バリケード解説講座 @『レ・ミゼ』2500回

■『レ・ミゼラブル』の魅力(2)■

4月22日に行われた、『レ・ミゼラブル』上演回数2500回達成の特別カーテンコールの後には、《バリケード解説講座》という特別企画が開催されました。
客席から舞台を観ているだけではわからない、舞台機構の解説や、俳優さんたちの苦労など、作品の裏側が垣間見れたこの講座。ほとんどのお客様も帰らず興味深げに見入っていました。

解説はジャベール役・岡幸二郎。この日は出演していなかった岡さん、わざわざのご登場です。
「この、ロンドンオリジナルバージョンでの演出は今回で最後となってしまいます。舞台上に出ている私たちが、こういうセット、こういう照明で演じているという誇りをみなさんにみていただきたいと思って、今回の企画となりました」とご挨拶。
110422_b01.JPG

アシスタントで学生たち、マリウス役の原田優一、ジョリ役の土倉有貴、フイイ役の鎌田誠樹、レーグル役の武井基治、この日の出演ではなかったアンジョルラス役上原理央の5人も登場です。

まずは舞台機構の解説を。回り舞台(盆)、実は二重盆になっていて、内側の小さな円と外側の大きな円ふたつから成っていること、1幕『ラブリー・レイディ』のシーンではその二重盆が効果的に使われていることなどを解説。


つぎに照明。3つの特徴的な照明の解説がありました。

まずは〈ライトカーテン〉と呼ばれる照明。
「初演当時、非常に画期的な照明ということで注目をあびた機構です」と岡さん。
横一列に並んだ照明が、順々に前に移動します。1幕『一日の終わり』で明確に使われています、とのことで、そのシーンを5人が再現。民衆の苦しみを熱演!?
110422_b02.JPG

ちなみにこの赤白青の明かりは、どこのシーンでしょう?と岡さん。
答えは『裁判所』。
大きなフランス国旗をこの赤白青の照明が照らすことで、より鮮明な色になるようにしているそうです。

続いて、『ジャベールの自殺』のシーンの渦を巻く照明。渦を巻く照明に加え盆もまわってるんですね。
で、自殺した後、どうやって捌けるのかをジャベール役者の岡さんが実演。
客席から「...おおおお~」とうなり声があがるくらいに、ものすごいスピードで回転しながら退場してました。
「真っ暗なんです。だから失敗したら、後ろの柱にぶつかってしまうんです。...たぶんぶつかっていないジャベールはいないと思います」と岡さん。

そして、この全般的に光度を落とした『レ・ミゼラブル』の舞台で、とても強い明かりが当たるシーン。
幸せに死んでいった人に当たる、白い明かりの説明も。
「ジャベールは自殺なので明かりは当たりません」とちょっと寂しそうな岡ジャベール。
ここのシーンは、舞台に上がったお客様がエポニーヌに扮し、原田マリウスの腕の中で息絶える、という再現を披露していました。

照明に関しては「この作品は、正面からの明かりがないんです。全部、横からなんです。それが、どのシーンをとっても一枚の絵のように見えるという効果を生んでいるんだと思います。陰影がすごく綺麗なんですね」と岡さんが総括を。


さて、続いていよいよバリケードです。

1幕ではパリの街を生み出す巨大装置は、2幕では学生たちが立てこもるバリケードとして登場します。
音楽と共に、上手と下手からゆっくりと登場し、真ん中で合体するこのバリケード。作品を象徴するセットです。

110422_b03.JPG

バリケードは、舞台の上にレールがあって、その上を通って出てくるそうなのですが、(このレールも、盆がありますので、ぴったり合わせないとバリケードが出てこない事態になってしまうという大変な作業らしいのですが)

「バリケードを出すの、電動で遠隔操作をしてると思ってる人、多いと思うんですが...」
と岡さん。

なんと。


「運転手がふたりいるんです!」


客席からどよめき!
上手のバリケードと下手のバリケード、中にひとりずつ、運転手がいるそうです!
これはびっくり!!

そしてこのバリケード、「結構、揺れる」という実演を学生のみなさんで。
明るいあかりの下で見ると、これは怖い......。俳優のみなさん、すごいです。
しかも、観ていて思うより、実際に登ると「とても高い」そうです。ここも、お客様が実際に体験。
110422_b06.JPG

マリウス役の原田さんは、撃たれて落ちてくるところを実演。

110422_b04.JPG勢いづいて落ちてしまうと、舞台からも落ちてしまいそうになるとか。
「落ちていいように(オケピに)網が張っています」という岡さんに、「いやいや、落ちちゃだめですよ!」と原田さん。
110422_b05.JPG
そして、バリケードで学生たちが散っていくクライマックス、学生たちにもそれぞれさまざまなドラマがあることは通なファンはご存知かと思いますが、
特に目を引くのが、ジョリのアクロバットな死に方。

こうなってます。
110422_b08.JPGこれ、ジョリ一人では出来ず、覆いかぶさってるレーグルとの連携でできるそうなんです。
この体勢だけでも凄いんですが、その後で、バルジャンを探しに来たジャベールが死体の顔改めをしているときに、レーグルの上半身を持ち上げると、ジョリの片足がはずれ、片足だけでぶらーん、となります。
これ。
110422_b09.JPG原田さんがジャベールに扮して実演。(「原田君、あなた出世魚だからこの次ジャベールやるかもしれないでしょ」と岡さんからのご指名でした)

で、このジョリの秘密、紐が隠してあって、死ぬ前に悲しんだりしながらそこに足を引っ掛けているそうです。
110422_b07.JPG「へぇ~」ボタン押したい気持ち!(ちょっと古い?)
ちなみに、捌けるときは「腹筋で」戻るそうです。バリケードの裏では芝居が続いているので、体勢を低くしながら、静かに下りるのが大変なんだそう。


さらに、アンジョルラスの死ぬシーンも再現。
上原アンジョルラスがバリケードの向こう側に落ち、盆が回ると......

そこには阿部アンジョルラスが!
110422_b10.JPGその体勢の阿部さんにインタビューする岡さん。
「思考がはたらかないです」と阿部さん。それはそうですよね(笑)
一生懸命考えて、「東北の皆さん、思いは一緒です!」と話してました。

そして阿部アンジョルラス、上原アンジョルラスの貴重なツーショットも。
110422_b11.JPGそんなこんなで、「へぇ~」ということが満載の講座でした。
とりあえず次回観にいく時は、ジョリの死に様に注目しようっと!

公演は6月12日(日)まで続きます。チケットは現在発売中です。

前の記事「森下亮の「裸の女を持つ男」短期集中ブログ vol.14」へ

次の記事「宝塚歌劇花組『ファントム』会見こぼれ話」へ

カテゴリー

ジャンル

カレンダー

アーカイブ

劇団別ブログ記事

猫のホテル

文学座

モナカ興業

谷賢一(DULL-COLORED POP)

劇団青年座

劇団鹿殺し

 はえぎわ

柿喰う客

ONEOR8

M&Oplaysプロデュース

クロムモリブデン

演劇集団 円

劇団チャリT企画

 表現・さわやか

MONO

パラドックス定数

石原正一ショー

モダンスイマーズ

ベッド&メイキングス

ペンギンプルペイルパイルズ

動物電気

藤田記子(カムカムミニキーナ)

FUKAIPRODUCE羽衣

松居大悟

ろりえ

ハイバイ

ブルドッキングヘッドロック

山の手事情社

江本純子

庭劇団ペニノ

劇団四季

演劇チケットぴあ
劇場別スケジュール
ステージぴあ
劇団 石塚朱莉