舞台「みみばしる」松居大悟×石崎ひゅーい対談

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FMラジオ局J-WAVEと劇団ゴジゲン主宰・松居大悟がコラボレート。ラジオ番組「JUMP OVER」(J-WAVE/CROSS FM 毎週日曜23:00-23:54 ON AIR)にて、本作「みみばしる」という舞台をリスナーと共に創っていく、ラジオと演劇の垣根を越えるプロジェクトは、まさに白紙の状態からスタート。出演者を演技経験不問のオーディションで選出、応募総数は824名。宣伝コピーも集まった1,041案の中から決定。主演の本仮屋ユイカとの台本打合せや、音楽監督の石崎ひゅーいとの音楽会議、舞台スタッフとの美術打合せまでラジオで公開。さらに作品タイトル『みみばしる』の定義までもリスナーと相談!"受信者だったリスナーが主役になる!?"という境界線を越える舞台公演を創り上げています。そんな本作について松居大悟さんと石崎ひゅーいさんに聞きました!

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----「みみばしる」のチラシには主演の本仮屋ユイカさんと作・演出の松居大悟さんと音楽監督の石崎ひゅーいさんの3人が写っていますね。

松居 そうそう。舞台に出ない2人が表に出てるっていう(笑)。

----(笑)そこなんですよ。演劇のチラシとしては珍しい形だと思いますが、松居さんは本作の制作を始まるにあたって、まず最初に石崎さんに声をかけました。その理由からお伺いできますか。

松居 単純に、J-WAVEと演劇を作るっていうお話をいただいたときに、まず、J-WAVEには15分に一回、音楽を流すっていう慣例があるし、お芝居も絶対に音楽は必要だなって思って。そこで、いろんなところから曲を寄せ集めたりするよりは、音楽家と一緒にがっつり組んで、この劇のための音楽、その音楽のための劇を作れたらいいなと思って。しかも、2018年の2月にレギュラー番組「JUMP OVER」がスタートしてから、1年かけて作るってなった時に、ひゅーい以外に考えられなかったです。ひゅーいとは気を遣わないで全部言いあえるし、音楽で何かを変えてくれたりする。一緒に並んで走れる。例えば、尾崎世界観(クリープハイプ)だと、どうしてもぶつかっちゃうんで。
石崎 あははははは。
松居 お互いに「手の内、明かしたくない」ってなっちゃうから(笑)。同じ方向を見て作りたいなと思って、一昨年(2017年)の秋に、下北沢の三日月ロックっていう焼き鳥屋さんで話をして。
石崎 また松居くんらしい、イカれた企画だなって思いましたね(笑)。僕もやったことがないことなので、今も試行錯誤っていう感じなんですけど、めちゃめちゃおもしろそうだなって。本当に"音楽を作る脳"と"劇を作る脳"でキャッチボールをしてるので、まだどんなものになるのかはわからないけど、たぶん、誰も作ったことのないものになるだろうなと思います。
松居 ひゅーいが「なんかおもしろそう! やるやる!!」って言ってくれて安心したし、そこからもうワクワクして。僕の映画にひゅーいが出てもらうとか、ひゅーいの曲に僕が映像をつけるっていうことじゃなくって、一緒にものを作るっていう試みに。

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----ひゅーいさんが出演した松居監督の映画「アズミ・ハルコは行方不明」やひゅーいさんのMVを松居監督が手がけた「花瓶の花」とは違う関係性っていうことですね。

石崎 そうですね。でも、やっぱりやりやすいですね。こうやって、誰かとがっつりものを作るっていうことってなかなかないチャンスなんですけど、松居くんは「なんかワードちょうだい」って言うと、ワードをくれたりするんですよ。そこから広がったりもするし、ソングライティングとしても、新しい扉を開いてもらってる感じがして。今の所、めちゃめちゃ楽しんでやりそうなだなって。喧嘩はしなそう。
松居 揉めてないですね。脳みそが全然違うから、いい意味で振り回されるんですよね。それが劇に影響されていくっていうのは初めての感覚ですね。例えば、ワードちょうだいって言われて、「流れ星が昇る」って言うと、そんな感じの曲を作ってくれて。それがまた、すごくいい曲だったりして。
石崎 松居くんがくれた言葉に僕がメロディをつけるっていう。松居くんが考えていることをどう音にしていくかっていうような作業がすごく面白いですね。
松居 昨日の夜に送ってくれた曲もすごくよかったな。僕が悩んでた芝居のシーンが、その曲の方向性によってこうすればいいんだっていう解決作が浮かんだりして。結構、往復しながら作ってる感じ。
石崎 そうやって、僕が発信したことも受け止めて、劇が変わったりすることもわかったので、これはやり合いだ! と思って(笑)。しかも、松居監督は「稽古の最中も人によっても変わってくるだろうから、あまりガチッと決めないで」とおっしゃってて。そこも面白いなと思ってますね。

----一度、作り上げたメロディラインや曲の構成を稽古場で変えていくこともありですか?

石崎 うん。全然変わっていっていいと思うし、そうじゃないと、この舞台はダメなんだろうなって思いますね。キャストを選んだ時も、これをどうやって松居君は束ねていくんだろうってくらい、すごい個性に溢れてて。顔合わせで一人ずつ挨拶していったんですけど、もう濃すぎて、僕は、その段階で舞台を見ているみたいな印象を受けたんですよ。変な話、みんなの挨拶がセリフに聞こえてくるくらい、一人一人の個性が濃くて強いから、僕が持っていった音楽や松居くんが考えた本もどんどん変わっていくんだろうなって思ってます。
松居 脚本もすでに変わってますし、変わっていくべきだと思ってて。脚本を作るのって、基本は一人で書いて、出来上がったものをスタッフと共有して、役者と合わせたりするので、本当に0から1の部分を一緒に作ったりするは今回が初めてなんですよ。まだどこにたどり着くのかが見えないのがすごく楽しいですね。

----松居さんは顔合わせの時にどんなことを感じました?

松居 これ、どうすんだよ。バラバラじゃねーかって思いましたね(笑)。
石崎 あははははは。すごかったね〜。
松居 役者をがっつりやりますっていう人もいれば、しゃべる声がめちゃめちゃ小さい人もいて。普段暮らしてたら出会わない人が一堂に会してた。この企画がなければ、一生かけても絶対に出会ってない人たちが一緒に暮らす世界を僕やひゅーいで作って。それを板の上に乗せたときのぶつかりや、板の上で生きてる感じは、すごくいいものになるんだろうなっていう予感がありましたね。でも、ちゃんと地図を書かないとなって。
石崎 松田優作みたいな子もいたんですよね。顔合わせに行く前に六本木ヒルズの周りを散歩していたら、松田優作みたいな人が普通に歩いてて。「あれ? 生き返ったのかな?」って思ってて(笑)。面白い人いるんだなって思いながら会議室に向かって、音楽監督として座ってたら、一人遅刻してるやつがいるっていう話になって。その人が松田優作だったんです。ずっと入りかたがわからなくて、六本木ヒルズの周りをうろうろしてたって。あの時に、この舞台はヤバいなって思いましたね。

----あははははは。板の上にどんな世界を作りますか?

松居 バラバラな世界のなかでラジオを通して繋がってるような話から始まり、ラジオと関係ないところでも繋がっていくような話がいいなと思っていて。ただ、最初から全員仲間っていうわけにはいかない。それは変だろうなっていうのは考えてますね。
石崎 2人でウチで話してる時に、ヒントとして思ったのは、発信する時に、規制ってあるじゃないですか。そう言ったものに対するレジスタンスというか、戦いというか、反逆というか。そういうのも多分、描いたりしても面白いんだろうなって思いましたね。もうなにも考えないで発信するんだっていう。
松居 自主規制とかコンプライアンスをぶっ潰すようなね。
石崎 そういうパワーみたいなのも、1つ要素になってくるのかなって思いました。

----演劇の舞台が現状ではまだ一番規制がゆるいですよね。

松居 それを観れるのが、演劇の強みだと思うし。僕はそういうのを観て、演劇ってすごいなと思って、この世界に入ったので。きっと観にくる人は、舞台を観ることに慣れてない人が多いと思うので、びっくりするかもしれない。
石崎 なるほど、確かに、そうだよな。
松居 特にFMのJ-WAVEを聴く人なんて、オシャレでしょうし。そんな人たちが下北沢の本多劇場に集まるっていう。

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----本多劇場にはどんな思いがありますか?

松居 これまでに2度、ダメになってるので、僕にとっては、3度目の正直になりますね。ただ、中止になった過去二回は、空間が広いからどう埋めようとか考えていたし、本多劇場に対するプレッシャーがあったんですけど、舞台ができなかった分、映画を作ったりもしたので、もはやそんなのはなくて。でも、場所としては、思うところはありますね。演劇人としては、やっぱり聖地なんですよ。武道館ですよね、ミュージシャンで言えば。まず、そこを目指すんですけど、僕の先輩のヨーロッパ企画の上田さんは「本多劇場は墓場だ」って言ってて。行ったら、それ以上、上がないから、そこで続けるしかない。だから、ここをゴールにしちゃダメだって言ってたから。そういう考え方もありつつ、今はたとえ墓場になったとしても、劇場の代償はもうあまり気にしてないですね。
石崎 そうか。あの時の感情はないんだ。
松居 ないない。そうだ、前回の本多劇場公演が中止になって、僕が泣いた時に、隣にいたから(笑)。
石崎 目の前で泣いてたから、悔しさで。めっちゃ荒れてたんですよ、あの時は。
松居 中止が決まった時は、めっちゃ飲み歩いて、愚痴を吐く日々。
石崎 荒れ方が簡単だな! と思ってて。あはははは。雑に荒れるなと思って。誰もが、あいつ荒れてるなっていうのがわかるくらいの荒れ方をしてて。でも、その時に、「この感情を俺は映画にするんだ」って言いながら泣いてて。僕はそういうのが好きだから。
松居 あの時、割とみんな反対してたんですよ。「頭に血が上ってるだけだから」って。でも、ひゅーいは、「俺はやったらいいと思うけどね」って、テーブルの一番隅っこで言ってて。それは嬉しかったですね。
石崎 なんか、なんだろ、いいですよね、そういう感情って。誰に止められることでもないって思っちゃうんですよ、僕は。だから、その時は、クソみたいな作品ができてもいいって思ってましたね。でも、そういうモヤモヤはないんですね。
松居 今はないです。「本多劇場、できなかったもんな、やってやるぜ!」はない。それがあるとしたら、中止を告げた大人とやる時ですね。それは、どの劇場も関係なく。そういう意味では、自分は人対人でやってるんだろうなって思う。劇場は何も悪くないし、何なら、映画「アイスと雨音」という作品にしたし、しこりはないですね。

※映画「アイスと雨音」の下北沢本多劇場特別上映イベント 2019/2/12(火)開催!

----ひゅーいさんは本多劇場には何か思い出はありますか?

石崎 実は小さい頃から行ってて。母親が舞台を見るのが好きな人だったので、中学校の頃から、本多劇場に連れられてきてて。
松居 何を観たの?
石崎 いろいろ見てましたね。劇団新感線のプロデュース公演とか、大人計画とかを見に行ってましたね。だから、本多劇場が聖地だっていうのはなんとなくわかってて。......でも、今、話してて、実感が湧いてきた。そうだよね、大変なことだね。やべーな。
松居 そうそう。演劇においてみんなが目指すところだから。
石崎 松居くんっていうことで甘えちゃいけないな。あははは。頑張るけど、やばいな。

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----(笑)いよいよ稽古も始まりますね。

松居 1/3くらいがリスナーの人たちで。ベテランもいるし、本仮屋さんもいるし、『ゴジゲン』の最強と目次もいて。噛み合うわけがないんですよね。キャリアもバラバラだし、付き合いの長さもバラバラなんで、絶対ゴチャゴチャになるだろうと思いつつ、多分、ひゅーいと作った音楽の揺らがないところは絶対にあるので。噛み合わなさも面白がれるような気がしますね。

----2人で作った軸というのは?

石崎 表現者じゃない、受信してる人たちが発信していくっていう。そこの過程を描いた舞台になりそうなんですけど、そこには、好奇心もあるし、戦いもあるし、いろいろな人間のドラマがあって。それが僕はテーマだと思ってるんですけど。
松居 そうそう。主人公はラジオリスナーだからね。俺たちが作ると思うなよ!っていう(笑)。みんなを共犯者だぞって。
石崎 適当にやってくれって。
松居 何にも決まってないんだよって(笑)。それは冗談としても、ラジオを聞いて、自分の話だと思ってる人たちが、何かをやってみようかなって思ったりするようになったらいいなって。それは別に、なんでもいいんですよね、発信するって。
石崎 受信者が発信者になるっていうメッセージは、時代と合ってるなと思ってて。みんな、いま、自分で発信するし、むしろ、発信することに億劫になっていると取り残されてく時代でもあると思うから。テーマとしてはすごい面白いなと思ってて。それをどういう風に伝えていけばいいかは、まだ試行錯誤ですけど。
松居 ラジオでキャストを募集したら、800通以上くるし、コピー書いてくださいって言ったら、1000通以上くるし。やっぱり、みんなちょっと、発信したいというか、何か表現したいんですよね。ただ関わりたいというだけでもいいかもしれないけど、それは絶対にあるんだなと思って。それはちょっと安心したというか。伝わるものにはなるだろうと思っていて。
石崎 そういう人たちに、ちょっと勇気みたいなものを与えられたら、すごくいいですよね、この舞台って。
松居 演劇もラジオもちょっと悪いことをしている感じがあるじゃないですか。テレビや雑誌とは違って、演劇やラジオは一般的に過ごしていても出会わない、聞こうとしないと、観ようと思わないと出会えないところにたどり着く人って、自分の中に何かがあるだろうなって思うし、その2つが肩を組む表現は絶対に面白くなりそうだなって思いますね。

----ラジオリスナーと作った1年間の集大成となる舞台はどんな作品になりそうですか。

石崎 これからもどんどん一緒に作っていくっていう舞台だと思うので、ラジオを聴くだけでもいいんですけど、まずは参加して欲しいなっていう気持ちがあって。ラジオで松居くんがリスナーの気持ちを汲み取って、番組中に何かが生まれて、それを聞いた僕が何かを生んで。そういう連鎖が続くと思うんですよ。稽古が始まって、応募してくれたリスナーと会って、僕がどういう音楽を作るかも変わってくるし、そういう過程を楽しんで欲しいなっていうのが1つ。あと1つはゴールは決めてないので、一緒にこの舞台を作るっていうことに興味を持ってもらって、楽しんで欲しいなっていう思いがありますね。
松居 どういう作品になるかっていうよりは、見た人が、自分も発信したいなって思ってくれたらいいなって思いますね。あとは、劇なので、音や衝動が視覚化できたらいいなって。今まで聴覚で作ってきたものを、視覚的に立ち上がらせたいっていうのを考えてますね。体感、体験にしたいですね。観劇とか、そんなヤワな言葉じゃないものにしたいなと思ってます。



<公演情報>
「みみばしる」
2019/2/6(水)~2/17(日) 東京:本多劇場
2019/2/23(土)~2/24(日) 福岡:久留米シティプラザ 久留米座
2019/3/1(金)~3/3(日) 大阪:近鉄アート館
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映画「アイスと雨音」 下北沢本多劇場特別上映イベント
2019/2/12(火) 東京:本多劇場
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