●ヒラノの演劇徒然草●
昨日4月27日に、宝塚歌劇花組『ファントム』の制作発表が行われました。
げきぴあでは、ニュースではお伝えできなかった話題をお伝えいたします。
コピット&イェストン版『ファントム』は、怪人=エリックの幼少時代や心の葛藤などを掘り下げ、人間・ファントムを描いているのが特徴的。
日本での初演は2004年の宝塚宙組での上演でしたが、その後2006年に花組で再演、また大沢たかお主演でも上演され好評を博しています。
作者のアーサー・コピット&モーリー・イェストンからもメッセージが。
「この公演が私たちの『ファントム』の中でもっとも素晴らしいものになるはずだと確信をもっています」(コピット)、「宝塚歌劇団がつくられた『ファントム』はこれまで上演されたこの作品の公演の中でもっとも気に入ってる公演」(イェストン)と最大限の賞賛の言葉です。
ファントムに扮する蘭寿とむにとっては、これが花組トップスターとしてのお披露目公演となります。
「5年ぶりに花組に戻りまして、新しい相手役の蘭乃はなちゃんと、そして花組のみんなと一丸となっていいステージを作っていきたいという思いで燃えています。ファントムは暗闇の中に苦悩しながら生きている時に、クリスティーヌの歌声で一筋の光を見出し、愛を知り生きる意味を感じ、純粋さゆえに狂気に走ります。そのあたりを繊細に演じていきたい。そして最後の親子愛の部分も、客席から観た時にすごく感動しましたので、そちらに至るまでの心の葛藤を丁寧に描き出したいと思います。また、自分の個性、情熱や熱い部分や強さというのをファントムにはやはり入れたい。そして"愛がすべてをそうさせる"というところで繊細さも出し、思いをこめた歌声でクリスティーヌを包み込めるような、あたたかさもあるようなファントムにしたいと思います」
と意気込みを。
蘭寿の相手役を務めるのは蘭乃はな。
「『ファントム』という素晴らしい作品に出演できること、クリスティーヌという今まで素晴らしい娘役の方が演じた役に挑戦できることをとても光栄に思っております。クリスティーヌの純粋であるがゆえに、ファントムの心の美しさを見出して惹かれていく様子とともに、純粋さから彼の顔を見てみたいと思いながら、未熟であるがゆえに逃げてしまう、その人間として成熟していないところも大切に演じていきたいです」
また、3度目の上演となる今回の公演ですが、演出家の中村一徳は
「ファントムの純粋な中にもクリスティーヌへの強い気持ちや顔に対する深い悲しみ、その反動でまわりからみると凶暴に思える一面をさらに浮き上がらせたい。また初演の時からそうだったのですが、ファントムは舞台の色々なところから登場します。その出方に趣向をこらしたい。オペラ座の怪人として、ルルーの原作に近づけたいと思っています。ダンスの得意なトップコンビにあわせてフィナーレの見所も変えたい」
と構想を語っていました。
またイェストン氏から新たに2曲、新曲が提供されるということで(なお、その報酬はご本人は辞退し、義援金に回すようお申し出があったそうです)、その新曲は
「ファントムがクリスティーヌに対し、今まで自分が感じなかった思いが芽生え、そこに(クリスティーヌを愛する)伯爵という存在があることに直面し、少し傷つくようなイメージの場面に入れたいと思っています。また、もう1曲は伯爵の歌を新しいバージョンでご提供いただきます」(中村)とのこと。
新曲、楽しみですね!
小林理事長も「"宝塚歌劇のファントムも凄いらしい"と言っていただけるよう頑張ってまいりたいと思います(笑)」とシャレたご挨拶。
(※もちろん、四季版の名キャッチコピー、"劇団四季のオペラ座の怪人は凄いらしい"を引用しての言葉です)
新生花組による新生『ファントム』、公演は6月24日(金)から7月25日(月)に兵庫・宝塚大劇場、8月12日(金)から9月11日(日)に東京宝塚劇場にて。