市川猿之助さんが四代目を襲名後、東京・明治座に初登場する舞台『十一月花形歌舞伎』が11月3日に開幕しました。
猿之助さんは、昼の部で変化舞踊『蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)』に、夜の部では、通し狂言『天竺徳兵衛新噺(てんじくとくべえいまようばなし)』にそれぞれ出演されます。
「蜘蛛絲梓弦」
『蜘蛛絲梓弦』では、童熨斗丸、薬売り彦作、番頭新造八重里、座頭亀市、そして傾城薄雲実は女郎蜘蛛の精と、なんと6役を早替り!
これからご覧になる方のために詳しくは書きませんが、早替りの際の登場と引っ込みにも工夫があり、まったく飽きさせません。
圧巻のクライマックスまで目が離せない!という謳い文句もほんとうにその通りです。
夜の部ではタイトルロールの天竺徳兵衛を演じる猿之助さん。
異国帰りというキャラに合わせての衣裳や、冒頭で今話題のニュースを織り交ぜた異国話を語るシーンなど、のっけから見どころ満載。大蝦蟇やラストの宙乗りまで、ワクワク感いっぱいの舞台です。
「天竺徳兵衛新噺」(大蝦蟇)
さて、そんな猿之助さんと猿翁さん、市川右近さんから初日に寄せてコメントが届きました。
市川猿之助さんのコメント
三代目の伯父(猿翁)は、明治座でたくさんの復活通し狂言を初演してきました。
その様子をずっと見て来ましたから、明治座は私にとっても非常に思い出深い劇場です。
昨年の十六年ぶりの歌舞伎公演に続いて、今年は四代目市川猿之助を襲名して初めての明治座出演です。
今回は明治座の特別な宙乗り機構も駆使して、大仕掛けあり、早替りありの澤瀉屋らしいスケール感溢れる演目で臨みます。
伯父が創り上げた"四十八撰"があるからこそ、それを受け継ぎ練り直すことができる。
これは非常に有り難いことだと思っています。
明治座における新たな"猿之助歌舞伎"の始まりとして、まずはこの一ヶ月、お客様に喜んで頂ける舞台になるよう精一杯勤めさせて頂きます。
「天竺徳兵衛新噺」(おとわ)
「天竺徳兵衛新噺」(宙乗り)
市川猿翁さんのコメント
明治座は〝猿之助歌舞伎〟にとって大変縁の深い劇場でございます。
昭和四十九年より、毎年のように新しい企画を当劇場で実現させ、とりわけ五十四年四月の『伊達の十役』は大入り大評判で屈指の人気狂言となりました。
公演は十四年にわたって続けられ、三十代から四十代の私にとっての明治座は、七月の歌舞伎座とならぶホーム・グラウンドでした。
この度、所謂〝猿之助歌舞伎〟が、二十五年ぶりに明治座にて上演されますことは、実に感慨深いものがございます。
新・猿之助のスタートにふさわしい新版復活通し狂言にご期待いただき、よろしくご声援くださいますようお願い申し上げます。
市川右近さんのコメント
明治座は、私が師匠(二代目猿翁)の弟子となり、大阪から上京して初めて出演させていただいた劇場です。
その後も数々の復活通し狂言に出演させていただきながら、ストーリー、スピード、スペクタクルを軸とする"猿之助歌舞伎"が次々と生まれていく現場を目の当たりにしてきました。
その懐かしい明治座に25年ぶりに出演できること、そして"猿之助歌舞伎"の新たなスタートとなる記念すべき公演に参加できることを大変嬉しく思います。
今回は全作品に出演させて頂きますので、それぞれの面白さを楽しんでいただけるよう精一杯勤めたいと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。
「傾城反魂香」(序幕)
「傾城反魂香」(又平・おとく)
公演は11月27日(火)まで、明治座にて上演します。
チケットは一部を除き発売中。