フェスティバル/トーキョー11 遊園地再生事業団

●よこやまのステージ千一夜●


東京では残暑もそろそろ打ち止めといった感で、いよいよ秋の気配。
この秋、個人的に楽しみにしているのがフェスティバル/トーキョーでして、ちょっとご紹介したいと思います。

フェスティバル/トーキョーは今回で4回目となる舞台芸術のフェスティバル
国内外の先鋭的な作品が多数紹介され、新しい演劇表現が沢山見られる場所でもあります。

また、今年は東日本大震災という途方もない悲劇が現実となり、
演劇に限らず、ものを作る人々にとっては、新たに生み出したものが否応なしに震災と関連付けられてしまう難しい年になりました。
新作を書き下ろす際は、
震災に触れないと何故触れなかったのかと観客から言われてしまいそうだし、
触れたら触れたでそんな直接的には触れてほしくないと言われてしまいそうで。

作品作りにおいて、震災とどう向き合うか。

演劇という表現形態だからこそ、とてつもない現実に対して一歩引いた形で表現できないか。

多くの作家さんが作品作りでもがく中、先月のフェスティバル/トーキョー会見
次回作についての思いを淡々と語った遊園地再生事業団宮沢章夫(※)さん。

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ニュースも既に配信しましたが、書ききれなかった多くのコメントをここでご紹介します。

...宮沢章夫さんは、雑誌「ぴあ」最終号にもコメントを寄せていただきましたね

新作は『トータル・リビング 1986-2011』 

経済は下降線をたどり続け、その上、東日本大震災が世界に衝撃を与えた2011年と、
バブル前夜で浮かれながらも、チェルノブイリ原発事故が起きた1986年
時間と空間が断ち切られたふたつの年をパラレルに配置することで、
その中から浮かび上がる歪みを見つめ、今を問い直す作品になるとか。
8月14日、15日には同名のリーディング公演も行われましたが、リーディング公演と本編は別モノ。
本編についてこんなことを会見で語っていらっしゃいました。

宮沢「1986年のことは、現在とは関係なく、小説でも戯曲でも以前から書いてみたかった。極めて浮かれていたちょうど私が30歳の時期。当時を思い返してみると、我々はこのまま好調な経済やある種の幸福感や充足感がいつまでも続くだろうと思っていた。たまたま現在になってみて思うのは、経済も不安定である上に、震災、原発の事故も起き、それについて意識的に語らざるを得ない。原発、震災について意識しながら言葉を紡がないといけないのかなと思っていたら、1986年にチェルノブイリの原発事故があることがわかり、偶然性を感じた」

また、こんなこともおっしゃっています。

宮沢「(震災のこの年に、描こうとした1986年にチェルノブイリ原発事故があったという)この偶然性から1986年を改めて考えてみたい。この25年間を演劇的にどう描けるのか? また、私たちはどこに来てしまったのか?ということを、あの時(=1986年)から考えたい。そして、その表現方法についてはいろいろあるのではないか。遊園地再生事業団がスタートしたのが1990年だから、今年でちょうど20年。遊園地~は、10年ごとに表現を大きく変えて、2000年に入ってからは、それまでの表現と全く異なることをやってきた。そのスタイルも割と固まってきたので、別の表現のきっかけとなる舞台がここで出来るというのは幸福なことだ」


『トータル・リビング 1986-2011』 は
10月14日(金)から24日(月)までにしすがも創造舎にて。
チケット8月28日(日)より発売。
フェスティバル/トーキョー 全体のチケットこちら

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