結成以来、創作のベースを京都に置きながらも、 全国へと意欲的に舞台作品を発信し続けているヨーロッパ企画。
彼らの作品の特徴は、大胆で緻密な舞台空間とさえない登場人物、計算されたユルい日常会話といったアイテムが密接に絡み合い、笑いを紡ぎだす"構造"そのものにあります。新作を作るにあたり脚本・演出の上田誠は自分の持つイメージを稽古場に持ち込み「最近、どんなことを面白いと思ってるのか?」と劇団メンバーの話し合いを重ねます。アイデアをピックアップして脚本に反映させながら、装置を考え、共同作業で作品を作り上げるという彼らの第30回となる新作・本公演はいったいいかなるものでしょうか?
現在稽古中で、作品を具体化している真っ最中の彼ら。7/19に開催された福岡での「ショートショートムービーフェスティバル傑作選」イベントの直前に、新作「ロベルトの操縦」記者会見が行われました。
■新作「ロベルトの操縦」は"移動コメディ"■
上田「僕らの舞台って、そのものが出オチ的な要素が多いので、できれば内緒にしておきたいんですよね(笑)。幕が開いたらびっくりみたいなことになるでしょう。一言でいうならば"移動コメディ"です。今までは、ある空間を積算するやり方で面白みを出してきたんです、それとは違って劇中に"移動"することで、新しい舞台ができないかとふと思いつきまして・・・。いろいろアイデア出し合っている最中なんですが、これは今まで見たことのない芝居になるぞと感じてます。」
諏訪「ワゴン車での移動が多い劇団なので、移動にまつわる面白ネタが100個以上出てます。あるあるあるみたいな!」
本多「ワゴンもだけど、京都に住んでるんで、自転車によく乗るんです。乗ったら声がでかくなったりね、歌唄ったり、いつもとは違う自分が出るよね。」
石田「こないだ稽古場で上田君が、パラノとスキゾの話をしたんです。パラノっていうのは定住で、スキゾっていうのは逃亡みたいな??物理的なものと魂的な?なんとなく、移動にはいろんな意味があるのかなぁ的な・・・・・」
上田「うろ覚えかよ(笑)。」
永野「集団が移動する時の心理とか、それがコメディのひとつとして機能するでしょう。」
上田「移動中ってさ、話が弾むんですよね、もつれることもなく会話は散らかっていく。止まっている場所ではやらない話もできる。"速度の中にいる人々"は特別なんですよ」
ヨーロッパ企画『ロベルトの操縦』会見より。写真左から、上田誠、諏訪雅、永野宗典、本多力、石田剛太
ロベルトとは何者なの?そもそも移動者の目的は何だろう? 記者から質問が出るたびに何やらはぐらかされるような雑談が続きます。舞台さながらのユルめの会話から、"近未来の管理社会を背景に、そこから逃亡する人々を描いている"らしいことは分かりました。
上田さんの"速度の中にある人々の面白さ"という視点がどのような仕掛けの舞台になるのだろうか、それは見てのお楽しみということで。
やってみないとどうなるか分からないドキドキをはらんでいると劇団員が口を揃えて言う、謎に包まれたヨーロッパ企画の新作にたっぷりと期待しましょう。
公演は8月の京都公演を皮切りに、愛知、東京、大阪、福岡、広島と全国6ヶ所で行われます
チケットは京都・東京公演は発売中、その他地域のチケットは7月30日(土)から発売開始。