2021年3月アーカイブ

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2020年、劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)と、女優・緒川たまきが結成した演劇ユニット「ケムリ研究室」。20209月、旗揚げ公演として『ベイジルタウンの女神』を上演した。KERAが描いたロマンティック・コメディは、コロナ禍にあった観客の張り詰めた気持ちを弾ませ和ませ大きな反響を呼んだ。そして、今年2021年8月〜9月、早くもケムリ研究室は、第二回公演として『砂の女』を上演する。

作風は一転、全く異なる趣の、ケムリ研究室の新たな実験が始まる。

今作は、安部公房の小説「砂の女」を原作とし、KERAが上演台本と演出を担当する。

「砂の女」は、1962年に書き下ろされ、近代日本文学の傑作と評されるとともに、世界20数カ国で翻訳され安部公房を世界に知らしめた作品である。

出演には、KERAとともにケムリ研究室の主宰である緒川たまきを始め、数々のKERA作品に出演、緒川との相性も抜群の仲村トオル、そしてオクイシュージ、武谷公雄吉増裕士廣川三憲、とKERAの信頼が厚い俳優陣が顔を揃えた。

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ある砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれる一軒家を訪れることになる。そこには一人の寡婦が住んでいた。家の中にはひっきりなしに砂が流れ込み、女はひたすら砂を掻き出し続けている。男は脱出を試みるが、女や村人たちに逃げ道を阻まれて閉じ込められ...。複雑怪奇な作品かと思いきや、リアルな心理描写や肌ざわりが、読むものを惹きつけて離さず、その顛末がどうなるのか気になって仕方がない中毒性を持つ作品。この作品を、KERAがどのように舞台化するのか、そして、緒川たまきが体現する砂の女の世界とは......期待は尽きない。

『砂の女』上演に向け、ケムリ研究室からコメントが届いた。

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『砂の女』上演にあたって

ケムリ研究室にとって『砂の女』はある種の憧れに満ちた題材です。

絡めとられた男、絡めとった女、欲望剥き出しの村人たち、そして砂-。強烈なイメージの数々。

安部公房氏の長編小説『砂の女』が、読者のその後の空想の中で自由に育ち続けているように、ケムリ研究室による舞台『砂の女』もまた、妄想と実験精神たくましく育てあげる所存です。

刺激的な時間をご来場の皆様とご一緒に過ごせることを楽しみにしています。

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ケムリ研究室

ケラリーノ・サンドロヴィッチ

緒川たまき

公演についての最新情報は、キューブHPhttp://www.cubeinc.co.jp )にて順次公開。

公演に先んじて、6月にはケムリ研究室主催のリーディング&トークイベントの開催も決定した。

詳細は続報を待とう。

公演情報

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ケムリ研究室no.2

『砂の女』

原作:安部公房

上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

出演:

緒川たまき 仲村トオル

オクイシュージ 武谷公雄 吉増裕士 廣川三憲

公演日程:

2021年822日(日)〜95日(日) シアタートラム 

9月兵庫公演あり

東京公演チケット一般発売:20217月予定

公演の最新情報はこちら→http://www.cubeinc.co.jp

お問い合わせ:キューブ 03-5485-2252

企画・製作=キューブ

イベント開催決定!!

ケムリ研究室『砂の女』を研究する 〜リーディング&トーク〜

6月11() LOFT9 Shibuya

出演 緒川たまき

   ケラリーノ・サンドロヴィッチ

お問い合わせ:LOFT9 Shibuya 03-5784-1239

チケット情報はこちら

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ゴジゲン第17回公演『朱春(すばる)』が4月1日(木)から11日(日)まで上演されます。

約1年3カ月ぶりとなる新作公演で、約4年ぶりに「ゴジゲン」のメンバーのみ(奥村徹也・東迎昂史郎・松居大悟・目次立樹・本折最強さとし・善雄善雄)での上演となる本作。どのような作品になるのか、作・演出の松居大悟さんと、目次立樹さんにお話をうかがいに行くと、『朱春』はもちろん、劇団の話や、ゴジゲンのYouTube「ゴジゲンのゴジtube」までさまざまな話題が飛び出したので、ぴあニュースに書ききれなかったことを、げきぴあでお伝えします!

***

――『朱春』の具体的な内容はまだ構想中とのことですが、現段階ではどのような作品にしたいと思われていますか?
松居 どんなふうにしたらいいんだろうと思っています。
目次 ははは!

――というのは?
松居 公演初日の4月1日がどんな世の中になっているのかが読めないので。ようやく演劇観れるぜ!という状況なのか、なんとか勇気を出して劇場に行くという状況なのかで違うなと思っていて。それを言い訳に考えてないです(笑)。ただ、劇団員6人だけでやるのも第14回公演『くれなずめ』('17)以来ではあるので、コアで狭い話にしたいし、くだらない話にしたいですね。多分、「居場所」にまつわる話になるんじゃないかなと思っています。

――「4月1日がどんな状況になっているかで違う」というのは、やはりこの状況が作品に影響を与えているということでしょうか。
松居 そうですね。多分どの劇団もクリエイターもそうだと思います。どっちに振ればいいんだろうというようなところで悩んでいて......日常の些細な幸せを愛おしいとするのかとか。去年、僕もいろいろ観に行ったのですが、そこで描かれていることは世の中からとても影響を受けていて。いかに自分が生きるかとか、半径5センチくらいのことを切実に描いているものが多かった。こうするしかない気もするけど、果たしてそれでいいのだろうか、みたいな。世の中を見すぎるとそうなるなって。それと、舞台『大地』を観た時に、めちゃくちゃ初期のコメディみたいな感じをやられていたのですが、僕の一席離れた隣の方が、笑いながらすごく泣いていて。きっと久しぶりにお芝居を観たんだなと思って、多分、笑えたことに安心したのかな。なんかそれがね、結構グッときたんですよね。カーテンコールで相島(一之)さんとかも泣きそうな顔でお辞儀されていて。劇を、生で観られたことも、上演したことも、素晴らしいと思いました。そうやって、笑えることが嬉しいなと思えたらいいなとか、考えたりもしています。

――目次さんはどんなふうに思いますか?
目次 僕は今、個人的な好みがどんどん、音楽でも、オールディーズだったりクラシックだったり、よりスタンダードと言われるものがよくなっていて。ドラマや映画も同じで、その時代を反映していることも大事だとは思うのですが、テーマが普遍的なものにしか興味がなくなっちゃったんですよ。この作品も、もちろん4月1日の状況もあると思うんですけど、スポーンとはねのけるくらいに、「自分たちはこれ!」っていうのが観たいっちゃ観たいかもしれないなと思っています。
松居 世の中を気にせず。
目次 そう。前作の『ポポリンピック』でオリンピックやパラリンピックを扱ったというのもありますが、今回はそういう時事ネタではなく、ゴジゲンのエッセンスが濃いものがいいなって。

――目次さんにとっての「自分たちはこれ!」はどういうところだと思われていますか?
目次 「僕らおじさんが青春を謳歌しているような姿」というのはちょっとありますね。例えば甲本ヒロトさんのような、どんどん年を重ねていくけどスタイルを貫き続けるあの姿勢がカッコいい。ゴジゲンもそういうふうになれたら、みたいな気持ちがあります。......若い人がどう僕らを見るのかはちょっと怖い部分でもありますけど。

――怖いですか?
目次 「この人たちいい年してなにしてんの」みたいなのはあるのかもしれない。でもそんなの関係ないっすよ!って気持ちです。

――目次さんが『朱春』で楽しみなのは。
目次 謎のワクワク感と安心感があります。脚本がない状態でも別に不安ってこともないですし

――それは信頼なんですかね?
目次 そんなカッコいい言葉では語れないかもしれないですけど(笑)。
松居 タイトルが岩松了さんの戯曲みたいじゃないですか?

――(笑)。確かに。それはどうしてだったんですか?
松居 側(がわ)から考えたんです。今回はタイトルをシンプルにしようと思ったのと、『青春』の次は『朱夏(しゅか)』というのですが、僕らは青春は終わったけど『朱"夏"』まではいってない気がする。『朱"春"』くらいがちょうどいいと思って。そしたら漢字がカッコよくて。演劇の賞でもとりそうな。
目次 賞、目指してたんだね。知らなかった。
松居 (笑)。でも、外よりもきれいな桜が見られる舞台になると思います!

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――先ほど、「居場所」にまつわる話とおっしゃっていましたが、それがテーマになりますか?
松居 きっとそうなると思います。パーティーの話なので。居場所というか、価値観というか。

――なぜ今、それをテーマにしたいと思われたのですか?
松居 個人的なことなのですが、最近はゴジゲンのメンバーも各々の大切な居場所ができはじめて、前はずっとうだうだしていたのに「稽古が終わったら家に帰りたい」という感じになってきました。僕はそれが寂しいから、それについてみんなで考えたいなと思っていて。答えは出なくてもいいんですけどね。
目次 仕事とか家庭とかあって、今は、稽古早めに切り上げてみんなでご飯食べて酒飲もうぜ、みたいなノリではいられなくなっていて。でもその時間は、作品にとって大事な時間でもあったんですよね。変わらないと思っていたものが変わっていくという状況は良くも悪くもありますね。
松居 一生このまま続くんだろうと思っていたことが「そうは言ってられない」となったときに、足首掴んでそうさせないようにするのが正しいのか、それぞれの生活に送り出すのが正しいのか......わかんないですけど。メンバーそれぞれで価値観が違うから、それを話したら、繋ぎとめられるんじゃないかって(笑)。
目次 はは!

――松居さんとしては繋ぎとめたいんですね。
松居 うん。

――だって楽しいんですもんね。
松居 1年の中でこの(稽古と本番の)2カ月が楽しみ。

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――目次さんにとってはどうですか?
目次 たしかにこの2カ月ってけっこう自分勝手でいられる時間ではあります。他のメンバーもそうで、他の現場だとやっぱりみんな「仕事」って感じで目の色も違うんですけど、ゴジゲンだと緊張もなんもないし、したらいけないこともほとんどないですし。スベッても奥村がツッコんで笑いにしてくれるし(笑)。結構わがままな時間なんだと思いますね。
松居 初期衝動みたいなものがここには詰まっているから、大事です。ちゃんとしなくてもいいというか、やりたいことだけ詰め込めたらいい。

――そういうところが注目もされるところなのかもしれないですね。
松居 いやいやいや、そんなに注目されてますかね?

――されてると思いますが、目指すものがありますか?
松居 チケットとかすぐ売り切れたい。
目次 それはうれしい(笑)。

――そこも目指しつつ、このスタイルで。
松居 そうですね。今話したことと矛盾しちゃうんですけど、「話題になりたい」というのはなくて。前に、売れようとしたから'11年にバーストしたし(ゴジゲンは'11年から3年間活動を休止した)。衝動のままなにか面白いものをやっていて、それをお客さんも面白がってくれてる状態を目指しています。難しいんですよね、だから。お金取っていいのかな、とか思う時もあります。
目次 俺ら楽しいだけだもんな、みたいなね。
松居 ただ、かといって「チケット代に見合うものをお届けせねば」みたいなことを考えることもないんです。スタッフさんたちの力もあって、結果的に価値のあるものになってよかったって思うんですけど、最初から「3800円取れるものにせねば」とか思うと息苦しくなっちゃうから。矛盾したつくり方ですけど。「気付いたらできるでしょ」って言いながらつくっていきたい。でも最近はそうなりやすくなってきた気がします。

――稽古場で、皆さんでつくっていくスタイルですもんね。
松居 僕は、気付いたら出来上がっていたらいいなと思ってるから。稽古という稽古をしないまんま、いつの間にか作品が立ち上がっているっていう。そりゃ先に台本があったほうがいいし、こういう取材でちゃんと内容を伝えられたほうがいいし、それは僕もわかっていて、多分、しようと思えばできるんです。でもそれをしちゃうと仕事になると思うと、難しい。

――ザ・仕事にはしたくないんですね。
松居 「チケット代に見合うコンテンツを"演劇ができる手順"に従ってつくりあげる」とか、「起伏がちゃんとあって、お客さんが最後に拍手したくなるもの」みたいなことを理詰めでやっていくと、とても、なんか、もたなくなるような気がする。
目次 うん。
松居 なので、そこに逆らいながら飯を食うことを一番にしている。ただその飯を食うことが難しくなってきた、みたいな。いろんな矛盾の中にいますね。

――ただ、松居さんは映画とテレビドラマもやられていますよね。そこは違うのですか?
松居 映画とドラマでも違います。ドラマは最近だと『バイプレイヤーズ』になりますが、映画は劇団とは違うもっと具体的な「こういうことを描きたい」とか「こういうものを伝えたい」とか「観た人のなにかを救いたい」とかをすごく思って、そこに向かって、感覚的に、できるだけ今までの映画のロジックにハマらないようなつくり方をしようとしています。ゴジゲンは、ひとつのテーマがあって、そこでみんなでうだうだすることにしているのですが。

――映画は「観る人」が先に立つんですね。
松居 監督なので「責任を取らねば」というのももちろんありますし。映画館に足を運んでもらいたい、というのがあります。ゴジゲンはなんか違うんですよね。「演劇を観に行く」というよりも、「ゴジゲンを観に行く」になってほしいし。失敗していたら「今回はダメだったね」となるような軍団だったらいいなというか。衝動的であり、実験の場所であり。だからドラマだけですね、ちゃんと仕事してるのは。
一同 (笑)
松居 ずっと個人的な感情でつくっていたいんですよ。大人になればなるほど、そうじゃないほうがいっぱい仕事できるってことは気付きだしてるんですけど、無理だなと思って。

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――松居さんがYouTubeをやりたいという噂をうかがいました。(取材時は公開前)
松居 長くなっちゃいますよ?
目次 今一番熱いですよ?

――(笑)
松居 みんな稽古が終わったらどんどん帰るようになっているなかで、YouTubeとかがあればちょっと話さなきゃいけないことが増えると思うんですよ。

――え、帰したくなくて!?
松居 ははは!あとはこのプラットホームがね。演劇が完全に元通りになるのがいつになるかわからないから。ひとつ、劇団の表現の場があったら安心だなって。メンバーも面白いし、それが伝わればいいなって。

――なにをするんですか?
松居 モーニングルーティン。
一同 (爆笑)
目次 やばいですよね(笑)
松居 でも劇団ってYouTubeをあまりやってないんですよ。というのも表現が真逆だから。演劇って「劇場まで足を運んで、高いお金払って、その時にしか観られなくて、期間が過ぎたら跡形もなくなって記憶にしか残らない」という芸術だけど、YouTubeはいつでも観られる。やっぱ手を出しづらいんですね。なので敢えて。

――楽しみです。いつから配信するのですか?
松居 来週からやります。(配信中▶「ゴジゲンのゴジtube」

――目次さんもなにかするのですか?
目次 やりますよ。担当のコーナーができているので。

――楽しみなことは?
目次 いや、もう.........仕方ない。
一同 (笑)
目次 主宰のわがままなんで。誰一人文句言わないのがすごいなと思います(笑)。
松居 でも「大丈夫?引いてない?」って聞いたらみんな無言でした。
目次 あはは!

取材・文:中川實穂

ゴジゲン第17回公演『朱春』は、4月1日(木)から11日(日)まで東京のザ・スズナリにて上演。チケットは現在発売中。

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Daiwa House Special Broadway MusicalThe PROMProduced by 地球ゴージャス」が、310日に開幕!これに先駆け、報道陣に取材会とゲネプロが行われました。

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2018年に米ブロードウェイで開幕し、翌年のトニー賞7部門にノミネートされた本作。メリル・ストリープやニコール・キッドマンの出演映画(2020年)がNetflixで配信され、話題を集めるこのミュージカルの日本版が、地球ゴージャス主宰の岸谷五朗さんによる脚本・訳詞・演出で初演されます。

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物語の舞台は、アメリカの高校で卒業生のために開かれるダンスパーティ"プロム"。レズビアンの主人公エマ(葵わかな)が、ブロードウェイの落ちこぼれスターたちとの出会いを通じて成長し、自分らしく生きようと奮闘する姿が描かれます。エマと同性の恋人アリッサ(三吉彩花)が育む恋路、そして自身の話題づくりのためにインディアナ州へ乗り込んでいった元スターの"社会貢献"の行方は──。

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げきぴあ編集部は、ゲネプロ前に行われた取材会の様子をレポート。初日を控えたキャストの熱いコメントを、舞台写真と一緒にお届けします!

葵わかな as エマ

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明るさの中にいろんなテーマが込められている作品が、ついに初日を迎えます。2ヵ月間、必死で稽古してきた成果を早くお客さんにお見せしたい、届けたい気持ちでいっぱいです!緊張もありますが、今は幕が上がる楽しみな気持ちが強いですね。映像化する予定のない"一期一会"な作品なので、今このタイミングでしか観られないキャストやストーリーをぜひ楽しんでください。お客さんとも一期一会の精神で、毎回のステージに立ちたいと思います。

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カップル役を演じるにあたって

エマは序盤から割り切れない複雑な心境にいる役どころ。深刻に捉えなければいけないと思っていましたが、演じるうちに身構える必要はなかったと感じるようになりました。彩花ちゃんとは稽古を通じて、長期にわたる公演をともに戦っていけるよいパートナーになれたと思っています。関係性のよさが、エマとアリッサの在り方に反映されている様子もご覧ください。

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三吉彩花 as アリッサ

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長い道のりと思っていましたがあっという間に開幕で、月日が過ぎる早さを実感しています。初めての舞台なので「最後列はこんなに遠いのか」「2階のお客さんに伝えるにはどうしたらいいだろう?」と自問自答しながらステージに立っています。会場の大きさに負けないくらいのパワーをと届けられたら。

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カップル役を演じるにあたって

わかなちゃんとは今回初共演ですが、そんな気がしません。楽屋も一緒で、稽古場でも席が隣同士。休憩中にコーヒーを飲みに行くタイミングまで同じで"くっつき虫"のようです(笑)。どんな瞬間も一緒に過ごすことで、エマとアリッサが愛し合っているのは当たり前なんだと感じられるようになりました。とてもリラックスできるお相手です。

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岸谷五朗 as バリー・グリックマン

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あっという間の2ヵ月。大変な稽古をみんなで乗り越えてきました。今まででいちばんエンタメ要素がある作品をつくっていくには、本当にたくさんの時間と努力が必要でした。やっと舞台装置もできあがってゲネプロまで漕ぎ着けましたが、まだ油断できません。とにかく作品の素晴らしさを日本の皆さんに届けたい。これからも努力を欠かさず登っていこうと思っています。

寺脇康文 as トレント・オリバー

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地球ゴージャス25周年記念公演はわずか8回で公演中止になり、それ以来の舞台になります。しかも普段のオリジナル作品ではなく、ブロードウェイミュージカルに挑戦するということで、また違った緊張感に包まれています。千秋楽まで完走したいですね!

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作品の見どころ

エマとアリッサの恋の行方や多感な高校生の思いもさることながら、もうひとつの軸は大人たちの物語にあると思っていて。落ちこぼれのブロードウェイスターたちが、かつての名誉を取り戻そうともがいていく。これに若者たちの葛藤が合わさってストーリーが紡がれていきます。

楽曲のレベルが高いので、少しでも手が届くように努力する日本版キャストの"もがき"に重なるかもしれません。困難を乗り越えた先のハッピーエンドに、コロナ禍に苦しむ皆さんの"もがき"も昇華されたらいいですね。地球ゴージャスらしい群舞にも力をもらえると思います。これぞミュージカルを堪能してください。

大黒摩季as D.D.アレン

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D.D.アレンは知寿さん・民代さんとのトリプルキャストで、私は出来の悪い"三女"(笑)。すべての臓器が口から出てきそうなくらい緊張していますが、お姉ちゃんたちの通しやゲネプロをいちばん観ている私からすると、本当に泣けて元気になれる作品だと思います。涙あり・笑いあり・思慮あり、人間が持っているすべての感情が刺激され、「明日もがんばろう」って気持ちにさせてくれるんですよね。大黒摩季のステージで、これほど心が動くことないですよ(笑)?コロナ禍で奪われた人との繋がりや温もりを、作品を通じて取り戻していけたら。

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キャラクターを演じた役者の魅力:岸谷評

D.D.アレン、末っ子の大黒摩季。初稽古から突き抜ける歌声を披露して、舞台を存分に楽しんでくれていました。『The PROM』の楽曲について、アーティストの大黒摩季はどう考えてる?

大黒

私たちミュージシャンが「ちょっとだけ遊んでみよう」とくすぐりで入れるようなトラップがあちこちに仕掛けられており、"スーパー幕の内弁当"的な最高峰の音楽だと思います。素晴らしいからこそ憎たらしい!でも超越したいナンバーだらけで挑戦のしがいがありました。

草刈民代as D.D.アレン

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非常にエネルギーが高い作品ですよね。とにかく心が揺さぶられる要素が詰まっていて。出ている私も日々突き動かされながらステージに立っています。ご覧いただければ、日常とかけ離れた心の動きを体験できる作品だと確信しています。コロナ禍でも心を動かすことを忘れてはいけません。この作品を通じて、観客の皆さんと心の躍動を共有したいですね。

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キャラクターを演じた役者の魅力:岸谷評

D.D.アレン、次女の民ちゃん。すらりとしたスタイルで、とんでもない存在感を持っています。今回は民ちゃんが振付を考えたパートがあるんだよね。とにかく両手を伸ばして踊るだけで、民ちゃんのキャリアが透けて見えるほど女優として輝いています。参加してみていかがでした?

草刈

歌いながら激しく踊るのが、これほど難しいとは。苦労したのはそこですね。歌稽古にしっかり取り組みました。

保坂知寿 as D.D.アレン

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劇場にいらっしゃることがままならない方、観に来てくださる方、いろんな方々の思いを舞台の上で感じています。これから観客の皆さんの前に作品を提示して、共有することになりますが、足を運んでくださった方を後悔させてはいけません。できることをどんどん積み上げながら、もっとよい作品にするための努力をしたいと思います。千秋楽まで感染対策に気をつけながら走り抜けられたら。

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キャラクターを演じた役者の魅力:岸谷評

知寿さんは映画版D.D.役のメリル・ストリープが扮した『マンマ・ミーア』のドナを舞台で演じたこともある実力者。全員のお手本となるような歌唱・ダンス・芝居でいつも稽古場全員の鳥肌を立たせてくれました。海外ミュージカルの経験が豊富な知寿さんは、この作品をどう捉えていますか?

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エンタメ性が多様化していて、新しさを感じる作品ですよね。『シカゴ』に『レ・ミゼラブル』にいろんなミュージカルのパロディが入っているので、お好きな方は嬉しいんじゃないかしら。

霧矢大夢 as アンジー

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開幕にワクワクする気持ちが勝って、それがお客さんに届けばいいなと願っています。私はD.D.アレン役の個性豊かな御三方と楽屋が一緒なんですが、お姉様たちの会話がもう楽しくて!稽古中のカオスな楽屋を思い出しながら、まずはアンジー役をしっかり務めたいと思います。

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キャラクターを演じた役者の魅力:岸谷評

きりやん(霧矢)は学級委員長的な立ち位置で、いちばんしっかりしていましたね。迷うとみんなきりやんに意見を求めに行って。今回はフォッシーダンスで魅了してくれます。きりやんがもともと持っている"優しさ"が透けて見えるシーン。オリジナルと異なる、ショーアップされた「Zazz」にご期待ください。

佐賀龍彦(LE VELVETS)as ホーキンス校長

コロナ禍でなかなかステージに立てない状況が続く中、稽古を通じて自分自身がどんどん元気になっていきました。一人一人、どのキャストを見ても登場人物の人生をまっとうする喜びを感じることができて。きらびやかなステージ、豪華なオーケストラ、心に届くメロディーの中で、自分自身も心を動かされています。お客様の心の扉も開けられるように務めたいと思いました。

キャラクターを演じた役者の魅力:岸谷評

佐賀ホーキンスには、愚直なまでの優しさがあります。龍彦自身の優しさが役に乗り移って、D.D.に響くシーンにご注目ください。

TAKE(Skoop On Somebody)as ホーキンス校長

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稽古初日に岸谷さんと寺脇さんから、地球ゴージャスが何をいちばん大切にしているかって話があった。「仲間」。この作品でもそう。ここに来てくれるお客さんも仲間。みんなでひとつのプロムに参加して仲間になれたら。

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キャラクターを演じた役者の魅力:岸谷評

TAKEの包容力とチラッと覗く色気がホーキンスに反映されています。龍彦との違いや三者三様のD.D.との組み合わせ次第では6通りの楽しみ方があるともいえますね。

*   *   *

最後に、岸谷さんは「結成当初、地球に住むすべての人々の心を豊かに、ゴージャスにできるカンパニーにしたいという意味で"地球ゴージャス"と名付けました。『The PROM』はまさにそんな気持ちになっていただける作品です」と太鼓判を押します。

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さらに「公演ができなくなってしまったブロードウェイの友人のためにも、日本で『The PROM』が上演された事実を"勇気"としてお渡しできたら」と続き、「お客様と心と心で通じ合いたいと思っています。感染症対策を万全にしてお待ちしております!」といって取材会を結びました。

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ゲネプロの様子は、ぴあアプリにて配信中。レズビアンの主人公カップルが人目を気にせずキスできるようになった多幸感あふれるラストに心が躍りました!自分の信じる道を切り拓いた彼らの強さから、ポジティブな力を分けてもらえること確実です。

取材・文:岡山朋代

撮影:藤田亜弓

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Daiwa House Special Broadway MusicalThe PROMProduced by 地球ゴージャス

2021310日(水)~413日(火)

東京・TBS赤坂ACTシアター

202159日(日)~16日(日)

大阪・フェスティバルホール

[脚本]ボブ・マーティン、チャド・ベゲリン

[音楽]マシュー・スクラー

[作詞]チャド・ベゲリン

[日本版脚本・訳詞・演出]岸谷五朗

[キャスト]

エマ:葵わかな

アリッサ:三吉彩花

D.D.アレン:大黒摩季、草刈民代、保坂知寿(東京公演のみ)※トリプルキャスト

アンジー:霧矢大夢

ホーキンス校長:佐賀龍彦(LE VELVETS)、TAKESkoop On Somebody)※Wキャスト

ミセス・グリーン:藤林美沙

シェルドン:小浦一優(芋洗坂係長)

ニック:青柳塁斗

ケイリー:島ゆいか

シェルビー:MARIA-E

ケビン:百名ヒロキ

加藤潤一、仙名立宗、田口恵那、砂塚健斗、杉山真梨佳、鈴木百花、飯田一徳、織里織、山田元、酒井比那、酒井翔子、内木克洋、高城徹

バリー・グリックマン:岸谷五朗

トレント・オリバー:寺脇康文

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310日(水)に開幕する「Daiwa House Special Broadway MusicalThe PROMProduced by 地球ゴージャス」の通し稽古が、2月下旬に公開されました。げきぴあ編集部は前回、主人公カップルを演じる葵わかなさん・三吉彩花さんのパフォーマンスを中心にレポート!地球ゴージャスらしい、エンタメ感あふれる群舞の様子も写真満載でお届けしています。

【The PROM通し稽古レポート/前編】日進月歩で成長!葵わかな×三吉彩花が体現する"自分らしい生き方"とは

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2018年に米ブロードウェイで開幕し、翌年のトニー賞7部門にノミネートされた本作。メリル・ストリープやニコール・キッドマン出演の映像化作品(2020年)がNetflixで配信され、話題を集めました。この人気ミュージカルの日本版が、地球ゴージャス主宰の岸谷五朗さんによる日本版脚本・訳詞・演出で初演されます。同性の恋人アリッサ(三吉)と参加しようとしたダンスパーティー"プロム"が中止になり、その原因になったといじめを受けるエマ(葵)の存在を知ったブロードウェイの元スターたちは、自分たちの話題づくりのためにエマを助けようとして──。

今回は、エマ&アリッサを取り巻く大人たちについてレポート。高校生カップルを翻弄しながらも巧みに物語を動かし、ハッピーエンドへ運んでいくパワフルさを見せつけてくれました! なお、取材日のD.D.アレン役は保坂知寿さん、ホーキンス校長役はTAKEさん(Skoop On Somebody)が務めていらっしゃいます。

*   *   *

保坂知寿 as D.D.アレン                            

ブロードウェイの『エレノア!』でタイトルロールのルーズヴェルト大統領夫人を演じ、ニューヨーク・タイムズ紙から酷評を喰らったD.D.アレン。トニー賞を2度受けた過去の栄光が忘れられず、つい高飛車に振る舞ってしまう憎めないキャラクターの持ち主です。

製作発表で岸谷さんに「D.D.アレンは過去にトップやセンターに立った人でないと演じられない役だが、知寿さまはその彼女よりもキャリアを重ねた、これぞ"お手本"のチャンピオン」と言わしめた保坂さん。この日の通し稽古では衣装に身を包み、貫禄たっぷりにトニー賞女優像を立ち上げます。

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ソロナンバーには聴かせどころが盛りだくさん!プロム中止を受けて揺れる高校に、エマを救おうと乗り込んだ時の「目立ちたくないのよ!私」では"主役はエマ、私じゃない(原曲タイトル:It's Not About Me)"と高らかに歌い上げるも、ブロードウェイスターとしてのプライドや自己顕示欲が隠しきれません。

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エマを利用した売名行為に失望するホーキンス校長の気持ちを動かそうと披露される「蕾は華ひらく」では、スリットの入った黄色いドレスから覗く脚線美で観客を悩殺! 保坂アレンの巧みな演技力、抜群のリズム感、迫力の歌声がホーキンス校長にどう影響したか......は、ぜひ劇場で確かめてみて。

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霧矢大夢 as アンジー                              

キャリアのほとんどを『シカゴ』のコーラスガールに費やし、俳優として今ひとつ突き抜けられないアンジー。最初は売名目的でインディアナ州を訪れたものの、次第にエマのよき理解者として伴走していくことになります。

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アンジーの魅力を堪能できるナンバーは、何といっても「Zazz」でしょう! 度重なるトラブルに自信を失いかけているエマを"自信とZazzスタイルで乗り越えて"と鼓舞する中で、演じる霧矢大夢さんは持ち前の柔軟性を遺憾なく発揮。白手袋を装着し、シルクハットを被ったエマ役の葵さんとアンサンブルキャストをリードするダンスシーンを展開しました。

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TAKE(Skoop On Somebody)as ホーキンス校長                 

レズビアンであるエマの立場や気持ちを尊重し、不寛容なPTAとの間に立つホーキンス校長。その温かい人柄は、ブロードウェイの元スターを筆頭に濃いキャラクターが勢揃いした大人たちの中で"清涼剤"としての役割を果たしています。貯金してはニューヨークへ観劇旅行に出るなど、舞台に造詣が深いのも共感ポイント高し!ですね。

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ミュージカル鑑賞を生きがいとしているホーキンス校長が劇中で繰り広げる「あなたを見ていたい〜」は、"推し"や劇場空間に対する演劇ファンの気持ちを代弁した曲として広く知られています。本作のPVとして動画配信されているこのナンバーを、TAKEさんは情感を込めて熱唱。目の前に現れた憧れのスター・D.D.アレンに向けて切実な歌声を響かせました。

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岸谷五朗as バリー・グリックマン                        

プレイングマネージャーとして、演出家席とステージを慌ただしく行き来していた岸谷さんは、プロムに人一倍の思い入れがあるバリー・グリックマン役。エマに共鳴する理由も、のちに明かされていきます。

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エマ&アリッサをはじめとする高校生たちがプロム参加に向けた準備のワクワク感を歌う「今夜の主役」で、岸谷バリーは華麗なタップダンスを披露!

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寺脇康文as トレント・オリバー                       

ジュリアード音楽院出身を誇るトレント・オリバーには寺脇康文さん。エマを攻撃する同級生の説得に奔走するなど、他のブロードウェイスター3人とは異なる形で主人公カップルを援護射撃します。

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その寺脇トレントがエマの同級生らと繰り広げる「汝 隣人を愛せよ」は、タンバリンでリズムを刻みながら一糸乱れぬ群舞を見せるにぎやかで楽しいナンバー。エンタメ要素がたっぷり詰め込まれており、地球ゴージャスらしさを体現した一曲といえるでしょう。

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人目を気にせず、恋人繋ぎを高く掲げられる世界へ                 

最後は全キャストによる「It's Time To Dance」でフィナーレ!

エマとアリッサによる「Dance With You」のしっとりとした歌唱から始まったナンバーは曲調が変わり、リズミカルにビートを刻むロックテイストの楽曲へ。アンジーに訪れた転機、D.D.アレン&ホーキンス校長による人間模様が次々に語られると、お待ちかねの"ショータイム"に突入します!

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レズビアンの主人公カップルが人目を気にせず、恋人繋ぎを高く掲げられるようになった多幸感あふれるラストに思わず心が躍り、ポジティブな気分で稽古場をあとにしました! 逆境にめげることなく自分の信じる道を切り拓いていく彼らのたくましさ、ぜひ劇場でも見届けたいと思います!

取材・文:岡山朋代

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Daiwa House Special Broadway MusicalThe PROMProduced by 地球ゴージャス

2021310日(水)~413日(火)

東京・TBS赤坂ACTシアター

202159日(日)~16日(日)

大阪・フェスティバルホール

[脚本]ボブ・マーティン、チャド・ベゲリン

[音楽]マシュー・スクラー

[作詞]チャド・ベゲリン

[日本版脚本・訳詞・演出]岸谷五朗

[キャスト]

エマ:葵わかな

アリッサ:三吉彩花

D.D.アレン:大黒摩季、草刈民代、保坂知寿(東京公演のみ)※トリプルキャスト

アンジー:霧矢大夢

ホーキンス校長:佐賀龍彦(LE VELVETS)、TAKESkoop On Somebody)※ダブルキャスト

ミセス・グリーン:藤林美沙

シェルドン:小浦一優(芋洗坂係長)

ニック:青柳塁斗

ケイリー:島ゆいか

シェルビー:MARIA-E

ケビン:百名ヒロキ

加藤潤一、仙名立宗、田口恵那、砂塚健斗、杉山真梨佳、鈴木百花、飯田一徳、織里織、山田元、酒井比那、酒井翔子、内木克洋、髙城徹

バリー・グリックマン:岸谷五朗

トレント・オリバー:寺脇康文

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Daiwa House Special Broadway MusicalThe PROMProduced by 地球ゴージャス」の通し稽古が、開幕初日を約10日後に控えたタイミングで公開されました。PCR検査で無事に陰性判定を受けたげきぴあ編集部は、この現場に潜入。製作発表で見せたチームワークさながら、キャスト・スタッフが一丸となって日本版の初演を成功させようという熱気と心意気を、前・後編にわたってレポートします!

2018年に米ブロードウェイで開幕し、翌年のトニー賞7部門にノミネートされた本作。メリル・ストリープやニコール・キッドマン出演の映像化作品(2020年)がNetflixで配信されたのが記憶に新しい人もいらっしゃるのでは? 話題を集めるこのミュージカルの日本版が、地球ゴージャス主宰の岸谷五朗さんによる日本版脚本・訳詞・演出で初演されます。

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レズビアンの主人公カップルと、彼女たちを取り巻く個性豊かなキャラクターたちが最終的に見つけた"自分らしい生き方"とは──? ブロードウェイ発の華やかな音楽とダンスシーンで彩られた本作の、基本的なストーリーをさらっておきましょう。

Story

アメリカで卒業を控えた高校生のために開かれるダンスパーティー"プロム"。

インディアナ州に住むエマは、同性の恋人アリッサとプロムに参加しようとするものの、多様性を受け入れられないPTAが開催中止にしてしまう。その原因をつくったといじめを受けるエマの存在を知ったブロードウェイの元スター4人は、話題づくりのために彼女を助けようとして──。

主人公エマには、『ロミオ&ジュリエット』『アナスタシア』でミュージカル経験を着実に積み重ねている葵わかなさんがキャスティング。その恋人アリッサには、本作が初舞台となる三吉彩花さんが名を連ねました。

エマのもとに現れる落ちぶれかけたブロードウェイの元スター4役には豪華俳優陣が揃い踏み!映像作品版でメリル・ストリープが演じた傍若無人なD.D.アレンに、大黒摩季さん・草刈民代さん・保坂知寿さんがトリプルキャストで扮します。また『シカゴ』の万年アンサンブルことアンジー・ディクソンには霧矢大夢さん。プロムに人一倍思い入れのあるバリー・グリックマンを岸谷五朗さんが、ジュリアード音楽院出身を誇るトレント・オリバーを寺脇康文さんが務めます。エマとアリッサが通う高校のホーキンス校長を佐賀龍彦さん(LE VELVETS)、TAKEさん(Skoop On Somebody)がWキャストで演じるのも見逃せません!

*   *   *

新型コロナウイルス感染症の影響による緊急事態宣言下とあって、稽古場は常にソーシャルディスタンス仕様。キャスト・スタッフともに不織布マスクをしっかり装着し、待ち時間は距離を取って見学するなど飛沫防止策を徹底していました。

通し前のわずかな時間にも発声練習し、ダンスシーンの振付をさらうなど準備に抜かりないキャスト一同。岸谷さんの「皆さん、ケガしないように気をつけましょう!」の号令をスタートの合図に、通し稽古の幕が上がります──。

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一幕は、かつてのスター俳優4人がブロードウェイでの栄光を歌い上げる「Changing Lives」でスタート。観客の人生に影響を与え、賞賛を糧にがんばってきた演じ手の思いを、一糸乱れぬラインダンスを繰り広げながら高らかに響かせます。

やがてこのナンバーは、プロム中止の犯人扱いを受け、ピンチに陥っている"エマの人生を変えよう(Changing Lives Reprise)"に変化していきます。出演作の酷評を受け、うだつの上がらない俳優業に風穴を開けるべく、話題づくりのためにエマの存在に注目した4人。彼女を救おうとプラカードを掲げ、自己顕示欲と承認欲求全開でエマの通う高校へ乗り込んでいく姿が何とも笑えるのです。

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葵わかな as エマ

レズビアンの女子高生であるエマを、葵さんは製作発表で「複雑な環境に身を置いている役」と言い表しました。「自分にとっての当たり前を貫くためにどうしたらよいか葛藤し、成長していく彼女の"強さ"を表現したい」と覚悟を覗かせたように、4人の訪問に戸惑いつつも次第に打ち解けていき、自分の信じる道を突き進むための糧としていきます。

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葵さんのソロ歌唱は数あれど、必聴すべきは紛れもなく「Dance With You」でしょう!誰に何をとがめられても恋人アリッサと"踊りたいだけ"という切実な想いを、葵さんは三吉さんの手を取ってリードし、時に見つめ合いながら歌います。

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ラストには、昂った気持ちを高音に乗せる最難関パートが。見事に歌い上げると、岸谷さん・寺脇さんを中心に、脇で見守っていたキャスト・スタッフからも大きな拍手が贈られました!

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エマの行動に共鳴した仲間たちと奏でる「ワンパクなHeart」では、ギターを片手に演じるシーンも。スローテンポながらも座っての発声はしづらいはず。しかし、葵さんは仲間と見事なハーモニーを響かせるのでした。

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三吉彩花 as アリッサ                              

エマと惹かれ合う一方で、PTA会長を務める母(ミセス・グリーン)の期待にも応えたい優等生のアリッサ。三吉さんはこの葛藤を、役名が冠されたソロナンバー「アリッサ・グリーン」に滲ませます。

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製作発表で岸谷さんから「毎日水をもらって伸びていく樹木のよう」と評価されていたように、初舞台・初ミュージカルながらも可憐な歌声で作品に華を添えていました。

また、これまで主戦場としてきた映像での演技力を遺憾なく発揮する一面も。エマとの恋路を表情豊かに立ち上げるほか、「アリッサ・グリーン」を歌い上げたあとの切ない人間ドラマにも注目していただきたい。


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地球ゴージャスらしい迫力の群舞も                        

とりわけ圧倒されたのは、アンサンブルキャストも含めた迫力の群舞やアクションでした。エマ&アリッサの同級生による告白シーンやプロムに参加できる喜びを爆発させる「You Happened」や、ハッピーエンドを象徴するラストナンバー「It's Time To Dance」では躍動するパフォーマンスから"元気"をお裾分けしてもらった気分に。地球ゴージャスらしいエンタテインメント要素も、存分に感じることができました!

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後編では、エマ&アリッサを取り巻く大人たちのパフォーマンスをレポートします。お楽しみに!

取材・文:岡山朋代

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Daiwa House Special Broadway MusicalThe PROMProduced by 地球ゴージャス

2021310日(水)~413日(火)

東京・TBS赤坂ACTシアター

202159日(日)~16日(日)

大阪・フェスティバルホール

[脚本]ボブ・マーティン、チャド・ベゲリン

[音楽]マシュー・スクラー

[作詞]チャド・ベゲリン

[日本版脚本・訳詞・演出]岸谷五朗

[キャスト]

エマ:葵わかな

アリッサ:三吉彩花

D.D.アレン:大黒摩季、草刈民代、保坂知寿(東京公演のみ)※トリプルキャスト

アンジー:霧矢大夢

ホーキンス校長:佐賀龍彦(LE VELVETS)、TAKESkoop On Somebody)※ダブルキャスト

ミセス・グリーン:藤林美沙

シェルドン:小浦一優(芋洗坂係長)

ニック:青柳塁斗

ケイリー:島ゆいか

シェルビー:MARIA-E

ケビン:百名ヒロキ

加藤潤一、仙名立宗、田口恵那、砂塚健斗、杉山真梨佳、鈴木百花、飯田一徳、織里織、山田元、酒井比那、酒井翔子、内木克洋、髙城徹

バリー・グリックマン:岸谷五朗

トレント・オリバー:寺脇康文

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イラストレーターの志島とひろが元号を擬人化した「元号男子」の舞台版が、2021年3月9日(火)より、東京・大手町三井ホールで上演となる。元号を冠したキャラクター、大正、昭和、平成、令和がひとつ屋根の下で暮らす様子を描き、和合真一(大正)、校條拳太朗(昭和)、平賀勇成(平成)、大薮丘(令和)がキャストを務める。志島のイラストと漫画がSNSを中心に広がり、ドラマCDとなった4人の日常を舞台作品として脚本化、さらに総合演出を務めるのは、「テレビ演劇 サクセス荘3」の監督&脚本、ミュージカル「青春鉄道」の脚本&演出で知られる川尻恵太(SUGARBOY)。そして、3月末より上演を控える「『笑ゥせぇるすまん』THE STAGE」の脚本を手掛けた白鳥雄介(Stokes/Park)が演出を担当している。今回「げきぴあ」では、2月下旬に行われた稽古の様子をレポートする。

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この日は、初めて衣装を着た状態での通し稽古ながら、新型コロナウィルス感染予防対策のためメイクは行わず、マスク着用の上でスタート。先輩元号として登場する幕末役の星璃は残念ながらこの日は不在だが、メイン・キャストの4人と、江戸役の前田剛史、明治役の大原海輝も加わり、細かな調整を加えながら、物語が進んでいく。華やかな容姿でおっとりとした話し方が特徴の大正、クールで硬派な見た目ながら少しせっかちな昭和、ゆとり世代でマイペース、ゲームが大好きな平成と、時代のイメージがキャラクターに反映されているが、異なる価値観を持ちながらも、それぞれを尊重し仲良く暮らしていることが、会話や行動から伺える。新たに加わることとなった元号男子=令和は、誕生したばかりということもあり、見るものすべてが新鮮な様子だ。

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