いよいよ「少年社中」20周年!主宰の毛利亘宏さんにロングインタビュー(前編)

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主宰する劇団「少年社中」の20周年記念公演第1弾となる少年社中×東映 舞台プロジェクト「ピカレスク◆セブン」の開幕を、年明け早々に控える毛利亘宏。現在放映中の「宇宙戦隊キュウレンジャー」(テレビ朝日系)でメインライターを務め、また2.5次元舞台のキーパーソンと目されるなど注目を集める毛利自身にクローズアップ! ロングインタビューで、その幅広い活動の根幹にある思いを探る。

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――毛利さんの作品を拝見すると、いろんなジャンルへの造詣が深いと感じます。どんな文化を飲み込んで育った方なのか、興味が湧くのですが。
毛利 アニメは好きでした。「ガンダム」とかガイナックス系のアニメとか。今42歳なんですが、あの当時に流行っていた、だいたいのものに手を出していた気もしますが、特に「機動警察パトレイバー」にどハマリしましたね。押井守さんに憧れたりとかはやっぱりありましたね。あと、小説も結構読んでいました。ミステリー系が多かったんですけど、「シャーロック・ホームズ」やパトリシア・コーンウェル......とかそういうのではなく、内田康夫とかきわめてベタなヤツが好きで(笑)。

――世代的にはトレンディドラマ全盛期だったと思いますが、そういうものには?
毛利 全然興味なかったんですよね。映画は好きでしたが、ドラマは子供の頃に見ていたものがまあまあ好きだったくらい。「もしも学校が...!?」ってドラマ覚えてます? 三田村邦彦さんや(片岡)鶴太郎さんが出ていて、宇宙人と子供が交信するというような。

――やはり日常的な内容ではないものを好んでいたんですね。
毛利 そうですね。今回の作品(「ピカレスク◆セブン」)や前回の「パラノイア★サーカス」もそうでしたけど、非日常のお祭り感が好きなんですよね。「東映まんがまつり」じゃないけど、デビルマンとマジンガーZが戦うんだ、みたいなことにワクワクして。あと、やっぱりプロレスも好きでしたよ。

――プロレス好きな演劇人は本当に多いですよね!
毛利 (プロレスには)マッチメイクの面白さってあるじゃないですか。演劇に置き換えると、キャラクターをいっぱい集めてそれぞれに背負ったドラマを使い、いわゆる二次創作的にも作れる。自分はそれが得意な方だと思うし、演劇でもそれをやってみて面白いことは正直、多いと思います。実は「ピカレスク◆セブン」に登場するのはほぼ、過去に扱ったことがあるキャラクターなんです。初めて、扱うのはマクベスとぬらりひょん、そうりだいじんぐらいだと思います。今回しか見られないマッチメイクを見せたいなと思っています。

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――作家の欲として、完全にゼロから作り上げたいという気持ちは?
毛利 なくはないですけど、何かベースがあった方が楽しいと思っちゃいますね。この人にこういうキャラクターをやらせたら面白いだろうな、というところからいつも始まるので。もし絵を描けていたら同人誌とか作っていただろうし、作風としてやっぱり二次創作感はすごいあると思います。結局、物語の組み合わせってパズルで決まっていて、まず魅力的なキャラクターさえいれば魅力的な台詞が生まれて魅力的なドラマが生まれる、みたいなところがあるので、自分がゼロから作り上げたキャラクターじゃないと......とか、オリジナルじゃないと......といったこだわりは正直持っていないです。

――まずキャラクターありきなら、毛利作品の登場人物が常にキャラ立ちしているというのは納得ですね。
毛利 そうなんですよ! キャラ立ちこそが大事だと思っています。ちょっと語弊があるかもしれませんが、演劇って結構不自由を強いるものだし、本来は退屈でキツいものだと感じてはいて、瞬間瞬間で刺激がないと観ていられないものだと思っています。いうか、このいろんなキャラクターが出てきて「あ、楽しい!」と思う瞬間を積み重ねないと、お客さんが客席でとても辛い時間を過ごすことになると思ってます。USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)でショーを作らせていただくこともあるんですけど、あそこはもっとシビアで、3分に1回お客さんに「WOW!」と言わせる(くらい驚かせる)というのがマストなんです。その考え方にもすごく影響を受けていますね。

――少年社中や毛利さんがエンタメ志向なのは理解していましたが、早稲田大学演劇研究会(劇研)というアカデミックなところの出身というのもあるので、もっと「俺の物語を聞いてくれ!」というタイプなのかと勝手に思っていました(笑)。
毛利 そっちのタイプではないですね(笑)。むしろ、真逆です。"僕の物語"なんて大して自信がないと思っています。自分の脚本家としての性質を理解した頃には完全にそうでした。先程もお話ししましたが、時間を空けて指定された場所に来て監禁されて眠気にも耐え......を強いられる演劇は、お客さんにとってやっぱり辛いときもあると思うんです。だから、それを超える何かをとにかく全力でお観せしないと...。チケット料金で考えても7000円払えば、なかなかいいお寿司が食べられますよね(笑)。と考えると、それ同等のものが必要だと思っています。し。あと、テーマパークのショーも好きなんですけど、あれを見たら恋が生まれて結婚するぐらいの影響力があったりするじゃないですか。作品を観せることにおいては自分のエゴはどうでもよくて、何か人生を変えるぐらいの衝撃や感動を生み出せれば......と思っています。
こうあるべきだとか全然なくて、ただただ面白くて値段に見合ったものになればいいとも思っています。今ある食材で一番美味しい料理を出す「深夜食堂」みたいな"街の定食屋"が理想だし、そこに理論は必要ない。観たい人に観たいものを観てもらう。定食屋としては、空腹の人をほっといてはならんのです(笑)。だから2.5次元舞台についてもいろんな見方がありますけど、僕は「面白いじゃん」って素直に思えるし、作れるし、というスタンスですね。

取材・文/武田吏都

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★インタビュー 後編に続きます!

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