■『トロイラスとクレシダ』vol.3■
シェイクスピアの"問題作"に名優たちが挑む『トロイラスとクレシダ』。
トロイラス役の浦井健治さん、クレシダ役のソニンさんに続き、今回はトロイ王プライアム役の江守徹さんのインタビューをお届けします。
【『トロイラスとクレシダ』バックナンバー】
江守さんはこれまでにも『オセロー』『ハムレット』『マクベス』等々、数々のシェイクスピア作品に出演、
日本におけるシェイクスピア劇の上演史に深くその名を刻んでいます。
今年1月に演じた『リア王』(鵜山仁演出)のタイトルロールも、大評判を得たのは記憶に新しいところです!
◆ ビジュアル撮影レポート ◆
撮影はこんなかんじで進められました。
江守さんのプライアム王からは、静かだけれど力強いポーズが次々と繰り出されていきます。
その後、トロイラス役の浦井健治さんとの2ショット撮影も。
王と、その末子の図。
撮影現場はこんな雰囲気です。
このあとに行ったインタビューで、浦井さんは「江守さんとの撮影はとても幸せに思いました」と話していらっしゃいました。
◆ 江守徹 INTERVIEW ◆
――シェイクスピア作品には多数ご出演されていますが、『トロイラスとクレシダ』は初めての出演ですね。この作品について、どんなイメージを抱いていますか?
「私は観たことはありますが、確かに上演機会は少ない作品です。ただ、有名なトロイ戦争の話だからね、とっつきにくくはないと思う。その中で、戦争に悩むプライアム王を演じます」
――チラシには"愛と戦いの物語"とあります。
「自分は"戦いのパート"だね。プライアム王はトロイ戦争の中心人物ですから。戦争がどうなっていくか、と悩む王様です」
――さきほどの撮影では力強いポーズを次々と取っていらっしゃいました。どんなお気持ちで撮影に臨まれていたのでしょうか。
「自分が臣下たち、国民たちを守らなきゃいけないという意識でやっていました」
――共演者の皆さんとはお話をされましたか?
「まだ話していません。ただクレシダ役のソニンとは、以前彼女の舞台デビュー作だった『8人の女たち』(2004年)を演出していますので、それ以来。久しぶりに一緒に仕事をするので、楽しみですね」
――江守さんは1月の『リア王』に続いてのシェイクスピア作品です。シェイクスピア俳優とも称されることも多々あるかと思います。そんな江守さんが思う、シェイクスピア戯曲の面白さはどこにあるのでしょう。
「『ハムレット』から『ロミオとジュリエット』、『マクベス』、様々なタイプのものがあるけど、史劇の中で人間を非常に上手く書いている。それが面白いし、それによって人々の心を強く掴んだ。だから、戯曲が書かれて400年もたった現在の、しかも遠い日本でも上演されるほどになっているんだと思う。もちろんシェイクスピアはイギリスのもので、イギリスで一番名声があるけれど、でも世界的になったというのは、そういった面白さがどこの国でも共通しているからだと思います」
――一方で、特に若い世代では"古典"イコール難しそうだ、と思う人もいると思います。
「それは頭で考えちゃうからなんだよね。実際はそう難しいということはないんだよ。シェイクスピア独特の韻などはイギリスの話で、日本だと翻訳されているからそういう難しさはなくなっていますし。第一、シェイクスピアの特徴である"ブランク・ヴァース"というもの自体、ちょっと日本語には訳しようがないからね。だからそれは気にしないでいい。もちろん英文学を志す人にとっては大事なことだろうけどね。難しそうと思わずに、史劇の面白さ、もしくはその中にあるロマン劇の面白さを楽しめばいいんです」
※ブランク・ヴァース=脚韻は踏まないが音の強弱でリズムを作り出す、無韻詩と呼ばれる形式。
取材・文・撮影:平野祥恵
【公演情報】
・7月15日(水)~8月2日(日) 世田谷パブリックシアター(東京)
・8月15日(土)・16日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
※ほか、石川・岐阜・滋賀公演あり。
★先行決定!★
【東京公演「プリセール」(WEB先着)まもなく受付開始】
受付:5/9(土)10:00~5/15(金)23:59
【兵庫公演「プリセール」(WEB先着)まもなく受付開始】
受付:5/9(土)12:00~5/14(木)23:59