東松山戯曲賞優秀作、緑川有さんの『琵琶の家』に決定!

 
公益財団法人東松山文化まちづくり公社による「〜平成家族物語〜舞台芸術によるまちづくりプロジェクト第一弾」『東松山戯曲賞』の優秀作が決定!
 
 
来年で終わる"平成"という今の時代を生きてきた家族の姿を通して、来るべき新たな時代を考えていこうという本企画。全国から応募のあった43作品の中から、5名の選定委員により選出され、東京都在住の緑川有さんの『琵琶の家』が優秀作品に選ばれました。
 
5名の選定委員は以下のとおりです。
委員長:劇作家・演出家・俳優の岩松了さん
委員:岩崎正裕さん、KAKUTA主宰の桑原裕子さん、ミナモザで劇作・演出を務める瀬戸山美咲さん、彩の国さいたま芸術劇場・事業部長の渡辺弘さん

選考詳細は公式サイトに記載 http://www.pac.or.jp/hfs.html


12月20日に、都内で『琵琶の家』作者の・緑川有さん、演出を務める瀬戸山美咲さんらが会見を開き、朗読劇制作発表を行いました。

IMG_2802.jpeg左から緑川有さん、瀬戸山美咲さん
 
  

瀬戸山さんは、選考理由について次のように語りました。

瀬戸山さん最終選定では、SFや戦時中からの記憶だったり、本当にいろいろな作品が集まりました。その中で『琵琶の家』には圧倒的なパワーがありました。物語はすごくシンプルな話で、ある3人の女性がひとつの家にシェアハウスで住んでいて、そのうちの一人がある男性に恋をして、そこから展開していく話なんですけど、ストーリーをみせるというよりは、3人がとにかくしゃべっている姿が描かれていて、そのしゃべりそのものがとにかく面白かった。
戯曲を書くと、作者が言いたいことが台詞のどこかに出てきてしまうんですけれども、この作品は作者の思惑を超えて、3人が勝手にしゃべっているようで、とてもリアリティを感じました。
いったいこの作品はどんな人が書いているんだろう?と、ここに出てくる登場人物のような人が書いているのか、それともまったくの想像で書いているのか興味が湧きました。実際、お会いしてみたら、ご自身の身体で書いてらっしゃるような方でした。
3人の女性の設定も面白くて、50代と60代の女性が一緒に暮らしているんですけれども、恋愛もほとんどしないまま50代後半になってしまった人や、夫と死に別れた人もいて、現代も昔の話もごちゃまぜでけんかをしたり。そんな混沌としたしゃべりの中から、彼女たちが歩んできた人生や今置かれた状況が浮かび上がってくる構成が"平成の家族の姿"なのかなと思いました。
審査委員長の岩松さんが"くっちゃべり芝居"と名付けてましたが、今回3年間かけて、リーディング、演劇、音楽劇として立ち上げるのに耐えうる作品だと思って選びました。

同じく、選考委員として同プロジェクトのコーディネーターとして参加する彩の国さいたま芸術劇場・事業部長の渡辺さんは次のようにコメントしました。

渡辺さん約3時間かけて選考しました。審査員4人からは様々な意見が出てきて、正直どの方向にいくのかなと思いましたが、しゃべりの中に平成の時代が透けてみえてくるという、非常に上手い構成だったことから、最終的に『琵琶の家』に決まりました。
他にも、UFOが東松山に降りてくる話や、意表をついた設定の作品が多かったです。「昭和」だと戦争の歴史があったりしますが、「平成」は捉えどころがないのか、みなさん面白い設定にされてましたね。
『琵琶の家』は読んでいるこちらも思わず共感するような作品で、女性たちのパワーがすごい。平成は女性たちが躍進してきた時代だったと、改めて感じました。
 
選考理由を受けて、受賞作品を書いた緑川さんからは意外なコメントが飛び出しました。
 
緑川さん今、みなさんに構成が上手いとお褒めの言葉をいただきましたが、書いているときはそんな事全然考えていませんでした。私は小説も書いているのですが、戯曲はおしゃべりを書けばいいので、あっという間にできて、たぶん3日くらいで書けたと思います。私がうまく書いたというよりは、"琵琶の家"に集まっている3人のアラ還女性のものすごいパワーが勝ち取ったんではないかと感じています。
 
また、ご自身の戯曲が舞台で上演されることについては、

緑川さん自分が書いた作品を朗読劇、演劇、音楽劇にしてくれるなんて、こんな太っ腹なところがあるんだと思って、そこがとても魅力的で応募しました。高校、短大時代は演劇部でしたし、いまは舞台を見るばかりですが、演劇に対するあこがれはずっとありました。瀬戸山さんの演出にとても期待しています。楽しみで楽しみで3年間ぜったい元気で生きていたいと思っています。
 
と喜びがあふれんばかりのコメントに、演出を手掛ける瀬戸山さんは、
 
瀬戸山さんこの戯曲は市民劇でやるには台詞も多くてハードルは高いと思います。そういう意味では朗読劇で始められるのはよかったと思っています。オーディションは年齢に関係なく選びたいと思ってますし、緑川さんも交えて一緒に話をしながら作り上げていきたいと思っています。音楽劇もあるので、できれば東松山のコーラスの方たちにも加わっていただきたいなと思っています。
 
と抱負を語りました。

 

IMG_2806.jpeg左から石田義明(プレゼンテーター)、緑川有さん、瀬戸山美咲さん、渡辺弘さん
 
 


朗読劇は3月24日(日)、東松山市松山市民活動センターホールにて上演。チケットは2月5日(火)より発売開始。

公式サイト http://www.pac.or.jp/hfs.html

前の記事「コンドルズの年末は大阪!「2019年ネオユニバース」近藤良平インタビュー」へ

次の記事「キューブ所属の若手俳優達のサポーターズクラブ「C.I.A.」 待望のオリジナルソング『お揃いの1日』が12/24配信決定!!」へ

カテゴリー

ジャンル

カレンダー

アーカイブ

劇団別ブログ記事

猫のホテル

文学座

モナカ興業

谷賢一(DULL-COLORED POP)

劇団青年座

劇団鹿殺し

 はえぎわ

柿喰う客

ONEOR8

M&Oplaysプロデュース

クロムモリブデン

演劇集団 円

劇団チャリT企画

 表現・さわやか

MONO

パラドックス定数

石原正一ショー

モダンスイマーズ

ベッド&メイキングス

ペンギンプルペイルパイルズ

動物電気

藤田記子(カムカムミニキーナ)

FUKAIPRODUCE羽衣

松居大悟

ろりえ

ハイバイ

ブルドッキングヘッドロック

山の手事情社

江本純子

庭劇団ペニノ

劇団四季

演劇チケットぴあ
劇場別スケジュール
ステージぴあ
劇団 石塚朱莉