宝塚歌劇月組『1789-バスティーユの恋人たち-』東京公演が6月19日、東京宝塚劇場で開幕しました。
2012年にフランス・パリの「パレ・デ・スポール」で初演され、以降フランス語圏で上演を重ねているヒット作。近年『ロミオとジュリエット』『太陽王』など続々と日本上陸を果たしている"フレンチ・ミュージカル"で、本作はこの月組公演が日本初演です。
物語はフランス革命を舞台に、革命に翻弄される人間の生き様を描くもの。
フランス革命を描いた作品といえば、宝塚では、かの名作『ベルサイユのばら』や『スカーレット・ピンパーネル』がありますが、本作は革命を起こす側...民衆側の視点で描かれているのが、今までの宝塚での上演作と一線を画すところ。さらに現代フレンチ・ミュージカルらしいポップでキャッチーな音楽が彩る本作を、個性豊かな月組のメンバーが熱演し、熱い舞台が展開されていました。
初日に先駆け同日、最終舞台稽古が公開されるとともに、月組トップスター龍真咲、娘役トップ・愛希れいかが取材に応じました。
その会見の様子をレポートします。
龍真咲&愛希れいか 囲み取材
龍「日本初上演、そして東京初上陸となります『1789』。群集劇、群像劇、さまざまなドラマがあるミュージカルです。フランスで多くの話題を生んだように、この日本でもたくさんの話題を呼べたらと思っています」
愛希「宝塚大劇場で温めてきた作品、役を、東京のみなさまにも楽しんでいただけますように、心をこめて1回1回精一杯務めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします」
――今回は最後のデュエットダンスまで、トップコンビが全然絡まないというのも新鮮ですね。それぞれ役を作る上でのご苦労などを聞かせてください。
龍「ロナンという役は民衆のひとり。例えば、宝塚のオリジナル作品ならば、スポットが当たりにくい役なのではないかなと思います。やっぱりこの十何年という男役をやっている歴史があり、今までかっこつけて、かっこつけて、かっこつけ過ぎてきたので(笑)、その中で、どういう風にひとりの男を演じなければいけないかというのは、最後まで周りの様子を窺いながら作っていました。最後まで(役を)作らず、通し稽古をした時点でどんな風にまわりとの関係性の中でロナンがいればいいのかを見極めて作りました。最後の最後まで(役を)作らないというのが初めてだったので、それが私にとっての挑戦でした」
愛希「アントワネットという役をさせていただくにあたって、やはり宝塚では『ベルサイユのばら』という作品でのアントワネット像というものがあます。その印象が私の中でもすごく強く、お客様のアントワネットへの思いというものもすごく強いということを感じていました。今回この作品で描かれているアントワネットというのは(今まで宝塚で描かれてきたものとは)異質な部分もありますが、そこの部分をいかに、アントワネットという人物にどう融合させて新しいものにできるかというところを、重視してやらせていただいております」
――『ベルサイユのばら』『スカーレット・ピンパーネル』など、フランス革命を扱った作品に多くご出演されています。同時代を扱っていますが、この作品ならではの描き方をどう受け取りましたか?
龍「先ほども申し上げたことなのですが、例えば『ベルサイユのばら』だったらアンドレが亡くなるとき、橋の下にいる人物たちが、今回の主役。そういう民衆にスポットが当たるのはとても面白いと、最初にフランス版を観た時に思いました。フランス版は歌がメインでお芝居部分があまりないですので、そこのあたりをどうするのだろうと、私たちも台本をもらうまで楽しみにしていたのですが、そこはさすが小池(修一郎)先生の力ですね。あきらかに民衆が主役とはいえ、そのバックグラウンドである"歴史"というところを大きく作っていかなきゃいけないというのが、このミュージカルの課題だと思いました。
今回、私と愛希が相手役としてではなく配役されたということには本当にたくさんのご意見をいただいたのですが、それがどういう意味であったか、どのくらい民衆と王室の間の距離があったのか、それを繋ぐオランプという存在がいるからこそどのようにミュージカルが進んでいくのかというのが、ひとつの見所だと思います。そこのところを楽しんでいただければと思っています」
愛希「龍さんもおっしゃっていたように、今回は一人ひとりにとてもドラマがある。民衆にスポットがとても当たっていて、その民衆のストーリーが、すごく素敵な曲とともに描かれているというのが、とても良いなと思っています」
【公演情報】
・7/26(日)まで上演中 東京宝塚劇場
取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)