■ミュージカル「メリー・ポピンズ」特集(2)■
2018年3月、ついに日本初演を迎えるミュージカル「メリー・ポピンズ」。様々な舞台機構、そして誰もが映画で慣れ親しんだナンバーに期待が膨らみます!
げきぴあキャストインタビュー第二弾は、Wキャストでメリー・ポピンズ役を演じる平原綾香さん!歌手、そして近年はミュージカル女優としても活躍する平原さん。イメージするメリー・ポピンズのお手本は意外な"あの女性"だという、独特の役作り(!?)にも注目です!
"ミュージカル『メリー・ポピンズ』製作発表 より"
メリー・ポピンズは困った時に助けてくれるヒーロー
――ミュージカルへの出演は3作目になりますが、本作のオーディションを受けようと思ったきっかけは?
「オーディションを受けるのは初めてで、正直お声がけいただけなかったら今回も受けることはなかったと思います。でも(映画版のメリー・ポピンズ役の)ジュリー・アンドリュースさんが大好きだったことと、ちょうど『サウンド・オブ・ミュージック』の日本語吹き替えをやらせていただいたばかりで。これも何かのご縁かなと、思い切って受けてみようと決めたんです」
――『メリー・ポピンズ』という作品の魅力をどんなところに感じていますか?
「メリー・ポピンズは女性ですけど、やっぱりヒーローって感じがするんですよね。彼女が来たらもう安心、みたいな。困った時に助けに来てくれる存在だなって。だからこそ家族の絆が取り戻され、本来の家族の姿に戻った時に、彼女は次の家族のもとへと傘で飛んで行ってしまう。それが寂しくもありますが、観ていてキュンとするところでもあって。そして子供から大人まで世代を問わず楽しめるところが、この作品の一番の魅力かなと思います」
――メリー・ポピンズを演じられる上で大切にしていきたいことは?
「まずは彼女の姿勢かなと思います。常に背筋がピンと伸びていて、それは彼女の心の姿勢でもあると思うんですけど。あと私の中ではやはりジュリー・アンドリュースのイメージが強かったのですが、演出家が求めているのはそれとはまた違う、ちょっと新しいメリー・ポピンズ像のようなんです。人の話を聞いていない感じとか、結構ゴーイングマイウェイなところとか、実は結構笑いのセンスがある。私がイメージしているのが芸人の友近さん(笑)。友近さんが誰かを演じられている時のリアルさ。リアルだからこそ面白い、みたいな。そういう感覚がこのメリー・ポピンズを演じる上でも必要なのかなと思っています」
――名曲ぞろいですが、ご自身が歌うのを楽しみにしているナンバーは?
「やはり『チム・チム・チェリー』は楽しみですね。本当に有名な楽曲ですし、それをカバーではなく、メリー・ポピンズとして歌える機会なんて今後ないと思いますから。あと『何もかもパーフェクト』はこの作品を象徴するナンバーであり、彼女の笑いのセンスが垣間見えるナンバーだと思うんです。そしてこれを歌いこなせれば、ほぼすべてのナンバーは歌えるだろうと言えるくらい、私にとっては難関なナンバーでもあります」
"ミュージカル『メリー・ポピンズ』"より こちらは平原さんバージョン!
――芝居や歌はもちろん、今回はダンスにも挑戦されます。
「実はすごく楽しみにしているのがダンスなんです。というのも平原綾香っていったらあまり"動かない、笑わない、しゃべらない"みたいなイメージがあると思うんですが(笑)、実はそれに苦しんできたところもあって......。私自身はどちらかというとそのイメージとは正反対で、踊ることも、笑うことも、しゃべることも大好き。だからやっと踊れる!って感じですし、今そういう作品に出会えたことがすごく嬉しいです」
――Wキャストの濱田めぐみさんは、平原さんの初舞台『ラブ・ネバー・ダイ』(14年)でも同じ役を演じられました。
「めぐさんの存在なしにあの舞台は乗り越えられなかったなと思えるくらい、めぐさんには心から感謝しています。人として常に優しく接してくださることが、初舞台の私にとってどれだけ大きな支えになったか! そんなめぐさんが、『今回もまた一緒に頑張ろうね』と言ってくださったことが本当に嬉しくて。またチラシ撮影時に見ためぐさんのメリー・ポピンズ姿が、すっごくかわいらしかったんですよ。私は、友近さん流の"笑い"を武器に頑張っていこうと思います(笑)」
取材・文:野上瑠美子
撮影:イシイノブミ