙に包まれました。あの突然の天災から半年以上が経過しているのに......、途中に立ち寄った川の駅(パーキングエリア)や行き違う車も被災者やボランティアの方の移動が多く見受けられました。

会場の気仙沼市はまなすホールは気仙沼市役所の本吉総合支所に隣接した図書館や美術館、イベント広場などが集積した"はまなす文化タウン"の中にあります。日曜日ということもあって、朝から図書館にやってくる地元の方々が通るロビーにはボランティア受付、そして、ホールの裏の芝生にはボランティアの方が寝泊まりしている数々のテント......今でも誰かのために頑張っている人達が沢山いる、そんな中をキャラメルボックスのメンバーも演劇の力を信じて、早速、準備開始です。

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kesennuma014_350.jpgこの会場は450人を収容する観劇には最適なスペース! 舞台機構も整っていて、今まで以上に準備はスムーズに進んでいきます。幸いなことに雲ひとつない快晴に恵まれて、衣装部がやることは!......ご覧のとおりの天日干しです。フリーマーケットが開けそうな勢いですよね(笑)。しかし、これも舞台を成功させるためにとても大切なことなのです。舞台裏のケータリングには、川の駅で坂口さんが買った地元のトマトといちじく!それに昨日の田野畑村からいただいた牛乳やヨーグルトが並びます。あ、もちろん舞台準備やリハーサルは着々と進んでいますよ。

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会場の外にも『賢治島探検記』の幟(のぼり)が並び、お客様も少しずつ集まってきました。中にはキャラメルボックスのサポーターズフラッグ(←サッカーのサポーターを想像してください)を持参している方の姿も!まさか気仙沼でキャラメルボックスの舞台を生で観られるなんて、と感無量なご様子。開場してみると、小さなお子様やご年配の方の姿が多く見受けられました。あれだけの被害を受けた現地では、やらなければいけないこともまだ沢山、たくさんあって、観劇までの余裕はないのもしれません。

kesennuma039_350.jpgお客様の多くは観劇自体が初めての方も多かったようで、また東北の方の気質なのでしょうか、観劇中も少し気恥ずかしそう......ところが、劇の中盤で手作り楽器や手拍子で参加する場面になると、慣れてきたのかとても楽しそうに楽器を鳴らす姿が印象的でした。

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終演後、昨日の田野畑村と同様に熱心にアンケートを書かれるお客様でロビーは大混雑!劇団関係者から伺った話によると、アンケートの中には津波でご主人を亡くされて、泣くことに疲れて、演劇を観てみようと思われた方がいたそうです。その方や同じ思いをした方たちには『光速銀河鉄道の夜』はどのように受け止められたのでしょうか。ジョバンニやカンパネルラにご自身や誰かを重ねて、少しでも前を向いてもらえるきっかけになったと信じたい、そう強く思いました。

トラックへの積み込みが完了した頃には外はすっかり暗くなり、空にはきれいな月が浮かんでいました。ご観劇いただいたお客様の様々な気持ちを受け止めた一行は今日もバスに乗り込み、仙台市に向かいます!

取材・文:本田裕一郎

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