今年の大晦日から上演される、『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania- 』。
本作でセバスチャンを演じる古川雄大さんと、シエルを演じる内川蓮生さんの対談を全2回に渡ってお送りします。今回はその2。最後までお楽しみください!
★その1はこちら ※公演の概要も、その1へ!
――今作はおふたりで組む2作目となりますが、意気込みを聞かせてください。
古川 今作の意気込みは、地方で毎日朝食を食べること。
――え? どういうことですか?
古川 (笑)。毎回ふたりで朝食を一緒に食べてたんですけど、その回数を増やそうと。単純に一緒に食べたいので(笑)。それと、二回目だからできることってきっとあると思うので。お互い余裕もあるだろうし、その余裕がある段階でいろいろ発見して、いっぱい話して、生まれるものがきっとある。僕自身、前作(自身としては2作目)でそういう経験があったので。今回、コンビで続けて共演できるということで、また新たにふたりのみせ方じゃないですけど、関係性を面白くできたらなと思っています。
――内川さんはどうですか?
内川 僕もやっぱり古川さんと朝食をいっぱい食べるのと、
古川 すごい......。かぶせられるんだ。向かうところ敵なしだな。
内川 (笑)。あと、やっぱり去年やったから気付けたことを今作で出せるように、がんばっていきたいなと思います。
――前作のパンフレットで内川さんは、演出の毛利亘宏さんに「12歳にしかできないことをしてください」「等身大でやってください」ということを言われたという風に書かれていたのですが、今回、13歳だからこそというところは何かありますか?
内川 小学生のままだと1年ではあまり変わらない感じがするんですけど、小学生から中学生っていうと同じ1年でもやっぱり「大人」っていう風になっちゃうので。パスモ(電車のICカード)とかも大人料金になるし。
古川 そうなの! へえ! 大人料金払ってるの?
内川 はい(笑)。いろいろ大人の範囲が増えてくるので、シエルも去年の12歳のシエルじゃなく、ちょっと大人に一歩成長したシエルを演じたいなと思います。
――そういう意味では、シエルと婚約者のエリザベスのシーンでの活躍は、ちょっと大人なシエルになりそうで楽しみです。おふたりは今作で楽しみにしているところはありますか?
古川 ミュージカルならではの部分で言うと、前回、素晴らしい曲を書いてくださった和田(俊輔)さんが今回も書いてくださるということで、どんな曲がくるのか楽しみです。あともちろんシエルとエリザベスのお話もとても楽しみです。この年代の女性が出るというのが初めてですし(エリザベス役の岡崎百々子さんは14歳)。ふたりにはそれぞれの方向で思いっきり暴れていただきたいなと思っています。あと、今回はセバスとシエルが出会った頃の話も描かれているので、更に深い「黒執事」の世界観を作れるかなと今思ってます。
――内川さんはどうですか?
内川 古川さんが仰ってたみたいに、シエルとセバスチャンが出会った頃の今まで知らなかったところがあるのと、僕個人としては、映画(劇場版「黒執事 Book of the Atlantic」)を観て、「あそこのシーンはどうなるのかな」ってすごく楽しみなところもあります。
――「不死鳥(フェニックス)!」も楽しみです。
内川 ははっ!
古川 そうですね。ヒデちゃん(ドルイット子爵役の佐々木喜英さん)がね、今までの公演でずっと「不死鳥!」を小出しにして、ずっと温存して温存してきたのに、セバスたちが先にやっちゃうので。ほんと申し訳ないです(笑)。一発目をきめさせてもらって。
――その息の合い方も楽しみです。
古川 お客さんもけっこうそこは楽しみにして......いやそこを楽しみにするっていうのもアレなんですけど(笑)、でもしてますよね。そこだけ観に来てくださってもいいですし。
内川 (笑)。
過去が描かれるのは大きい
――今作で役として深めたい、進化させたいところはありますか?
内川 前作はセバスチャンに守られてたっていう部分があるので、今作はシエルの「エリザベスを守る」というところを強くしたいなって思います。結局は、守られちゃうんですけど。
古川 常に一緒にいたんですけど、今回は別行動多いもんね、今回はそれぞれちょっと。
――セバスチャンとしてはどうですか?
古川 セバスチャンとしては、ブレずにいたいなっていうのがありながら。シエルの成長を悪魔目線でしっかりと見守っていきたいなというのはあるんですけど。過去が描かれるのは大きいなと思っていて。またミュージカルならではのみせ方で、より面白くできるんじゃないかなっていう期待があって、すごく楽しみです。
――より面白くというのは?
古川 なんか幅が広がる感じがあります、今作で。もちろん(セバスチャンとシエルの過去は)知っている方が多いと思うんですけど、ふたりのことをちゃんと作品の中で描くのは今回が初めてなので。
――演出が今回から児玉明子さんになるのもかなり大きな変化になるのかなと思いますが。
古川 なると思います。毛利さんがつくるミュージカル「黒執事」も本当に素敵で大好きだったんですけど、今回スタッフチームも新しく携わってくださる方もいて。でも前作の「サーカス編」から今作の「豪華客船編」だけでも作品的にガラッとカラーが変わるので。また違った新しいものになるんじゃないかなって期待はすごくあります。毛利さんとそのカンパニーがつくるミュージカル「黒執事」もすごく好きなので、両方いいねってなったら素敵だなと思います。
――前作、今作と続けてやられるおふたりが、この変化を体現していくかたちになりますね。
内川 毛利さんの演出された黒執事もすごく好きだったんですけど、児玉さんになるということで、ミュージカル「黒執事」の新しい魅力が出てくるのかなって思うので精一杯、頑張りたいです。
――余談ですが、前作で古川さんにインタビューさせていただいたときから、内川さんのことを「かわいくてしょうがない」とおっしゃってましたね。
古川 (見つめ合って)ほんとかわいいと思います(笑)。でも大人になってもきっとかっこよくなるので、ね。
――(笑)。では最後にこの記事を読んでくださる方に一言ずつお願いします。
内川 今作では、今までみせてきたシエルの強くて凛々しい部分じゃなく、弱かった部分とか、そこからの成長をうまく皆さんにお伝えできるようにがんばっていきたいなって思います。
古川 それをサポートしたいと思います(笑)。でも本当に。お話としても影の主役として徹底的にサポートして、稽古場でもうまくサポートして、それが生きて、よりいい作品になったらなと思っています。それと、(作品のパッと見の印象が)とっつきにくい感じかもしれないですけど、観たらきっとハマるので。だから観に来てほしいです。本当に面白いんですよ。俺も原作読み始めたら全巻止まらなかったので。それくらい、30のおっさんもハマる......
――なったばっかりですけどね。
古川 (笑)なったばっかりですけど。そのくらい、幅広く受け入れられる作品なんじゃないかなって思います。
――新たにいろんなお客様に観てほしい、ということですね。
古川 はい!
(このあと、ふたりで誕生日ケーキを食べていました!)
『ミュージカル「黒執事」 -Tango on the Campania-』 は、12月31日(日)から2018年1月14日(日)まで東京・TBS赤坂ACTシアターにて上演。その後、兵庫、愛知、石川、福岡を巡演。チケットぴあでは、2017/9/26(火) の19:00~東京公演のプリセールを実施! 一般発売前にチケットを手に入れる最後のチャンスです!
取材・文:中川實穗
撮影:川野結李歌
ヘアメイク:AOKI/HIKOHO