「東松山戯曲賞」作品を公募。選定委員に岩崎正裕、岩松了、桑原裕子、瀬戸山美咲らが決定

 

公益財団法人東松山文化まちづくり公社主催の『東松山戯曲賞』公募発表会が、4月26日、埼玉・箭弓稲荷神社にて行われました。

 

この戯曲賞のコンセプトは「〜平成家族物語〜舞台芸術によるまちづくり」で、東松山市やその周辺の街を舞台に、来年で終わる"平成"という今の時代を生きてきた家族の姿を通して、来るべき新たな時代を考えていこうという企画です。

 

プロジェクト第一弾は、この先、急速な高齢化が進むことが予測されていることから「大都市周辺の街」「家族」「希望」という3つのテーマを掲げ戯曲を募集。優秀作には50万円の賞金と、3年かけて朗読劇、演劇、音楽劇として上演されます。

 

選定委員には、舞台芸術普及活動を幅広く展開されている岩崎正裕さん、劇作家・演出家・俳優の岩松了さん、KAKUTA主宰の桑原裕子さん、ミナモザで劇作・演出を務める瀬戸山美咲さん、そして同プロジェクトのコーディネーターとして参加する彩の国さいたま芸術劇場・事業部長の渡辺弘さんの5名が務めます。

  

第一弾の選定作品は、瀬戸山さんを演出に迎え、平成31年3月に朗読劇として上演されることが決定しました。

 

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発表会では、東松山市長・森田光一氏、東松山市教育長・中村幸一氏が挨拶を行い、主催する同公社理事長の石田義明氏が企画趣旨を説明。また、発表会に参加した瀬戸山さん、渡辺さんは次のようにコメントしました。

 
埼玉県芸術文化振興財団業務執行理事兼事業部長:渡辺弘さん

 

戯曲賞を開催し、選び、上演するだけでも1年や2年がかかる大変な事業なのに、このホップステップジャンプの3段とびに驚いた。一つの戯曲が、まずは朗読劇という形で助走し、次に演劇作品にする。それをさらに音楽劇するという事で、市民と共に上演したいという、石田理事長はじめ、スタッフの方々の熱意に動かされた。

戯曲賞というのは、劇作家協会や近松賞などありますが、劇作というのは上演されてはじめて成立す る。上演という事も含めて、選定委員も、具体的にできる方を選ぼうとまず思いました。劇作家だけやっている方もいるが、劇作もするが実際に演出もする、両方携わっている方がいいかと思いました。
ちょうどこのお話を頂いた頃に、岩松さんとゴールドシアターの新作を終えたところでした。岩松さんも様々な戯曲賞に関わっており、また、兵庫県が主宰し、多くの市民がかかわる、ピッコロ劇団の芸術監督もされているとのことで、岩松さんにまず相談をして引き受けていただきました。岩崎さんは関西の方で 先日、上田市で市民劇をつくられました。私としては、どうしても女性に入っていただきたく、瀬戸山さんと桑原さんという今一番輝いているお二人にご相談した。特に瀬戸山さんは多摩でも市民劇をされていま す。世田谷でも、そういった活動をやってらっしゃる。また、劇作家としても輝いているミナモザという劇団で素晴らしい作品をお創りになっていらっしゃる。今年、6 月には、私どもの劇場で海外の戯曲を演出していただきます。
問題はこれから秋に、3か年ステップアップしていく、この事業の作品を選ばなくてはいけないというで す。2019年3月には、瀬戸山さん朗読劇の演出を行なっていただく。さらに、2年目の演劇の演出、そし て最後の音楽劇は正直全くどんなタイプになるかわかりません。
ただ、一つの戯曲が変わっていくさまは本当に面白いし、そこに参加する市民の方たちのなかで演劇に関係のない、音楽の方が関わったり、美術の方が加わったり、市民劇としての大きな広がりを感じます。 これは、新しい動きができるのではないかと思います。私自身もそれに向かってとにかく全面的にサポー トしていくつもりです。

 

 

演出家・劇作家:瀬戸山美咲さん

 

最初この戯曲賞のお話を伺ったとき音楽劇の構想まであると伺って本当にびっくりしました。でも、東松山のみなさんの熱い想いに触れ、未知のことだからこそぜひチャレンジしてみたいと、審査員と演出を引き受けました。
戯曲賞は作家にとって活動を始めるための入り口となりますが、思ったより多くはありません。このような かたちで新しい戯曲賞ができることがまずとても嬉しいです。私自身も 20 代のころに地方自治体のやっている戯曲賞に応募して、その時は実力的に追いつかなくて漏れてしまったのですが、審査をされた方から「いいところがありました」とお手紙をいただいて、それが長い間励みになっていました。
今回、平成家族物語と銘打っていますが、私自身、平成という時代を振り返ったことはまだありません。 しかし、すでに30年分語ることがあり、また、「大都市周辺の街」「家族」「希望」という 3 つのテーマは、 じっくり考えるとすごく取り組み甲斐のあるテーマだと思っています。
昭和の終わりから、都市はどんどん広がっていき、ベッドタウンができました。この30年間の大都市周辺 のひとつの町を描くことは、この30年間の日本全体のことを書くことにもつながると思います。
「家族」というものも、この 30 年ですごく形が変わってきました。特に女性をめぐる状況は、ここ一か月く らいの間で地殻変動が起きていると感じます。女性の状況が変わったら男性の状況も変わっていくと思 っていて、男性の生き方もこれから色々幅が広がっていくと思います。応募する劇作家のみなさんは、自 分の家族のことでもいいですし、足を運んで取材してみたり調べたりして、一軒一軒の家の中で何が起 きているのか想像して、この作品を書いていただけたら嬉しいです。
「希望」ということは考えれば考えるほどわからなくなる部分です。成長というのもが希望だった時代では もうありません。人とのつながりだったり、他者を認めることであったり、一人ひとりが生きている実感をもって生きていくことだったり、新しい希望のかたちというものを、ぜひこの戯曲の中に書いていただけたらと思います。
そして、今回上演にあたって市民の方と一緒に作品をつくるというのをとても楽しいと思っています。地域 で演劇をやっていて一番面白いのはみなさんの目的がバラバラだということです。演劇自体に興味があったり、地域のことに興味があったり、ただ人と出会いたかったり。目的がいろんな人が劇場で出会って一つの作品を作っていく過程には、新しい発見がたくさんあります。
戯曲賞で上演の演出をするということで、現時点でどんな作品になるかお話できない、想像できないスリリングさもあります。一人でも多くの方に応募していただき、よりクオリティの高い良い作品を選べたらと思います。最終的に音楽劇にしていくときは、最初に書いた戯曲のままやるのが難しい部分も出てくると思います。作者の方との共同作業を重ねながら、3 年間の時間をかけて戯曲を育てていくつもりで一緒に取り組んでいきたいと思っています。
締め切りまで 4 か月、長いようで短いです。お題が決まっているというのは実はとても書きやすい部分も あったりすると思うので、ぜひ色々な方に応募していただけたらと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 


  

▪️応募受付期間

平成30年5月1日から8月31日まで ※当日消印有効

▪️入選発表

平成30年10月下旬〜11月(予定)

▪️賞金

優秀作(1篇)50万円

公式サイト: http://www.pac.or.jp

 


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