井上芳雄、浦井健治らが出演するミュージカル『二都物語』の製作発表が5月15日、都内にて行われました。
作品は、文豪チャールズ・ディケンズの小説を2007年にアメリカでミュージカル化したもの。
翌年にはブロードウェイにも進出した名作の、待望の日本初演です。
脚本・作詞・作曲はジル・サントリエロ。
追加音楽に、日本のミュージカルファンにもおなじみのフランク・ワイルドホーンが名を連ねています。
●STORY●
18世紀後半、イギリスに住むルーシー・マネットは、
17年間バスティーユに投獄されていた父ドクター・マネットが
酒屋の経営者ドファルジュ夫妻に保護されていると知り、パリへ向かう。
父娘でロンドンへの帰途の最中、フランスの亡命貴族チャールズ・ダーニーと出会うが
彼はスパイ容疑で裁判に掛けられてしまう。
そのピンチを救ったのはダーニーと瓜二つの酒浸りの弁護士シドニー・カートン。
3人は親交を深め、ダーニーとルーシーは結婚を誓い合う仲になる。
密かにルーシーを愛していたカートンだが、2人を想い身を引くことに...。
しかしダーニーは昔の使用人の危機を救おうと祖国フランスに戻り、
フランス革命により蜂起した民衆たちに捕えられてしまう。
再び裁判に掛けられたダーニーだったが、そこで驚くべき罪が判明し、下された判決は死刑。
ダーニーとルーシーの幸せを願うカートンはある決心をし、
ダーニーが捕えられている牢獄へと向かうが...。
(公式HPより)
この日の製作発表会見には、2400件の応募の中から当選した200名のオーディエンスも参加。
キャスト陣は衣裳を着けての会見で、華やかなものになりました。
ひと足先に掲出した、ニュースサイトの記事はコチラ。
井上芳雄さんは弁護士シドニー・カートン役。
「酒びたりの弁護士の役をやらせていただきます。この素晴らしい物語のミュージカル化の、シドニー・カートンという大切な役をやらせていただいてとても嬉しいです。僕はこれは究極の愛の物語だと思いますので、しっかりと人生を賭けてやりたいと思います」とご挨拶。
プリンスと称されることの多い井上さん、"酒びたり"という設定の役はかなり珍しいですが、「最初は今まで自分がやってきた役とはだいぶ違う、ワイルドな感じの役だなと思ったんですが、でも話を読み進めていくとシドニーは『どうしてこの人はこんな人生の選択ができたんだろう』と思うくらいの人で、僕は憧れを抱きますし、自分にはなかなかできない選択をするので、尊敬を感じます。彼がそういう人間になった理由を稽古を通して探りたい」というコメントも。
その、井上さん扮するシドニーと"瓜二つ"という、フランスの亡命貴族チャールズ・ダーニーを演じるのは浦井健治さん。
「芳雄さんも仰ってましたが、この物語は、友情や家族愛、恋愛、人間愛、様々な"究極の愛"の形が描かれた作品だと思うので、鵜山さんの演出のもと、たくさんの思いをもって、いろいろな愛の形を表現できたらと思います」。
浦井さんは「自分にとっては、"子どもがいる役"というのも新鮮。そういうところでも新たな一面を見つけていけたら」とも話していました。
また、ふたりは、自分たちの似ているポイントも訊かれ、こんなやり取りも。
井上「(内面は)基本的にまったく似てませんね(笑)。...見た目、身長とかはだいたい一緒かな」
浦井「そうなんです。芳雄さんのお下がりの衣裳をそのまんまあてがわれた時に...」
井上「お下がりの衣裳(笑)。僕の着た衣裳、ね」
浦井「はい。ぴったりなんですよ! 足の長さ、手の長さがぴったりで、そこは似ていると思います!」
井上「内面は、同じA型ではあるんですが、けっこう正反対...とはいいませんが、完全にボケとツッコミなので、ふたりでやっとひとりというかね」
浦井「あ、嬉しい!」
井上「僕たちがお笑いコンビとしたら、ふたりでひとりですね」
浦井「一心同体!」
井上「そこまでは言ってませんし、そんな状態にはなりたくないですけど(笑)。...似ているところ、無理やり探すとすれば、前向きなところ。ポジティブシンキング。(浦井君は)あまり考えてないからそうなの?」
浦井「考えてます! 考えてないように見えて、考えてます」
井上「知ってる知ってる~(笑)。いろいろあったとしても、でも明日頑張りましょう、でもこの作品ぜったいよくなりますよ、となるところが似ています」
...この掛け合いの絶妙さ、素晴らしい。
さて、シドニー、チャールズのふたりから愛される美しい女性・ルーシーは、すみれさん。
帝劇初出演となるすみれさんは「こんなに素晴らしい方々に囲まれて、もう緊張しちゃっているのですが、これから頑張りますのでよろしくお願いいたします」と初々しくご挨拶。
ルーシーという役柄については「ルーシーは普通の女性で、どの女性も共感できると思います。遠い存在とは思わず、自分に近いところもありますが、自分に近いというのは逆に難しくなってくる。でも何百年も前の話ですし、自分とどう違うかも考えながらやりたい」とのことでした。
濱田めぐみさんは、酒場のおかみ、マダム・ドファルジュ役。
貴族に深い恨みを抱く、物語のキーパーソンです。
「かなり激しい役どころなんですが、全精力を使って、フランス革命を生き抜いた一女性という役を舞台上で思いっきり表現したいと思います」とご挨拶でした。
その夫・ドファルジュ役は橋本さとしさん。
「ミュージカル界を代表する美女ふたりと、ミュージカル界を代表するイケメンふたり、僕はミュージカル界を代表するフケメンで太刀打ちしていきたいなと! ...もう、ブーツが違うな、みたいな!(井上・浦井は)かっこいいブーツで、僕はこんなかんじで...。ふたりの召使い役をやります!...違いますよー。マダムの暴走を止める冷静な男という役柄です。冷静にいろんなものを見ながら皆さんと楽しく演じていきたいと思います」。
ということで橋本さんのブーツはこんなかんじ。
そして井上・浦井両氏のブーツはこんなかんじです。
演出は鵜山仁さんが手がけます。
「とりあえず『レミゼ』には負けられない...(笑)。手近にこうやって競争相手がいるのはいいことですよね。稽古も、(『レ・ミゼラブル』を)上演している帝劇の9階の稽古場でやるそうですから、張り切った稽古ができると思います」とまず、ほぼ同時代を描いた『レ・ミゼラブル』に対抗意識!?
そして「これは、信義や愛のために、愛したり憎んだりという、"小文字"の人間のスパンを超えた"大文字"の人間の話。人ひとりの一生、80年の中で、これがいいことだ、これが生きがいだと思っても、800年、8000年経つと180度の発想の転換を迫られることがある。これは我々が今直面している世界にもあること。だから80年スパンではなく、800年、8000年の生きがい、死にがいを考えるという意味では大変興味がある話。これをうまくミュージカル化していきたいと思います」と話していらっしゃいました。
鵜山さん、キャストの印象を問われて「みんなでかい・若い、というイメージ」と答えたり、独特のテンポで会見場を盛り上げていました。
会見では、主人公のシドニーが飲んだくれということで、今までにお酒で失敗したことは、という質問も。
井上さんは「数えきれないくらいあるんですが、そういう意味では僕、この役にぴったりだと思います(笑)」と言い、学生時代に「上野の大学に通っていたんですが、たくさんお酒を飲んで、上野公園の噴水に飛び込んだことがあります。そしたら下がすごいぬるぬるでなかなか出られなかった」という失敗談を披露。
浦井さんは「基本、お酒は飲めないんですが、ある作品に出演したときに共演の池田成志さんに『飲めよーオマエー』と言われたくさん飲んで、芝居のことを語り始めてしまって。そうしたら成志先輩に『お前、ナニ難しい顔してんねん、顔が渋滞してるぞ』と言われたという経験があります」というエピソードを話し、
井上さんに「僕、酔った浦井君に絡まれたことがあります!」と暴露されてしまう一幕も。
爆笑の会見でしたが、井上さんが「ジョン・ケアードさんが『いいミュージカルになるにはいい物語が必要だ、グレートストーリーが必要だ』って仰っていたのですが、まさにこの作品は物語がまず素晴らしく、それにつけられた音楽もものすごくドラマチック。作曲をされた方が女性なので、今までのドラマチックなミュージカルの流れもありながら(女性らしい)新しい息吹も入っています。また今回、鵜山さんが演出してくださるということで、ドラマの部分もしっかり一緒に作れるのでは」と語るなど、キャストの皆さんのこの作品に賭ける思いが伝わってくる会見でした。
すみれさんは、劇中歌『さよならは言わないで』を披露。
その後行われた囲み取材で「(緊張で)今でも震えてます。でもみなさんが記者発表が(本番以上に)一番緊張するよって言ってくださって、ちょっとほっとしました。みなさんがアドバイスしてくださったし、(歌って)気持ちよかった」と感想を言っていました。
また、帝劇初出演となるすみれさんと濱田さんが
「日本の舞台といったら帝国劇場。ママ(松原千明)も東宝の舞台には出させてもらっていたので、よく聞いています。覚えていないんですが、(母に連れられて帝劇の舞台を)小さい頃、見ているんですって。レジェンドのような場所です」(すみれ)
「私は常に客席から舞台を観るという立場だったんですが、今回はじめて舞台上でパフォーマンスできるということですごく嬉しく思っていますし、どう表現できるか楽しみです」(濱田)
とコメント。
ふたりに対して、帝劇常連の男性陣からのアドバイスは
「僕、初めて帝劇に出た時に迷子になったんです。楽屋からエレベータで移動するんですが、何階が劇場だっけと思って気付いたら地下のB6に行っちゃって、出とちりかけたことがあります。ただ楽屋が吹き抜けでアパートみたいになってて、始まる前に『よろしくねー』って(窓から)コミュニケーションがとれてすごく居心地がいい」(橋本)
「楽屋は和室、畳なんですよ。ジャパニーズなスタイルです。あと、帝劇って客席からみるとすごく大きいんですが、舞台から客席を見るとそこまで(大きさを)感じないんです。そういう意味で立っている方にはやりやすい劇場」(井上)
「あとはですね、帝国劇場界隈、おいしいお店もたくさんあるんでそちらにも足を運んでいただいて」(浦井)
というところで、「劇場じゃないじゃん!今、自分にとっての"二都"は帝劇と...って言ってたばかりなのに、特にないの!?」と井上さん。
浦井さん、会見で「あなたにとっての"二都"はどこですか?」という質問に、「帝国劇場と東京會舘」と答えていたんです。そこでも井上さんに「二都の"都"の意味は大丈夫!?」とツッコまれていましたが...個人的には帝国劇場はともかく、東京會舘(この日の会見場)にどんな思い入れがあるのかも気になります。
公演は7月18日(木)から8月26日(月)まで、帝国劇場にて。
チケットは7月分が発売中、8月分が5月25日(土)に一般発売を開始します。
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【受付期間】5/24(金)18:00まで