この夏、アニメ『ONE PIECE』の世界を音楽とパフォーマンスで魅せる、ブラス・エンターテイメント『ワンピース音宴 〜イーストブルー編〜』が開催される。数々のエンタメショーを手がける演出の金谷かほりさんと、『ONE PIECE』音楽の生みの親であり音楽監督の田中公平さんに、今の構想を聞いた。
(人物紹介 ※もう知ってる!という方はこちら!)
演出・構成・振付: 金谷 かほり
人気テーマパークのシニアクリエイティブディレクターとしてライブショーを全面的に監督する他、日本と西洋を絶妙にブレンドしたドラマ要素の高い演出を得意とする。ダンサーとしてキャリアを始めるものの、すぐに”作り手”としての興味に開眼。クラシックバレエのバックグラウンドを持ち、最新のトレンドを捉えた演出センスにより、アーティストそして観客に支持されている。日本全国のテーマパークでのショーの他、有名アーティスト、スポーツイベント等、様々な場で活躍。手がけた作品は、エンターテインメント業界で世界的権威を誇る多くの国際的な賞を受賞している。
<代表作品>
音舞台 金閣寺 2017年
ドラゴンクエスト ライブスペクタクルツアー 2016年
ルソフォニア世界大会開会式 2013年
倉木麻衣 2010年「ハロウィン・ライブ」
B’z 2008年「GLORY DAYS」、2006年「MONSTER’S GARAGE」他
DA PUMP 2001年「The Amazing DP」
フリースタイルモトクロスショー AIR X
シティ・オブ・エンジェルス(1992年、中村雅俊主演)
ザッツ・ジャパニーズ・ミュージカル(1991年、川平慈英主演)
おちも堕ちたり(1991年、市村正親主演)
他
音楽監督: 田中 公平
東京芸術大学音楽学部作曲科卒業後、ビクター音楽産業に3年間勤務。その後、米国ボストンのバークリー音楽学院に留学。帰国後、本格的に作・編曲活動を始める。作曲した楽曲は10,000曲を越え、2008年からは新たに歌手としての活動も開始し、2011年頃からは海外でのコンサート等、行うなど世界にアニソンを普及するため精力的に活動している。
<主な作品>
ワンピース、サクラ大戦、トップをねらえ!、勇者王ガオガイガー、
機動武闘伝Gガンダム、キングゲイナー、銀河鉄道999エターナルファンタジー、笑ゥせぇるすまん、かいけつゾロリ、氷菓、鬼平など
<代表的なオープニング曲>
ウィーアー!(TVアニメ「ワンピース」初代オープニング)
ウィーゴー!(TVアニメ「ワンピース」2012.10~ オープニング)
ジョジョ~その血の運命~(TVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 第1部オープニング)
ゲキテイ(TVアニメ「サクラ大戦」オープニング)
勇者王誕生!(TVアニメ「勇者王ガオガイガー」オープニング)
『ONE PIECE』 とは
海賊王を夢見る少年、”モンキー・D・ルフィ”を主人公とする、「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を巡る海洋冒険ロマン漫画。信頼できる仲間たち〝麦わらの一味〟とともに、大海原へ乗り出す夢・冒険・友情をテーマに掲げた壮大な物語。
『週刊少年ジャンプ』1997年7月22日より連載開始。原作は尾田栄一郎。
2017年に連載開始から20周年を迎え、コミックスの1巻から87巻までの全世界累計発行部数は、4億3000万部を突破。
1999年10月に開始したテレビアニメは、現在、フジテレビ系列で毎週日曜日の朝9時30分から放送中。
<イーストブルー編>
テレビアニメ第1話〜第61話にて描かれる主人公ルフィと最初の仲間ゾロ、ナミ、ウソップ、サンジとの出会いを描いたはじまりの物語にして、『ONE PIECE』の数あるストーリーの中でも屈指の人気シリーズ。命の恩人、海賊団のリーダー・シャンクスからもらった麦わら帽子をトレードマークにルフィは航海に出た。海賊王を目指して。航海の途中、幾多の事件、事故に遭遇するが、その度に強力な仲間を加えていくルフィの冒険から目が離せない!
「ブラス・エンターテインメント」とは
管楽器とパーカッションで魅せる新感覚のエンターテインメント。ブラスバンド、マーチングバンド、ドラム&ビューグル・コーがベースになっており、優れた演奏技術だけでなく、美しいフォーメーションとスピーディーな舞台構成、ノンバーバル(非言語)による感情表現が特徴。
——日本初演ということでどんな舞台になるのかを教えてください。
金谷 『ONE PIECE』とその音楽の素晴らしさを軸に、ブラスバンドやマーチングバンドの演奏とパフォーマンスでシーンも再現して見せるスタイルです。フィルムコンサートや2.5次元のお芝居とは違い、音楽がメイン。実力ある演奏者がアニメのキャラクターの衣裳…海兵、海賊、悪者の一味などの衣裳をまとい、音楽を演奏し、動き回ります。バンドが二つに分かれて、演奏しながらの対決シーンも考えています。
田中 画期的なのは、音楽が録音でなく生演奏だということ。演奏者はものすごく上手い人ばかりで25名超。2/3がアメリカ人キャストです。台詞はありますか?
金谷 少しだけ。できるだけ音楽の世界観をお楽しみいただき、観て感じとれる形にしたいです。
田中 キャストは演奏しながら、マーチングの動きや振付も入れて、演技もするから大変ですよね。
金谷 難しいのは、演出としては高音の盛り上がりで奏者を動かしたいけど、奏者は音を出すのに集中するからそれどころじゃない。ビジュアルと音楽の流れをどう調整するのかが鍵ですね。また主要キャラクターは役者が演じます。キャラクターに合う身体能力と、顔やスタイルなど似た容姿を持つ人を選びました。一目惚れさせる魅力、キャラクターに近い人柄の持ち主。もちろん『ONE PIECE』を好きな人。きっと女性のお客様にもご満足いただけるかと。
——イーストブルー編を選ばれた理由は?
金谷 シリーズ化を目指して、未来永劫続けるために(笑)。
田中 野望としては、海外公演。私は世界十数カ国でオーケストラコンサートをやっていますが、「ウィーアー!」はお客様全員が日本語で歌ってくれて、パリやロンドンで二千人の大合唱を体験しました。日本を代表する文化で世界が認めたサブカルチャー、絶対に盛り上がるはずです。
金谷 第一部では、主人公ルフィと最初の仲間ゾロ、ナミ、ウソップ、サンジが仲間になっていく物語とそれぞれの事情を綴ります。第二部はルフィが音楽の宴を開き、TVアニメのオープニング曲やエンディング曲、映画の主題歌など、有名曲の数々でお客さんと一緒に騒げたら。舞台やライブは同じ空間で共感できるのが魅力です。人がパフォーマンスすることで途方も無いものを観せてくれる。その感動は日常生活ではなかなか味わえません。子供も大人も劇場に来るようになればいいなぁ、と。
田中 マンパワーの良さ、ですね。音楽もデジタル制御せずに、毎回違うグルーヴ感が出ると面白いかな。
金谷 よく思うのは、お客様と演者が両思いになるモーメントがあるんですよ。最初は皆さん、引いて観ているんだけど、途中からバッチリ両思いになり高まっていく。ライブ空間が持つ力の凄さですね。
田中 自然に立ってしまったり、熱狂したり。そのためにも、今、観客の皆さんが参加できるシーンを作りたいと考えているところです。
金谷 観劇後に家に帰って、あれがこうだったね!と会話が弾むといいですね。『『ONE PIECE』は一家全員で好きというケースも多いので、親子の絆が深まるはず。ブラスバンドの演奏は一人ではできず、大勢で一つのゴールを目指します。そんなキャストたちの姿が、『ONE PIECE』の物語や音楽と重なって、ものすごいパワーとして伝われば最高です。
——『ONE PIECE』という物語の、どこが魅力だと思いますか。
田中 アニメの立ち上がりから音楽を作ってきましたが、僕は昔から壮大なものが好きで。『ONE PIECE』で一番最初に書いたのが「海賊王になるんだ!」という、船で乗り出すシーンの曲。その大海原に出るワクワク感!今回も演奏しますよ。
金谷 私は子供の頃から少年漫画が好き。『ONE PIECE』は仲間が各自、個性と目標を持ち、お互いを信頼してベタベタと助け合わない。すごく道徳的ではないけど、物語から学べることも多い。子供に伝えたいこと、大人のヒントになることがたくさん詰まっているのが素敵です。
©Taro
——最後にメッセージをどうぞ。
金谷 初演ということで、『ONE PIECE』の挑戦、冒険というテーマがこの作品にも含まれています。皆さんの心を必ずワクワクさせますから、ぜひ劇場に足をお運びください。
田中 コミックと映画、テレビまで広がった『ONE PIECE』の世界が、今度はブラスパフォーマンスに。今までと違う味わい方を、全身で体験していただきたいです。
ワンピース音宴(おとうたげ)
イーストブルー編
2018 年8 月12 日(日)〜9 月2 日(日) 全28公演
東京国際フォーラム・ホールC(東京・有楽町)
■ 原作:尾田 栄一郎(集英社『週刊少年ジャンプ』連載中)
■ 演出・構成・振付 :金谷かほり
■ 音楽監督 :田中公平
■ 主催:キョードー東京/フジテレビジョン/東映アニメーション音楽出版
■ 協賛:伊藤園
■ 監修:集英社/東映アニメーション
■ 企画制作:キョードー東京
【お問合せ】キョードー東京
0570-550-799(平日11:00~18:00/土日祝10:00〜18:00)