またまたミュージカル『RENT』稽古場に取材に行ってまいりました。
この日は「Finale」のシーンのお稽古中。
シーン名=フィナーレ、ということで...物語はクライマックスなのでネタバレに注意しつつ、レポートいたします! ...が、RENT未見でカンの良い方は、舞台観たあとにこのページに遊びに来てくださいね。
季節はひと回りして、再びクリスマス。
マークとロジャーの住むロフト。
いなくなった者など、仲間たちの顔ぶれも関係も、1年前とは確実に違ってきています...。
「いい知らせだ」とコリンズがやってきます。
「Santa Fe」のメロディを歌う3人。
賀来マーク、中村ロジャー、TAKEコリンズ。
こちらはキャストを替えて、ジュリアン・ロジャー。
そこに「マーク!ロジャー!!」と、モーリーンの、ある知らせを告げる声が。
ソニンさんと、
上木さん。
ふたりには「キレイな声ではなく」という、ちょっと変わった指示が。
「歌」ではなく「芝居」である所以の指示です。
ここではモーリーンはちょっと高いところに登って叫ぶのですが、
マーク&ロジャーの住むロフトは階上にあるので、窓の外にいるモーリーンは、3人より下にいる、という設定。
でも舞台上ではモーリーンの方が高い位置にいるんですね。
この作品はロフトの中や外、階上や階下など、空間が自在に切り取られているんですが、それがイマジネーションの力で、見ている側の頭の中で自然に違和感なく組み立てられます。
そのあたりはオリジナル版とも共通していて、新演出にも、やっぱりオリジナルと同じRENTの血脈が流れているんだなあ、と感じます。
こちらは振付のマーカスさんと、音楽監督補の安崎求さん。
『レ・ミゼラブル』など様々なミュージカルの舞台でおなじみの安崎さんですが、『RENT』にも2008年、2010年と出演されていました。今回は立場を変えての『RENT』参加。ここにも受け継がれていく『RENT』が。
で、ふたりが何を話していたのかと言うと、このシーンでの、マーク&ロジャー&コリンズのハモリのパート変更についてです。
ロジャーが一番高音のパートを歌っていましたが、コリンズと交換です。
急遽、歌唱練習。
説明を訊く中村さん。
そのあと、中村さんは稽古場の端っこで新しいパートを忘れないように(たぶん)ボイスレコーダーに吹き込んでいたり...
真剣な顔で楽譜を読んでいたり、していました。
そんな真面目な姿の中村さんを激写。
さて、このシーンでもっとも積極的にマーカスに質問をしていたのは、コリンズ役のTAKEさん。
コリンズはこのシーン、ちょっと動線も複雑です。
こういう力仕事もあったり...。
ここでコートを脱いで、ここで止まって、ここでコートで枕を作ってあげて...と、こと細かにマーカスさんの指示が入ります。
コリンズに限らず、ここはみなさん動きが多いので、動作をひととおりつけた後、音楽にあわせてみるとわちゃわちゃ!とした感じになってしまいました。
ちょっとひやっとするシーンもあり、マーカスさんは「スローダウン!みんな訊いて。安全が第一です。間に合わないと思ったら、無理して間に合わせなくていいから」と改めて注意喚起。
こちらは休憩時間、ひとりで動きとセリフを反復しているTAKEさん。
担当、何度か稽古場に伺っていますが...今回のカンパニー、ほんとにみなさん真面目です。
「Noーーー!」と叫ぶロジャー。
ちょっと高いところに立っているのですが、なぜここに立つのか、その後どういう気持ちだから下に降りるのか...等々、動作の「動機付け」も、マーカスさんは丁寧に説明していきます。
こちらは賀来マークと、加藤コリンズです。
Wキャストが多いので、キャストを替えて何度も同じシーンを繰り返していきます...。
公演は10月30日(火)から12月2日(日)に東京・シアタークリエ、12月6日(木)から9日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて行われます。
チケットは発売中です!
ABOUT RENT...
(2)LEGEND
「伝説の」ミュージカル、と呼ばれる『RENT』。
その伝説の理由、まずひとつ目は1996年2月にオフ・ブロードウェイの小さな劇場で開幕した同作が、驚異的な熱狂をもって受け入れられ、同年4月、わずか2ヵ月あまりでブロードウェイの劇場に場所を移すという異例の快挙を成し遂げたこと。
同年トニー賞で4部門受賞、さらにピュリツアー賞、オビー賞など数々の栄冠に輝き、ブロードウェイではその後12年4ヵ月というロングランを果たし、まさに"世紀の大ヒット"となった。
そしてさらにもうひとつの理由。
自分の手がけたミュージカルがブロードウェイにかかることを夢にみていた作者のジョナサン・ラーソンが、まさにその夢に手が届くというオフ・ブロードウェイでのプレビュー公演前夜、胸部大動脈瘤破裂で35歳の若さで急逝したこと。
この嘘のようにドラマチックな悲しい事実が、さらに『RENT』を伝説へと押し上げたのも、事実である。