「華~女達よ、散り際までも美しく~」 稽古場レポート


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晴れやかな春の日、劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)のアトリエでは公演が数日後に迫った「華~女達よ、散り際までも美しく~」の稽古の真っ最中。
この日は衣裳やメイク、かつらなどすべて本番さながらに行われる衣裳通しと呼ばれる稽古かあるということでお邪魔させていただいた。

入ってまず目を引いたのは、衣装の荘厳さである。平安時代の十二単のような鮮やかで派手なものとは違い、紫や白、黒を基調としながらそこに散りばめられた無数の華々。普段の練習では、自分の浴衣を稽古場に持ってきて、着物に慣れるよう稽古に取り組んでいるそうだ。

そんな衣裳を身にまとうのは「スーパーエキセントリックガールズ」と呼ばれる劇団SETの魅力的な女性たち。さらにゲストとして、歌手・ミュージカル等で活躍中の河西智」、元タカラジェンヌの花奈澪、夢みるアドレセンスの小林れい、ダンスグループ・Red PrintのMIHO BROWNKieである。

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脚本には歴史物に定評のある鈴木哲也。演出は2.5次元舞台やコンサートの演出も精力的に行い、エンターテインメント作品に定評のある大関真が名乗りを上げた。
メイクや着付けを待っている役者たちは、歌の音程を確認したり、殺陣の立ち回りの確認をしたりと準備に余念がない。
稽古場である2階に案内されると、そこには見上げるほど大きな舞台装置が。雛壇のように階段状に積み重なった高さのある舞台。吹き抜けで2階分の高さがある稽古場の天井に今にも床が触れそうなほど高い。一番高いところで7尺をこす高さになっているそうだ。
衣裳通しが始まった。

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今回の物語において男性は一人も登場しない。戦国時代に活躍した大名の妻や侍女、妾などに焦点を置くことにより登場人物全員が女性という舞台を実現させたのだ。また、登場人物に豊臣秀吉の妻「おね(淀君)」ほかにも「茶々」や「出雲阿国」、「細川ガラシャ」など実在した人物を使っているのも特徴の一つだろう。豊臣秀吉の死後から徳川家康が江戸幕府を開くまでの間を、史実を用いながらもifの世界が描かれている。

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もちろん、SETの旗印である「ミュージカル・アクション・コメディー」の要素も忘れてはいない。日本舞踊のような静かで趣あるダンス。高低差のある舞台を駆け巡り、薙刀や小刀を縦横無尽に振るう殺陣。小気味よい間で所々に盛り込まれた笑い。歴史物に苦手意識を持っている人でも楽しめる内容になっている。
通し稽古に取り組むキャストの顔は真剣そのもの。

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殺陣のシーンは思わずこちらが危ないと叫んでしまいそうなほど、激しくスピード感にあふれている。高低差があるステージ上を多くの登場人物が駆け巡り、武器と武器だけでなく体術を使った本格的なアクションシーンも攻撃側と守備側の息の合った演技で、まるで本当に戦っているような迫力がある。

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今回、本格的な殺陣は初めてだという河西。だが、そんな様子は微塵もなく自分の身長ほどもある薙刀を優雅に扱っていた。夢みるアドレセンスの小林も同じで、本格的な殺陣は初めてと言う事だったが小刀を両手に持ち、動きだけではなく構えも見事に役になり切って演じている。
ダンスシーンは、日本舞踊のような静かなパートと、激しいポップなパートに分かれていた。ダンスの振り付けを担当したのは出演者の一人として茶々の侍女を演じる「MIHO BROWN」。着物姿の艶やかなダンスも見どころの一つだ。

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元タカラジェンヌの花奈澪は、日本舞踊の経験があるというだけあって、指先、扇子のもち方に至るまで洗練された踊りを見ることが出来た。Red PrintのKieのダンスも必見だ。着物を着て激しいダンスを踊るその姿。キレのある動きは思わず目を奪われる。
コメディ要素も随所にちりばめられているため、SETの女優陣がコメディエンヌの本領を発揮してストーリーの中で良い箸休めになっている。
演劇を見るのが初めてという人も楽しんでみることが出来るだろう。

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この作品は、戦乱に身を投じた男たちの裏で、男よりも気高く、強かに時代を生き抜いた女たちの華やかな軌跡を感じることができる舞台になるだろう。

「華 ~女達よ、散り際までも美しく~」は、 4月23日(月) ~ 4月29日(日・祝)まで、紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA にて。チケットは現在発売中。

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