柿喰う客2018年本公演『俺を縛れ!』が、1月24日(水)に東京・本多劇場にて開幕しました。
劇団「柿喰う客」の"黒歴史的娯楽大作"として、2008年の初演以来10年ぶりの上演となる『俺を縛れ!』(作・演出/中屋敷法仁)。三度の飯より忠義を誓う将軍命の地方大名・瀬戸際切羽詰丸(せとぎわせっぱつまる)を主人公にした荒唐無稽な時代劇で、七味まゆ味以外は全員新キャストでの再演です。主人公・切羽詰丸を劇団の中心メンバーとして活躍する永島敬三、切羽詰丸を翻弄する徳川家重を2016年に新メンバーとして加入した牧田哲也が務めるほか、宮下雄也、平田裕一郎、神永圭佑、清水 優を客演に迎え、強烈な個性のキャラクターたちによる茶番チャンバラ劇を繰り広げます。
徳川氏の麾下で代々活躍した忍者・服部半蔵の「たとえ命が尽きようと顔も名前も明かさない」という忠義の言葉から始まる物語。頭の病で身も心もおかしくなったと噂される悪名高き将軍・徳川家重は、ある日、諸大名に「キャラお定めの令」を発令する。"ドスケベ大名"や"モノマネ大名"とめちゃくちゃなキャラを定められながらも、お上の言うことならと従ってしまう大名たち。そんな中でも、将軍命で一途な忠義を貫き通す弱小田舎大名・切羽詰丸に対し家重は、"裏切り大名"という真逆のキャラクターを定めてしまう。"裏切り"を課せられた切羽詰丸の忠義は果たしてどこに辿り着くのか――。
主人公・切羽詰丸役の永島、家重役の牧田をはじめ、家重の息子・家治役の長尾友里花、側近・大岡忠光役の田中穂先、家重に仕える33代目服部半蔵役の葉丸あすから、ストーリーの中心を劇団員がガッツリ固めた本作。彼らが生み出す独特のテンポに巻き込まれ、笑っているうちに思わぬ場所に立っていた...とでもいうような柿喰う客ならではの展開にどっぷりと浸かれる展開です。その中で客演の4人も存在感抜群。宮下は切羽詰丸の娘・ざくろをインパクト抜群に見せつけ、平田は家重に恨みを持つ浦見深左衛門(うらみふかざえもん)で「ナントカ城の七人」風殺陣を披露、神永は切羽詰丸に戦のやり方を指導する旅谷軍兵衛(やからやぐんべえ)を華やかに演じ切り、清水はざくろを一心に愛す士道廊戻郎(しどうろうもどろう)で笑いと涙を誘います。時代劇ならではの殺陣も満載で、永島や牧田、宮下、平田、田中らによる一騎打ちのシーンも。劇団公演ならではのどこか濃厚すぎる空気を味わえる作品です。
ラストでのどんでん返しやタイトルに繋がる想いの吐露で、ストーリーの見え方が大きく変わる本作は、本多劇場にて2月4日(日)まで上演中!
(文:中川實穗/写真:引地信彦)
<公演情報>
柿喰う客 2018年本公演『俺を縛れ!』
2018年1月24日(水)〜2月4日(日)
本多劇場
作・演出
中屋敷法仁
出演
永島敬三 牧田哲也 加藤ひろたか 田中穂先 宮田佳典 守谷勇人 とよだ恭兵 村松洸希
七味まゆ味 葉丸あすか 長尾友里花 淺場万矢 北村まりこ 永田紗茅
宮下雄也 平田裕一郎 神永圭佑 清水 優