イキウメの前川知大が、ドストエフスキーの「地下室の手記」を現代の日本に置き換え演劇にした。
"カタルシツ"(語る室)と銘打ち、ホームベースとしているイキウメからはみ出したものをやるための別館を作ったという前川。
その第一回が今回の「地下室の手記」だ。
世間から軽蔑され虫けらのように扱われた男は、自分を笑った世界を笑い返すため、自意識という「地下室」に潜る。
世の中を怒り、憎み、攻撃し、そして後悔の念からもがき苦しむ、終りのない絶望と戦う元小官吏のモノローグ。
舞台は帝政ロシアから現代日本に。
ネットのストリーミング生放送で、カメラに向かって理路整然と罵詈雑言。
「......それでも俺は四十までは頑張ってきたんだ。他人と、社会と上手くやろうと努力したんだ。だがよく聞けボンクラども、もうこれ以上我慢できん。俺はもう降りる。こんな人生はウンザリだ。」
地下室の訪問者に小野ゆり子を迎え、コメントにブチ切れる大人を、安井順平が実演します。
(前川知大)
----チラシより----
ドストエフスキーと聞くと一見難しそう、と思うかもしれない。
しかし、舞台が始まった瞬間、冒頭から飛ばしまくる安井にぐいぐい引き込まれる。
リアルなセリフに思わず爆笑する。
男の言いたい放題ぶりが愉快だ。
暴言を吐く男に対し、ニコ生で中継を見ているネット住民がいちいち反応するコメントが面白い。
1864年に発表された作品が150年の時を経て、現代のニッポンにリンクした。
前川の手腕が光る一作!
カタルシツ『地下室の手記』左から、安井順平、小野ゆり子
(撮影・田中亜紀)
公演は8月5日(月)まで東京・赤坂RED/THEATERにて。
その後、8月9日(金)から11日(日)まで大阪・HEP HALLにて上演。