■Coloring Musical『Indigo Tomato』特別特集 vol.4■
小林香が手掛けるオリジナルミュージカル『Indigo Tomato』。
映像記憶能力や芸術的な能力が非常に優れている「サヴァン症候群」の青年とその家族が織りなす物語を、たった5人のキャストで描き出す新作ミュージカルです。
5月某日、その稽古場を取材してきました。
そのレポートの、後編です!
★前編は→コチラ
物語は、サヴァン症候群の青年を主人公にしたもの。
とても軽い気持ちでは向き合えない物語かもしれませんが、全編を通しての印象は重くはなく、とても軽やかな気持ちにすらなる、素敵なミュージカルです。
どこかキラキラしたポップな音楽であることに加え、登場人物たちのポジティブで優しい気持ちが描かれているからでしょう。
平間壮一さん演じるタカシの目に映る世界もきっと、キラキラしているのだと思います。
弟のマモル(溝口琢矢さん)は、兄の面倒を見るため、様々な夢を諦めてしまっています。
いつもは内心の葛藤は抑えていますが、たまには爆発してしまう。それは仕方ないこと...。
タカシの才能を知ったユーゴは、彼をテレビに引っ張りだそうとします。
自分のペースを崩されるのを何より嫌う、サヴァンの人たち。
タカシも最初は見向きもしませんでしたが...。
彼が、ユーゴの話を受ける理由、ここ、グッとくるポイント。
そんなユーゴを演じる大山真志さん、業界人らしい押しの強さを巧みに演じてます。
ギラギラしてます(笑)。
前編のレポートでも書きましたが、安藤聖さん扮するあやちゃんが、素敵!
誰もが好きになってしまうような、元気でチャーミングな女性です。
タカシだけでなく、マモルの救いにもなっているのでしょう。
ちなみにこちら、「その他の人々」を演じるメガネの安藤さん。
メガネをしている時のキャストの皆さん、妙にイキイキとしていますので必見です(笑)。
様々な女性を演じ、時にコミカルな表情も見せる彩吹真央さん(剣幸さんとWキャスト)ですが、誰よりも兄弟のキーマンになるこの女性を演じるときは、魂の熱演でした。
主人公の兄弟は生きるのに苦労もしていますが、人と人との繋がりというとても身近なテーマを、決してきれいごとではなく、優しい筆致で軽やかに書いた脚本。
その物語に真摯に向き合う、実力派の俳優たち。
そしてポップで美しい楽曲。
オリジナルミュージカルの新しい名作が、間違いなく生まれます!
取材・文:平野祥恵
撮影:石阪大輔
【公演情報】
5月23日(水)~30(水) 博品館劇場(東京)
6月9日(土)・10日(日) サンケイホールブリーゼ(大阪)