「初回」
キャストがほぼ決定してからの台本読み
第一回めです。
第一回めというのは
今回公演をする二本の作品のうちのひとつ
タイタス・アンドロニカスのほうです。
書いた人はシェイクスピアです。
オイディプス王は前回に第一回めを済ませました。
そもそもタイタス・アンドロニカスというのは
ローマの軍人で最高司令官の名前です。
そのタイタスが戦って打ち負かした
ゴート人の妃と息子たちを捕虜として連れ帰り
そのゴートの妃をローマの皇帝が嫁にしてしまったことで
悲劇の連鎖がはじまります。
ゴートの妃がタイタス一族に復讐をし
アンドロニカスがゴートの妃と息子たちに復讐をし
アンドロニカスの息子がローマという国に復讐をする
食物連鎖のように
復讐がふくらんでいきます。
その復讐に山の手事情社の様式美がくわわります。
そこに自分もくわわります。
山の手事情社の劇団員となり
初の出演です。
四畳半という山の手スタイルにつつまれた
古典劇を観てほしいものです。
さてふたたび
タイタス・アンドロニカスの第一回めの稽古は台本読みです。
シーンごとに読んでいきます。
まず椅子を五つならべます。
そのシーンで登場する人たちは椅子の後ろで待機し
出番になったら
椅子にすわって
椅子が足りなければ立って
読んでいきます。
安田さんがはじめますと言って
冒頭のシーンに登場する役者たちが
ぞろぞろと椅子の後ろに集まって床にすわります。
あまり広くない稽古場の壁によりそい
ひしめいて15人くらい。
そのとき自分はおもいました。
集合写真とるみたい
さながら観光地です。
背景は白壁です。
想像力さえあればどこへでもいけそうです。
けれど現実は見慣れた劇団員です。
台本読みをしました。
後半になって
麻里絵さんの出番がありました。
麻里絵さんはおばちゃんでした。
古代ローマ
悲劇の真っ最中に
バーゲンセールでテンパッテいるおばちゃんが
彗星の如く現れたかのようでした。
台本は読まれていきます。
椅子は用意されたものの
すわっている人は数人になりました。
汗で
湿度が増していきます。
冷房はつけません。
身体に悪いから。
でもたまにはつけます。
人間だから。
タイタス・アンドロニカスの
第一回めの台本読みがありました。
今年の夏も暑そうです。
『タイタス・アンドロニカス』
ルーマニア公演ダイジェスト版
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