原作 江戸川乱歩 × 作・演出 倉持裕
個性の光る俳優陣により、乱歩の迷宮世界がシアタートラムに立ち上がる!
2月10日、舞台『お勢登場』がシアタートラム(三軒茶屋)で開幕しました。
江戸川乱歩の多数の作品群の中から、作・演出を手掛ける倉持裕が8本の短編小説を厳選、複雑な手法で編み上げ、一本の演劇作品として再構成した本作。
それぞれの短編作品の世界がパラレルワールドのように展開されながら、ミステリアスな女・お勢を軸に、次第に絡まり合っていきます。
明智小五郎のライバルに仕立てようと江戸川乱歩が構想していたのを受け、倉持が膨らませたダークヒロイン・お勢を演じるのは黒木華。
片桐はいり、梶原善など黒木以外の俳優は一人で複数の役を演じ、乱歩の描く人間の不可思議な多面性を浮かび上がらせます。
乱歩×倉持×個性の光る俳優陣のタッグにより、迷宮世界がシアタートラムに立ち上がりました。
初日を終えた作・演出の倉持裕、出演者の黒木華、片桐はいり、梶原善は次のようにコメントを寄せました。
《 初日コメント 》
■倉持 裕:作・演出
『お勢登場』は、自分の得意技である構成力を発揮できた作品だと思っています。意外と「怖い」と仰ってくださるお客様も多く、またコメディの部分も笑っていただけたので、シリアスとコメディが良いバランスになっているのではないでしょうか。
俳優は皆さん、良いです。黒木華さんはお勢という悪女の色気を出して、芝居を引っ張っています。また片桐はいりさん、寺十吾さん、千葉雅子さん、そして梶原善さんというベテラン勢が、シリアスとコメディの色分けをコントロールしながら物語の大枠を築いていて、そんな中で水田航生くん、川口覚くん、粕谷吉洋くんは、軽さとスピード感を与えてくれています。明日以降、更に面白い芝居になると思います。
■黒木 華:お勢
お客様の前で上演して反応をいただくことで改めて「お勢は物語の中でこのようにつながって、変化していくんだな」と実感することができました。お勢は魅力的な女性で、彼女が登場するオープニングも演出がとても格好良いので、私もそれに合わせて見得を切っています。見てくださる方が思わずドキッとするような不思議な魅力をまとえるよう、お勢の悪い部分、可愛らしい部分などをこれから更に膨らませて、作品の芯としてのお勢の存在を大きくできたらと思っています。
■片桐はいり:井原/刑事1/瀬川須磨/母(兄弟の母)ほか
最初に戯曲を読んだときは、どうやってこれを上演するんだろうと思ったのですが、こんなに大変なことだったんだと今日改めて感じました。やり残したことや、新たな問題が沢山見えてきましたので、これから考えないといけません。人間がそれぞれ自分の裏側で隠していること、その多面性をお芝居の中で浮かび上がらせるようにできたらと思っています。まだまだやれるはずです。
■梶原 善:村上/按摩/瀬川昭夫
こんなに登・退場の多い大変なお芝居は珍しく、初日をご覧になったお客様にも"生"な感じを味わっていただけたのではないでしょうか。明日からはもっと"スムージー"に、芝居のドキドキ感をより高めていけたらと思います。この作品は、おかしみのある普通の人間たちが、お勢という記号に嵌って突き進んでいくというところに面白みがあると感じています。その倉持くんの戯曲の素晴らしさをお芝居でも十二分に発揮していますので、これから見に来てくださる方はどうぞお楽しみに。
[舞台写真]
世田谷パブリックシアター『お勢登場』
撮影:細野晋司
《 公演概要 》
世田谷パブリックシアター 『お勢登場』
2017年2月10日(金)~2月26日(日)
会場:シアタートラム
原作:江戸川乱歩
作・演出:倉持裕
出演:黒木華 片桐はいり 水田航生 川口覚 粕谷吉洋 千葉雅子 寺十吾 梶原善
全席指定(税込) 一般: 6,800円 高校生以下:3,400円
*毎公演、当日券発売あり
国内ツアーあり
・福岡=3月1日(水) 福岡市民会館
・大阪=3月4日(土)、5日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ