劇団Patch『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~天晴版』通し稽古レポート!

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大阪を拠点に活動する若手俳優集団・劇団Patchが今年4月に上演した2.5次元ミュージカル『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』。原作は週刊少年ジャンプの人気ギャグ漫画で、「あのギャグ漫画をミュージカル化!?」という周囲の不安をよそに大盛況を博した本作が、"天晴版"としてバージョンアップして上演される。初日に向けて稽古場の熱も高まる中、初の通し稽古が行われた。

 

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本作は、立派な武士を目指して江戸の武士道学校に通う磯部磯兵衛とその仲間たちの、のほほんとした自堕落な日常を描いた作品。今回の"天晴版"では配役を一部変更し、脚本、ダンスにも新たなアレンジを加え、5曲の新曲を追加、舞台には2本の花道が通されるなど、初演を観た人も新鮮に映るように大幅に変更されている。

 

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観劇中の注意を促す前説さえも歌に替え、幕開きから"磯ミュ"ワールド全開だ。主人公の磯兵衛を務める井上拓哉や、母上役の中山義紘ら初演からキャラクターを続投するメンバーはもちろん、磯兵衛の親友・中島襄役の納谷健、服部半端役の竹下健人ら新たなキャラクターに挑んでいるメンバーも、役になじんできている様子。特に磯兵衛役の井上はほとんど出ずっぱりだが、初演で演じた経験をもとに、コロコロと表情や声色を変えながらダメっぷりを表現していく。そんな磯兵衛を見守る神出鬼没の超人・母上や、親友・中島とのコンビネーションもバッチリだ。磯兵衛と友人たちとの会話の絶妙なテンポ感や間合い、袖にハケた後の瞬時の早替え、アンサンブルキャストの七変化などが物語に良いリズムを生み出し、笑いへとつなげている。また、新キャラクターのお犬様(山浦徹)が投入されたことによっても新たな笑いが生まれ、宮本武蔵を演じる芸人・お~い!久馬も、さすがの存在感を放っている。

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 歌やダンスにも磨きがかかり、初演でも大好評を得た上半身裸で踊る『筋肉ええじゃないか』や賽の河原でのスリラーダンスは、アホっぽさを通り越してカッコよく見える。ほか、キャラクター登場シーンに新たに曲がつけられたり、某ミュージカル風の楽曲が加えられるなど、全部で16曲、前回以上にお祭り感のあるステージに仕上がっている。

 

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観る側は、難しく考えることは一切ナシ。「立派な武士になりたい」と言いながら隙あればサボろうとする様、春画(エロ本)の取り合い、好意を寄せる団子屋の看板娘(鎮西寿々歌)への妄想、母上からの異様な愛情...など、漫画から飛び出してきたキャラクターたちによる、バカバカしさあふれる展開をただ観るだけで、「あ~、くだらんけど楽しかった!」と落ち着くのだ。しかも、毎公演終演後には、挿入曲をメドレーで披露するミニライブ「ISO LIVE」も開催。本番までにまだまだキャラクターの作り込みや、早替えのスピードアップ、テンポ感の調整がされていきそう。関西人だけで構成された劇団Patchだからこそできる、吹っ切れたパフォーマンスに乞うご期待!

10月20日(木)~25日(火)までABCホールにて上演。チケットは発売中。


取材・文/黒石悦子

写真/村山北斗

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