2月22日(木)に『熱帯男子』が開幕した。歌と踊り、恋物語にワクワクしながら、友情、故郷への思い、人の生き様など心温まること請け合いだ。
OLの菜々美はお金持ちの婚約者がいる、なかなかのリア充。遊びに行くはずだった友達に振られたところ、4人のイケメン男子に声をかけられ、なぜか船に乗って島に渡る羽目に。冬なのに真夏のように暖かく花が咲き乱れる島、その名も池綿島(いけめんじま)。最初は遠い島まで連れてこられて、テレビもWIFIも携帯もコンビニもない不便さに不満たらたらだった菜々美だが、なんとこの島にいるのはイケメンばかり、その上誰もが菜々美に夢中。菜々美は人生最大のモテ期に突入、この状況を楽しみ始めるが...。
まず一人の女に10人のイケメンという設定にドキドキ!どこぞのリアリティ番組みたいに恋のいざこざを楽しむのか、はたまた桐野夏生の『東京島』のように男たちを渡り歩くのか?など妄想が広がったが、そんな無粋な話ではなかった。何より、この島のイケメンたちはみんな素朴で純粋。島と同胞を愛し、島の将来を案じて嫁を探しているところが、ファンタジーだ。
菜々美は最初に声をかけて来たイケメンのひとりである孝吉から、頼まれごとをする。孝吉の妹は病気で島外の病院での治療が必要だが、孝吉を残して島から出ることを嫌がっている。そこで彼女を安心させるために、自分と結婚すると嘘をついてほしい...と。人助けのつもりで了承した菜々美だが、妹に「結婚する証拠を見せて」と迫られ、孝吉とキスすることに。そこで、菜々美は恋に落ち、島のイケメンたちも二人の恋に気づく。
しかし、菜々美はお金持ちの婚約者がいる身。なんと、その婚約者がお金を使いまくって、菜々美を探しに島へとやって来る。今時のリア充OLに見えていた菜々美だが、どこか自分を偽って生きていたことを悟る。幸吉を愛していることを婚約者に告白すると、彼は意外な取引を持ちかけて来る...。
菜々美役の矢島舞美はチャーミングで歌も上手。素朴な島の生活や人々との関わりによって、菜々美が都会の殻を徐々に脱ぎ捨て、素の自分に戻ってゆく様を清々しく演じ切った。孝吉役の輝馬は不器用で熱く、母性本能をくすぐられるタイプ。他のイケメンたちも個性豊かで伸びやか。彼らの熱い叫びと美しい肉体に、鳥肌が立った。
笑って、キュンキュンして、その上、意外なエンディングにホロリ。ああ、池綿島で癒されたい〜!
撮影・文:三浦 真紀