■Coloring Musical『Indigo Tomato』特別特集 vol.3■
小林香が手掛けるオリジナルミュージカル『Indigo Tomato』。
映像記憶能力や芸術的な能力が非常に優れている「サヴァン症候群」の青年とその家族が織りなす物語を、たった5人のキャストで描き出す新作ミュージカルです。
5月某日、その稽古場を取材してきました。
前後編でレポートをお届けします!
この日は冒頭から最後まで止めずにやる、「通し稽古」の日。
平間壮一さんが演じる主人公のタカシは、数学や暗記に特殊な能力を持つサヴァン症候群の青年。彼の頭の中を表すような楽曲は、円周率や素数といった数字の羅列だったり、とっても変わった歌詞なのですが、音がとってもキラキラしていて美しい!
音楽を担当するのは堀倉彰さん。
作・演出の小林さんとは、昨年の『I LOVE A PIANO』に続いてのタッグですね。
それでもって、平間さんの演技も素晴らしいです。
障害を持つ青年を演じるということは、役者にとって、非常に難しく、気も遣うことだと思いますが、とても真摯に役と向き合っているのが伝わってきます。
また、喋り方も当然、普段とはまったく違うものなのですが、その喋り方から歌に変わっていくところも違和感がない。
何よりも、暗記や計算能力に秀でる能力を持つタカシです。
...平間さん、円周率を一体何桁まで覚えたんだろう!? という凄いシーンもあります!
兄のタカシを支えてきた弟マモルは、溝口琢矢さん。
兄の世話をするために、色々なことを諦めてきたマモル。
複雑な葛藤を抱きながらも、それでもマモルを悲劇的には演じていない溝口さんのキャラクター造形も、とても上手い。
この兄弟、応援したくなってしまいます。
また平間さん扮するタカシも、表情には出ないけれどマモルのことをちゃんと思っているのがまた、良いのです。
大山真志さんが演じるのはユーゴ・オブライエン。
彼はテレビマンで、タカシの特異な才能に目をつけたことから、この兄弟の運命が少し違う方向へ動きだすのです。
大山さん、バリバリの野心家で、迫力~!
歌にダンスに、大活躍です。
そして公園のカフェの店員のあやに、安藤聖さん。
安藤さんの演じるあやちゃん、ポジティブで温かくて、笑顔が素敵で、スタッフ一同「あやちゃん、イイ!」と大絶賛でした。
たまに疲れてしまうタカシとマモルも、きっとあやちゃんの笑顔に救われているのでしょう!
そしてこのカフェのおススメがトマトジュース。
タイトルの「トマト」がどう登場するのか、お楽しみに~!
兄弟にまつわる多彩な女性は、彩吹真央さんと剣幸さんがWキャストで演じます。
この日の稽古場では彩吹さんがご登場。
たくさん素敵な彩吹さんが拝見できますよ!
私は冒頭近くに登場する、白衣の「高野先生」に扮する彩吹さんの凛々しさ、そして名前からして気になる「フェラーリさん」の三枚目っぷりのギャップにやられました!
メガネをかけると、「その他の人々」に変身した合図。
ここは俳優さんたちによって、どんなキャラ付けにするのか自由度があるようです。
大山さんなどは「通行人」といったちょっとしたところでも色々と仕掛けをぶちこんで、爆笑をさらっていました。
作・演出の小林香さん。
おそらく一般的な脚本とは違う方向の脳みそを使ってるであろう平間さんの記憶力も凄いのですが、この脚本を生み出した小林さんも...凄い!
レポート、後半に続きます!
取材・文:平野祥恵
撮影:石阪大輔
【公演情報】
5月23日(水)~30(水) 博品館劇場(東京)
6月9日(土)・10日(日) サンケイホールブリーゼ(大阪)