2018年2月 9日アーカイブ

チケット情報はこちら


ミュージカル『FUN HOME ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』
が現在、東京・シアタークリエで上演中だ。2015年にトニー賞5部門を受賞した作品を、新国立劇場次期芸術監督就任も予定されている気鋭の演出家、小川絵梨子が演出する注目作。小川はこれがミュージカル初演出。出演は瀬奈じゅん吉原光夫大原櫻子紺野まひる上口耕平横田美紀ら。05t_1651.jpg04_0155☆.jpg


原作は、アリソン・ベクダルの自伝的コミック。レズビアンである漫画家・アリソンは、ゲイである父ブルースが自ら命を絶った43歳という年齢になり、父との思い出、家族との思い出をたどる記憶の旅に出る。記憶の折々の場面で、父は何を考えていたのだろうか。そして死の瞬間は何を思っていたのだろうか......。05t_1605.jpg

チケット情報はこちら

――倉持裕さん作・演出の舞台へは、なんと6年連続の出演になるとか。
竹中 本当に大好きなんですよね、倉持さんの世界観が。倉持さんの書く言葉やリズム感も好きです。あと演出中に「うん、いいです」って言ってくれる声の音色とその横顔も好きで(笑)。倉持さんの描く世界に本能的に惹かれます。これからも倉持さんの世界を追求していきたいですね。

035a_竹中直人.jpg

――上白石さんは倉持さん作品をご覧になったことはありますか?
上白石 はい。竹生企画では『ブロッケンの妖怪』(15年)を観に行ったんですが、本当に感激して! すごくシンプルなストーリーでありつつ、人間味もあり、しかもひと筋縄ではいかない。いろんなところに寄り道しながらも、最後にストンと落とし込む、みたいな。舞台にしか出来ないこと、舞台の素晴らしさを、倉持さんの作品にはいつも感じます。

065c_上白石萌音.jpg

――おふたりの共演は映画『舞妓はレディ』(14年)以来ですが、今回上白石さんを客演に呼ばれた理由は?
竹中 いつも僕は女優さんをメインに考えるんです。萌音ちゃんとは初共演した時にいつか一緒に舞台をやりたいと思っていました。倉持さんにもそのお話は以前からしていました。だから今回、願えばちゃんと叶うんだなって思いました。
上白石 本当に恐縮です・・・竹中さんとはまたお芝居したいと願い続けていましたし、倉持さんの舞台にもずっと出たいと思っていて。だから今回一気に夢がいくつも叶ってしまって、お声がけいただいた時は天にも昇る思いでした。
竹中 そこまで言ってもらえるなんて本当に嬉しいなぁ。
上白石 前の映画の時は、私が初主演ということでガチガチだったんですけど、それをいつも柔らかく、楽しく、面白くほぐしてくださったのが竹中さん。だから私にとっては、本当に恩人のような存在なんです。
竹中 かたじけない。

――初めて倉持さんの舞台に挑む上で、竹中さんに聞いておきたいことはありますか?
上白石 すべてが未知数なんですが......、倉持さんのお稽古って、みんなでいろいろ模索しながら進めていく感じですか?
竹中 そうだね。昔は岩松(了)さんが倉持さんの師匠みたいな時期もあったから、何度も何度も同じところを繰り返しやっていた時期もあったとは思う。ただ何度も繰り返しやるって、理屈じゃなくなくなってくるから、楽しいことだと思うんだよね。僕は稽古が大好きだけれど生瀬くんは飽きやすいよ (笑)。
上白石 そうなんですか?(笑)
竹中 うん。いや、だったと思う(笑)

――先日の取材で生瀬さんは、「竹中さんは僕のことが苦手だと思う」とおっしゃっていました。
竹中 そんなこと言ってた!? おかしいね。だって怖いんだもん、生瀬くん(笑)。圧がすごいし、"男"って感じがするんですよね。役者としても全然違うタイプだよね?だからこそ竹生企画はいい距離感といいバランスなんじゃないかしらん(笑)
上白石 これまでは私、竹中さんも生瀬さんも芝居に対して同じような取り組み方をされていらっしゃると思っていたんです。でも実は逆で、お互い違うからこそ生まれる波長があるんだなって。今すごく腑に落ちました。

――倉持さんいわく、「過去2作に比べて、最もおふたりのやり取りが多い芝居になる」とも。
竹中 本当ですか? うわぁ、ものすごく緊張するな。
上白石 倉持さんの作品っていつも会話で紡がれていく感じですけど、今回はそれがより色濃い感じになりそうですよね。仮チラシにも"果てしなき口論"って書いてありましたし。
竹中 それは頑張らなきゃな。生瀬くんに負けちゃいそう......(笑)。
上白石 一ファンとしては、おふたりのやり取りを間近で体感出来るのが本当に幸せです。早く稽古に入りたい!

――では最後に、チケット購入を迷われている方の背中を押していただけるようなひと言をお願いします。
上白石 倉持さん、竹中さん、生瀬さんというメンバーで、面白くないわけがないと思います。すごく魅力的な世界になるはずなので、絶対に観に来てください!
竹中 水と油のようなふたりがまた芝居をやるぜ! 尋常じゃないぶつかり合いをまるで透明の水のようにみつめるのは上白石萌音!! これを観ないでいられるかっ!!

021b_上白石萌音_竹中直人.jpg

「火星の二人」東京公演は、2018年4月10日(火)から25日(水)までシアタークリエで行われる。

(取材・文:野上瑠美子 撮影:源賀津己)

チケット情報はこちら

チケット情報はこちら

■ミュージカル「メリー・ポピンズ」特集(2)■

2018年3月、ついに日本初演を迎えるミュージカル「メリー・ポピンズ」。様々な舞台機構、そして誰もが映画で慣れ親しんだナンバーに期待が膨らみます!

げきぴあキャストインタビュー第二弾は、Wキャストでメリー・ポピンズ役を演じる平原綾香さん!歌手、そして近年はミュージカル女優としても活躍する平原さん。イメージするメリー・ポピンズのお手本は意外な"あの女性"だという、独特の役作り(!?)にも注目です!

2.jpg

"ミュージカル『メリー・ポピンズ』製作発表 より"

メリー・ポピンズは困った時に助けてくれるヒーロー

――ミュージカルへの出演は3作目になりますが、本作のオーディションを受けようと思ったきっかけは?

「オーディションを受けるのは初めてで、正直お声がけいただけなかったら今回も受けることはなかったと思います。でも(映画版のメリー・ポピンズ役の)ジュリー・アンドリュースさんが大好きだったことと、ちょうど『サウンド・オブ・ミュージック』の日本語吹き替えをやらせていただいたばかりで。これも何かのご縁かなと、思い切って受けてみようと決めたんです」

――『メリー・ポピンズ』という作品の魅力をどんなところに感じていますか?

「メリー・ポピンズは女性ですけど、やっぱりヒーローって感じがするんですよね。彼女が来たらもう安心、みたいな。困った時に助けに来てくれる存在だなって。だからこそ家族の絆が取り戻され、本来の家族の姿に戻った時に、彼女は次の家族のもとへと傘で飛んで行ってしまう。それが寂しくもありますが、観ていてキュンとするところでもあって。そして子供から大人まで世代を問わず楽しめるところが、この作品の一番の魅力かなと思います」

――メリー・ポピンズを演じられる上で大切にしていきたいことは?

「まずは彼女の姿勢かなと思います。常に背筋がピンと伸びていて、それは彼女の心の姿勢でもあると思うんですけど。あと私の中ではやはりジュリー・アンドリュースのイメージが強かったのですが、演出家が求めているのはそれとはまた違う、ちょっと新しいメリー・ポピンズ像のようなんです。人の話を聞いていない感じとか、結構ゴーイングマイウェイなところとか、実は結構笑いのセンスがある。私がイメージしているのが芸人の友近さん(笑)。友近さんが誰かを演じられている時のリアルさ。リアルだからこそ面白い、みたいな。そういう感覚がこのメリー・ポピンズを演じる上でも必要なのかなと思っています」

――名曲ぞろいですが、ご自身が歌うのを楽しみにしているナンバーは?

「やはり『チム・チム・チェリー』は楽しみですね。本当に有名な楽曲ですし、それをカバーではなく、メリー・ポピンズとして歌える機会なんて今後ないと思いますから。あと『何もかもパーフェクト』はこの作品を象徴するナンバーであり、彼女の笑いのセンスが垣間見えるナンバーだと思うんです。そしてこれを歌いこなせれば、ほぼすべてのナンバーは歌えるだろうと言えるくらい、私にとっては難関なナンバーでもあります」

メリーポピンズ 平原新ビジュアル1222.jpg

"ミュージカル『メリー・ポピンズ』"より こちらは平原さんバージョン!

――芝居や歌はもちろん、今回はダンスにも挑戦されます。

「実はすごく楽しみにしているのがダンスなんです。というのも平原綾香っていったらあまり"動かない、笑わない、しゃべらない"みたいなイメージがあると思うんですが(笑)、実はそれに苦しんできたところもあって......。私自身はどちらかというとそのイメージとは正反対で、踊ることも、笑うことも、しゃべることも大好き。だからやっと踊れる!って感じですし、今そういう作品に出会えたことがすごく嬉しいです」

――Wキャストの濱田めぐみさんは、平原さんの初舞台『ラブ・ネバー・ダイ』(14年)でも同じ役を演じられました。

「めぐさんの存在なしにあの舞台は乗り越えられなかったなと思えるくらい、めぐさんには心から感謝しています。人として常に優しく接してくださることが、初舞台の私にとってどれだけ大きな支えになったか! そんなめぐさんが、『今回もまた一緒に頑張ろうね』と言ってくださったことが本当に嬉しくて。またチラシ撮影時に見ためぐさんのメリー・ポピンズ姿が、すっごくかわいらしかったんですよ。私は、友近さん流の"笑い"を武器に頑張っていこうと思います(笑)」

取材・文:野上瑠美子

撮影:イシイノブミ

チケット情報はこちら

チケット情報はこちら

2月10日(土)~12日(月)、博品館劇場にて上演される朗読ミュージカル「カラフル」の稽古場にお邪魔しました。
森絵都さんの原作「カラフル」を朗読ミュージカルという形で上演するこの公演は、2部構成。この日は2部に予定されている出演者7名によるコンサートの稽古でした。

DSC02885.jpg

■歌うのは俳優〇〇じゃない!?■

まずは稽古の休憩時間に演出の板垣恭一さんに伺った、「コンサートの選曲について」ご紹介しましょう。
「ミュージカルコンサートと聞くと、ミュージカルに詳しくない人はなんだか置いてけぼりをくうようなイメージが多少なりともあると感じていた」という板垣さん。それは例えて言うなら、カラオケで誰かが自分の知らない曲を入れてもイマイチ盛り上がれないような感覚だといいます。もちろんプロの歌を聞けば、知らない曲でも心震えることは多くありますが、この「カラフル」という作品では、いわゆるミュージカルコンサートとは違う見せ方、聴かせ方をするというのです。
「選曲は1部からの流れで、家族という設定を生かします。つまり歌うのは、ミュージカル俳優〇〇ではなく、『カラフル』に出てくる小林家の人やその他の登場人物たちということです」そう考えると、愛の歌も友情の歌もすんなり心に響くはず、と板垣さんはたくらみのある表情を向けてくれました。

DSC02744.jpg

リラックス&マイウェイ

 では稽古の様子をのぞいてみましょう。この日は、2部後半の「サウンド・オブ・ミュージックメドレー」からスタート。「サウンド・オブ・ミュージック」といえば1959年にブロードウェイで初上演され、65年にジュリー・アンドリュースが主演した映画が世界的に大ヒットした作品。CMなどで耳なじみのある曲も多いこの作品の中から6曲がメドレーで演奏されます。
 振付を担当する当銀大輔さんによる指示に、ミュージカル百戦錬磨のキャストたちは素早く反応。確認はサクサクと進んでいきます。出番以外のキャストたちは柔軟や発声、曲や振りの確認をしながら思い思いに過ごします。そのリラックスした様子は、すでに生まれているこの稽古場の雰囲気そのもの。
サクサク進んでいた振付チェックのなかで、皆が破顔したのが、小林真を演じる田村良太さんと桑原ひろか演じる増田有華さんによる「♪もうすぐ17歳」でのこと。ルンルンしたステップに照れる二人は、微妙に息が合わず、振りに集中すると歌詞が怪しくなり、歌に集中するとステップが...といった具合。「いや、これ踊りじゃなくて歩いてるだけだから...」という振付の当銀さんのツッコミに笑いが起こります。この後も二人は、合間に振りを確認、本番ではあんなシーンもある!息の合ったキュートな歌を披露してくれることでしょう。

メドレー最後の「♪全ての山に登れ」は、キャスト7人がそろって声を合わせます。個人的にはこの曲に特にシビれます。何かと何かが掛け合わされると倍になりますが、美声と美声、しかも7人のそれが掛け合わされると天文学的パワーになるのです。ここまでリラックスして背もたれに背をつけていた人は、この曲で数ミリ背すじが伸びるはず。お楽しみに。

DSC02734.jpg

体温が上がる七色の歌声

朗読ミュージカル「カラフル」では、ソロ曲が多いため「デュエット曲もやりたいね」というのが2部にコンサートをすることになったきっかけのひとつでもあったそう。その希望を叶えるべくコンサートには、素敵なデュエットナンバーが揃っています。
津田英佑さんと今泉りえさんの「美女と野獣」は慈愛に満ちたハーモニー、増田有華さんと水野貴以さんによるミュージカル「ウィキッド」の名曲「♪あなたを忘れない」は、みずみずしい歌声が魅力です。「エリザベート」から「♪闇が広がる」は、田村良太さんと原田優一さんのコンビで。この二人のデュエットも1部の二人の関係を見聞きした観客にはすんなり、いやむしろ前のめりで聞きたくなる曲です。中井智彦さんと水野貴以さんの「♪All I Ask of You」は、劇団四季「オペラ座の怪人」のラウル役で歌っていた中井さんの安定感抜群の低音と水野さんの透き通る高音に酔いしれます。

DSC02748.jpg

そして、コンサートのラストはオリジナル曲「♪色の溢れる世界で~Song for Diversity~」。演出の板垣さん曰く、「森絵都さんの「カラフル」という物語を受けて、もう一歩、物語の外側まで広がる世界観が詞と曲に込められています」とのこと。たしかに、稽古場で聞いたその曲は、物語に出てくる登場人物の誰かに心を寄せていたとしても、気が付くと自分の昔やこれからに重ねて聞かずにはいられない、胸に響く名曲です。

ココから曲の一部が聞けますよ↓
https://www.youtube.com/watch?v=BnLNMGHk2RI

 稽古場を出ると、外は真冬の気温だというのに、どうやら体温は2度くらいあがっているのではないかしら......という感じ。この分で行くと本番は何度上がっちゃうことでしょう。いや、2度以上あがったら高熱騒ぎですが、心の温度が!ですのでご心配なく。
3日間5公演限りの貴重な朗読ミュージカル「カラフル」は、あなたに贈られる数日早いバレンタインプレゼントになるに違いありません。
(観劇ライター 栗原晶子)

■朗読ミュージカル「カラフル」
【日程・会場】
2/10(土) ~ 2/12(月・祝) 博品館劇場

チケット情報はこちら

カテゴリー

ジャンル

カレンダー

アーカイブ

劇団別ブログ記事

猫のホテル

文学座

モナカ興業

谷賢一(DULL-COLORED POP)

劇団青年座

劇団鹿殺し

 はえぎわ

柿喰う客

ONEOR8

M&Oplaysプロデュース

クロムモリブデン

演劇集団 円

劇団チャリT企画

 表現・さわやか

MONO

パラドックス定数

石原正一ショー

モダンスイマーズ

ベッド&メイキングス

ペンギンプルペイルパイルズ

動物電気

藤田記子(カムカムミニキーナ)

FUKAIPRODUCE羽衣

松居大悟

ろりえ

ハイバイ

ブルドッキングヘッドロック

山の手事情社

江本純子

庭劇団ペニノ

劇団四季

演劇チケットぴあ
劇場別スケジュール
ステージぴあ
劇団 石塚朱莉