峰倉かずや氏の大人気コミック『最遊記』シリーズを原作としたミュージカル『最遊記歌劇伝』シリーズ。2008年の初演『最遊記歌劇伝-Go to the West-』、2009年の『Dead or Alive』、その後、2014年に『最遊記歌劇伝-God Child-』、2015年1月に『最遊記歌劇伝-Burial-』、2015年の『Reload』 から約4年......遂に!続編『最遊記歌劇伝-Darkness-』が今年6月に!そしてその続編となる『最遊記歌劇伝-Oasis-』が2020年早春に!上演されることになりました!!!
待ってました!という皆さんの気持ちに応えるキャスト陣にも注目です。『Darkness』には玄奘三蔵役に鈴木拡樹さん、孫悟空役に椎名鯛造さん、沙悟浄役に鮎川太陽さん、烏哭三蔵役に唐橋 充さんという、これまでのシリーズにも登場したキャストが出演!そして過去作で王老師役などを演じたうじすけさんが新たにフィルバート司教役で、初期2作で猪八戒役を演じたさいねい龍二さんが同役で限定復活します(『Oasis』では、3作目から同役を演じてきた藤原祐規さんが出演します!)。→くわしくはこちら
その『Darkness』『Oasis』で新登場するのが、死者を甦らせる術を持つ異国の司教・ヘイゼル役の法月康平さんと、その従者・ガト役の成松慶彦さん。大事な役割です!
げきぴあでは、法月さんにお話をうかがってきました!
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――『最遊記歌劇伝』に出演が決まっていかがですか。
出演者の皆さんからも、お客さんからも、かなり愛されている作品が帰ってくるということで、そこに新しい、しかも核となるキャラクターとして呼んでいただいたことは光栄ですし、とても楽しみで幸せです。個人的には脚本・演出が三浦 香さん、音楽が浅井さやかさんという部分も胸熱ですね。両方ともお世話になっている方なので。
――過去作をご覧になっていかがでしたか。
三蔵一行のキャストがかなり自分の役を極めているという印象は、シリーズのどの作品を観ても変わらなくて。みんながこの作品を高めようとしている、そういう熱さを感じました。
――そこに新キャストとして入っていくのはどうですか?
中途半端には入っていけないですよね。でも、その覚悟はあります。
――ヘイゼルを演じるうえで特に考えなきゃいけないと思っているのは?
ヘイゼルは闇を抱えているのですが、普段はニコニコしているんですよ。じゃないと崩れちゃうから。でもそれってガトがヘイゼルのことをヘイゼル以上に理解してくれているから、三蔵一行との前でニコニコしていられるんだと思います。
――ガトがいるからこそのヘイゼル。
でもふたりになると「ガトは実はあっちに行きたかったんじゃないか」と思ったり、ちょっとしたジェラシーを感じたり、そういうところが出てくる。そこには闇があって、それは他人の前では出したくないんです、ヘイゼルは。出したら自分が壊れちゃうってわかってるから。そのくらい重い闇だと思うし。だから、今作でどこまで描かれるかまだわからないですが、ハッキリしたエピソードが描かれないとしても、そういうものを抱えている人間だって伝わるヘイゼルをつくっていかなきゃいけないと思っています。それがほとんどじゃないですかね、今作の。
――ちょっと大変そうですね。
でも、そういうのはすごく好きなんです。抱えているものを出さないようにしているのに、ボロが出ちゃうっていう人。僕がそういう人間って言われるから。
――そういう人間なんですか?
僕はそんなこと思ってないですよ!そんなつもりないんですけど、なんなんでしょうね。人に「闇がある」ってすごく言われるんですよ。2018年もその印象は変えられませんでした......。
――(笑)
でもヘイゼルの、ニコニコしている「そういう者」でいたい気持ちはわかります。見せたくない自分がいるから、そうなんだと思うし。だから自分を少しずつヘイゼルに入れてつくっていきたいですね。
――重なる部分から切り開いていく。
はい、そこは「どこまでキャラクターに寄せるか」とも関わってくると思います。僕の場合、もちろん原作は読み込みますし、大事にしますが、「"舞台のヘイゼル"はまだいない」と思っていて。だから幕が開いて「これはこれでアリだよね」と思ってくれたらすごく嬉しい。だから「寄せにいく」というよりは、自分がつくったヘイゼルが「どのくらい原作に重なるか」じゃないかな。
――人がキャラクターを演じる、原作ものの舞台化ならではの楽しさですね。
だと思います。
――ガト役の成松さんとは初共演ですが。
はい。さっき成松さんと初めてお会いしましたが、見た感じがもうガトでした。撮影の時、背中の大きさを感じて、ガトだな...って思いました(笑)。
――(笑)。ヘイゼルを演じるうえで、ガトの存在は重要ですか。
相当重要です。ヘイゼルのガトに対する想いは、簡単には語れないところだと思っていますが、「いることが当たり前の関係」なんだけど、なんでそれが当たり前になっているのかって部分は今回見せなきゃいけないと思っています。
――「いることが当たり前」のような、本人同士にしかわからない関係性を舞台でわかるようにみせるって難しそうです。
そうですね。ヘイゼルとガトは一緒にいてもあまり会話もしないですし。でも、そういう相手って「いなくなる」と思った瞬間に急に焦りませんか。そういう、関係性だからこそ生まれる怖さみたいな、その瞬間が描けたら、そこはキーになりそうです。
――聞いているとヘイゼルは苦しそうな役ですね。
楽しいって言えるような役柄ではないですよね。抱えながら生きているわけだから。だから戦っていきたいです、役と。やりがいはあると思います。
――演出の三浦さんとは、『Club SLAZY』シリーズで一緒にやられていますが、役作りするうえではどういう存在ですか?
今回もそうなるかはわからないですが、僕は(三浦)香さんが求めるものに寄せたいと思っています。それはやっぱり香さんの演出を信じているし、尊敬しているから。それが表現できたら、絶対にお客さんは受け入れてくれると思っているんです。
――それは『Club SLAZY』シリーズでQ役をつくったときに感じたのですか?
そうです。まず自分でつくったQを、香さんが求めるものに寄せていったことで、お客様に喜んでもらえたという感覚がありました。今回もそうしていきたいなと思っています。
――法月さんは浅井さやかさんの音楽も経験済みですよね。1月には浅井さん主宰のOne on Oneの作品にも出演されますし。
浅井さんって、俳優の声を考えて曲をつくってくれる方なんですよ。だから多分みんな歌いやすいと思います。でも毎回ちゃんとがんばらないとできない楽曲を当てられるので。成長もさせてくれる方です。今回またご一緒できて本当に嬉しいです。
――法月さんはミュージカルの印象が強かったのですが、2018年はミュージカル以外の作品も多く出演されましたね。
そうですね。『In This House〜最後の夜、最初の朝』『ドリアン・グレイの肖像』『世界の終わりに君を乞う。』はストレートでした。この経験で改めて芝居の楽しさを知ったと思っています。稽古場での居方も変わりましたし。
――どう変わったのですか?
「人の芝居を見たい」ってより強く思うようになりましたね。2018年は"粗"が表に出た1年だった。そのままでいいと思っていたものがそうじゃなかったことを知りました。だから人の芝居の見え方も変わったんだと思います。
――それを知ってどうなりましたか?
ああ~......大変になりました。ストレスを感じるようになった、いい意味で。そして遣り甲斐も今まで以上に感じるようになった。気付けて良かったです。もっと知りたいって思うし、成長したいです。
――『最遊記歌劇伝-Darkness-』でもどんな法月さんが見られるか楽しみです。
今年は成長を止めずにいきたいです。1~2月に浅井さんの作品(「天才作曲家~Composer~」)に出演するので、そこを経てこの作品ができるのも嬉しいですね。僕にとってはかなり久しぶりの2.5次元作品でもありますし、今は単純に素敵になる気配しかないです。
ミュージカル『最遊記歌劇伝-Darkness-』は6月6日(木)から14日(金)まで東京・ヒューリックホール東京 にて上演。チケットぴあでは1月28日(月)より、チケット最速先行の受付を開始。