キリスト教で神と司祭に仕える男の子=アルターボーイたちが、歌とダンスで福音を説き、迷える魂を浄化せんとボーイズグループを結成した!
崇高な使命のもと集まったメンバーは、新・旧約聖書のマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ、アブラハムに相当する名前を持つ、マシュー、マーク、ルーク、フアン、アブラハムの5人。
アイドルさながらに歌い踊り、客席から黄色い歓声を浴びる彼らのステージの傍らには、会場内の観客たちの"迷える魂"の数を表示する"ソウルセンサーDX12"。
アルターボーイズの目的は、彼らの歌と踊りとおしゃべりで、そのセンサーが指し示す数字をゼロにすること。
大盛り上がりのライブ会場に比例するようにセンサーの数はどんどん減っていくものの、次第に彼ら自身にも"迷い"があることが露見してきて...。
NY発、2005年にはベスト・オフ・ブロードウェイ賞を受賞したミュージカル『ALTAR BOYZ』。
会場全体を"アルターボーイズのライブ会場"という空間に見立てた中で、個性を爆発させ、キャッチーな歌とハイレベルなダンスで魅せていく美しい5人の男子の物語は日本でも熱狂的に受け入れられ、2009年の初演から始まり2010年、2012年と公演を重ねています。
再演を重ねるごとに様々な"チーム(5人組)"が登場してきましたが、2014年、新生BOYZが誕生!
今までオリジナルキャストに冠せられていた〈RED〉のチーム名を、大久保祥太郎、大山真志、川原一馬、法月康平、山下翔央の5名が背負います。
〈LEGEND〉チームの復活も発表され、2014年の『ALTAR BOYZ』も面白いことになりそう!
そんな新生BOYZから、フアン役・大久保祥太郎さん、ルーク役・川原一馬さん、マーク役・法月康平さんの3人に意気込みを伺ってきました。
大久保祥太郎&川原一馬&法月康平
INTERVIEW
――皆さん、『ALTAR BOYZ』という作品にはどんな印象を抱いていましたか?
法月「ずっと受け継がれている作品だということは知っていて、とにかく人気で、大勢の人に愛されている...という印象が強いです。本当にすごい人気だって聞いていたから、そこに新しいチームで入っていくということが怖かった。今も怖いです。それは、再演されていく作品には付きものなんだと思いますが」
川原「僕は相当な運動量と、歌唱スキルが問われる作品だなと感じています。そんな作品で、今までオリジナルキャストを中心としたチームが〈REDチーム〉と呼ばれてきた中で、今回僕たち若手チームが〈REDチーム〉として演じる。今回の"新生『ALTAR BOYZ』"という作品で、そこがすごく大事なことなんだろうなと。僕たち5人が、〈LEGENDチーム〉とはまた全然違った色の、若い力で魅せることが出来たらと思っています」
大久保「僕も同じことを言おうとしました! 〈LEGEND〉はオリジナルメンバーも多く、毎回やっていらっしゃる方々なので、比較もされると思うのですが、それに負けない、若いチームをみんなで作っていけたらと思います」
――ストーリーや内容については、どんな感想を持ちましたか?
大久保「今までに観たことのないタイプの作品。ライブ中のライブ、という印象です」
法月「ずっと(舞台袖に)ハケないらしいですよ、出ずっぱり。ヤバいと思いません? お水飲めないんだよ!?」
川原「いや、お水は置いてあるでしょ」
法月「あ、じゃあそこは大丈夫ですね(笑)! とにかく歌とダンスが多くて、その間にあるセリフも5人5色で、キャラが強い。キャラの作り方もわからなくて、最初の段階でどう入っていけばいいのか...」
川原「とりあえず、動いてみましょうよ」
大久保「稽古をしながらね」
法月「不安だわー...。僕、事前に考え込んじゃうタイプなんです。僕の演じるマークにはソロナンバーが1曲あって、それがすごく素敵なんです(『EPIPHANY』)。でもすごく難しい曲で。...それが不安なんですよ...(小さな声に)」
大久保「その曲にいくまでの長ゼリフも大変そうですよね」
川原「うん、すごく長いよね。でもやるしかないでしょ!」
――皆さん、まだちょこちょこ敬語ですね(笑)。
法月「ぜんぜん、敬語です(笑)」
川原「会ったの、今日で2・3回目くらい?」
大久保「そうなんですよ、早く仲良くなりたいんです!」
法月「打ち解けたいですよね、早く。一馬君と僕は舞台で一度共演しているんですが。祥太郎君とは初めてですね」
大久保「僕は(山下)翔央君とは今年だけでも3度目の共演で、半年くらい一緒にいます。みんなそれぞれに、初めましての人がいたり...という状態ですよね」
川原「もうでも、さっき打ち解けた感がある!」
法月「嘘でしょ、早い!」
大久保「舞台の映像、観ました?って話で、打ち解けましたよね(笑)」
――でもこの作品、各々の個性はもちろん、5人が合わさって出来る"チームの個性"も重要になってくる作品だと思います。5人の絆がどう出来上がるかも楽しみですが...
法月康平
法月「そこは...大丈夫じゃないかな? あまり心配していないです。すごく仲良くなれると思う」
大久保「5人しか出演者がいないから、話し合う時間も多くなると思うし」
川原「うん、多分大丈夫だと思います。チームごとに作品の色が全然違うじゃないですか。俺たちだったらどういう風にできるんだろうとか、自分たちでもディスカッションして提示する部分がたくさんあればあるほど面白いものになると思うので、ちゃんと話していきたいです。それに僕たち〈LEGEND〉には若さでは負けないと思ってますから」
法月「そこで負けちゃだめですよね、若さが武器!」
川原「やっぱりどうしても自分たちも〈LEGEND〉と比較してしまうところがある。〈LEGEND〉の皆さんは大先輩だし、そのダンススキルもパフォーマンスも、色んな作品を観て知っているし。そこに対して自分たちがどこまで食らい付いていけるかという勝負。この作品を通して、僕ら個人としても、〈REDチーム〉としても、ひと回りもふた回りも成長できる機会になってくると思います。だから...」
大久保「ギラギラしたいですね!」
川原「うん、僕たち〈REDチーム〉の赤は"ギラギラとした赤"にしていきたいですね」
――それぞれ、現時点でご自分の演じる役がどんなキャラクターだと思っているかを教えてください。
川原「ルークは、マッチョ。みんな筋肉質なんですけど、中でも彼はパワーがあって、男らしい振る舞いは多い...かな?」
大久保「盛り上げるタイプですよね」
川原「だから俺がそれをやったらちょっとどうなるのかな、恥ずかしいな...と思う部分もあります」
法月「うん、そんな一馬君、見たことない! ...僕の演じるマークは、とりあえず"乙女なゲイ"だということと、"マシューのことをすごく好き"。そのふたつの情報を持って、稽古に挑みます。でも『ALTAR BOYZ』に出るんだと言うと、色んな人に「ああ、マークは康平っぽいから大丈夫だよ」って言われます。それ、どういう意味?って思ってるんですけど(笑)」
川原「うん、"ぽい"と思うよ」
大久保「フアンはスペイン語訛り、日本版では関西弁訛りですね。関西弁でちょっとおちゃらけて冗談を言って...というキャラクターなんですが、本当は教会に捨てられていた子。親を探し求めて町を出て、みんなと出会うという役です。親がいないという感覚は、国を問わず共通していると思います。寂しかったりする中でも、元気に振舞っている、無理して自分も周りも盛り上げているという部分を、難しいとは思いますがちゃんと表現したいです。僕、関西弁の役も初めてなんですよ。東京生まれなんですが、両親も親類もみんな関西の人。家では両親が関西弁なので、その勢いで頑張ります!」
大久保祥太郎
――皆さん、自分のどんな個性をアピールしていきたいですか?
法月「難しいですね...。僕が一番好きなのは"歌"なんです。だからさっき言っていた素敵なナンバー、一番怖いとは言いましたが、一番そこを見て欲しいとも思います。何かに対して苦手意識を強く持ってしまうということは、すごく好きでやっているという思いの強さでもあると思うんです。それは歌にしてもダンスにしてもなんですが、技術がどうこうというより、パワーを見せたいですね」
川原「僕はそんなにたくさんのミュージカルに出ているわけではなく、歌ったりすることが今までに多くなかったので、この作品をやることで、自分の中のまだ未知数な部分がどうなっていくんだろうという、"挑戦"の気持ちです。何ができるんだろうという楽しみ、それは僕個人だけでなく、僕らが集まってどうなっていくんだろうという楽しみでもあります。ここを見てくださいというよりも、「僕らを見てください」という感じです」
大久保「僕は久しぶりのちゃんとしたミュージカル。今までずっとレッスンもやってきましたので、やっぱり"歌とダンス"かな。こんなに歌って踊る作品もなかなかないですし。ソウルセンサーが最後にゼロになるように、お客さまに、すっきりした気持ちで帰って欲しいですね。その中にも宗教問題や移民問題とかがあって、お芝居としてしっかり芯がありながらも、本当に"ライブ"として見て欲しいかな」
――観客も、もちろん舞台を観に来ているわけですが、"アルターボーイズというグループのファン"であり、"アルターボーイズのライブに来たファン"として扱われます。ある種、客席も一緒に仮想空間を作りあげるという独特の空間になります。それだけに"ライブ"の感覚は重要になりますね。
川原「芝居であって、芝居じゃない部分もありますよね」
大久保「リアリティを出したいですね。アドリブを言ってすべって笑いが起きたりとか、セリフを噛んでそれをフォローしあったりとか、そういう生の楽しさもある作品。だから早く仲良くなって稽古したい。"グループ感"を出しつつ、なおかつ個人個人でも際立っていけたら」
川原「ただ、この作品自体がオフブロードウェイ・ミュージカルじゃないですか。人種差別の問題だったり、この作品が作られた当時のアメリカの時代背景だったり、王道のミュージカルでは出せないトゲトゲしさもある。そのあたりは日本の小劇場でやっているのと似たようなトガった部分があるんですが、宗教問題だったりとか、僕ら日本で生活している者からしたらほど遠い内容も含まれている。それを日本でやってどれだけの人が共感してくれるのかという不安もあるのですが、この作品が多くの人に受け入れられている現実があるということは、そこに関しても僕たちはきちんと理解した上でやらなきゃいけないんだとはすごく感じています。バランス、兼ね合いですよね。あまりにメッセージ性を伝えすぎても、"作品"すぎちゃう。生の自分たちと作品の"中間"を突き進んで作っていきたいと思います」
川原一馬
――すごくいいまとめを頂きました! 最後に、作品からちょっと外れた話題を。懺悔をして魂の浄化をしていくアルターボーイズたちですが、皆さん、「懺悔したいこと」を告白してください!
法月「...つい先日終わった舞台があるんですが(『CLUB SLAZY』)。当たり前のことなんですが僕、あんまりセリフを噛みたくないんですね。その作品は、ストーリーテラーみたいなところもありすごく長ゼリフが多いキャラクターで、稽古は全然噛まずにやっていたんです。まわりからも「康平、噛まないねぇ」「ぶれないわー」って言われてたんです。で、初日、最初に「ようこそいらっしゃいました」というところで、まあ見事に噛みました(苦笑)。自分で何が起きてるのかわからなくて、その後すぐのセリフでも噛みました...。終わったあともみんながそのことを言ってくれないんです。ものすごく申しわけない気持ちになりました。もう切なくて。みんなが触れてこないから自分からも何も言わず。一番最近の話で謝りたいのは、それです...」
大久保「僕も、この前やっていた舞台(つかこうへいダブルス2014 )の稽古中、声がカスカスになっちゃって。つかこうへいさんの作品を2本同時に上演するという企画だったのですが、つかさんの作品なのでセリフの量も多いし、叫ぶし。ホントに声が出なくなって、数日、後ろでセリフを言ってもらって口パクをするという史上初の経験をしました。本番には直ったんですが。もう二度とないようにします!」
川原「僕、全然思いあたらない...。まわりには迷惑をかけてると思うんだけど...あ、わかった。楽屋が汚い!」
法月「あぁ、そうだったね。一馬君の鏡前、汚いわ(笑)」
川原「鏡前が汚くて迷惑かけてます! 心が打ち解けてる時は汚いです。他人行儀だとすごい気をつけます。これ、センサーです(笑)」
――じゃあ『ALTAR BOYZ』の楽屋が綺麗か汚いかで、川原さんが心を開いているかどうかわかると(笑)。
法月「絶対汚いと思うけどね!」
川原「いや、絶対直します。今ここで懺悔したので、もう僕の鏡前は綺麗です!『ALTAR BOYZ』は綺麗な鏡前で挑みます!」
取材日は10月上旬、まだ稽古が始まっていないという中でのインタビューで、ところどころ敬語が混ざるのも初々しい3人でしたが、これから新生REDチームの絆がどんどん深まっていく、そのはじまりの段階での貴重なお話が訊けたような気がしました。
大久保さん、川原さん、法月さんに、大山真志さん、山下翔央さんが加わった新生REDチームがどんなチームを、作品を作り上げていくのか、期待して開幕を待ちましょう!
【公演情報】(出演者は50音順)
〈RED〉
●11/21(金)~30(日) 新宿FACE(東京)
出演:大久保祥太郎/大山真志/川原一馬/法月康平/山下翔央
〈LEGEND〉
●11/24(月・祝)~12/8(月) 新宿FACE(東京)
出演:植木豪/小林遼介(Wキャスト)/中河内雅貴/森新吾(Wキャスト)/東山義久/良知真次
〈TOUR〉
●12/10(水) 名鉄ホール(愛知)
出演:植木豪/小林遼介/中河内雅貴/東山義久/良知真次
●12/13(土)・14(日) 松下IMPホール(大阪)
12/13出演:植木豪/中河内雅貴/森新吾/東山義久/良知真次
12/14出演:植木豪/シークレットキャスト/中河内雅貴/東山義久/良知真次