主宰・長塚圭史が、20年目の阿佐ヶ谷スパイダースに愛溢れるメッセージ

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長塚圭史さん、中山祐一朗さん、伊達暁さんによる演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」。旗揚げ20周年というこの年に、12年ぶりの『はたらくおとこ』を再演します。
その『はたらくおとこ』について主宰・長塚さんに話していただいた内容はぴあニュースで配信済みですが、そのときに実は、ずっと一緒にやってきた中山さんと伊達さんへの気持ちもお聞きしました。

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――10周年、15周年はうっかりスルーしてしまったそうですが、阿佐ヶ谷スパイダースの20周年になにか想いはありますか?
「(想いは)そんなにはないんだけど、でも20周年を意識することは悪いことじゃないな、と。それによって続けてきたんだなって実感もこみあげてくるし、今まで自分たちが歩んできたことも思い返すことができるし。これから俺たちはどこに行くんだろうって改めて考えるときにもなるし。だからやっぱり誕生日パーティーをしないよりかはしたほうがいい、みたいなね。そういうところは大いにあります」

――長塚さんは阿佐ヶ谷スパイダース以外でも作品をつくられていますし、別プロジェクトの葛河思潮社でも現在『浮標』を上演中です。そんな中で20年続けてきた阿佐ヶ谷スパイダースは長塚さんにとって源流みたいなものなのでしょうか?
「どうでしょう。でも、実は阿佐ヶ谷スパイダースの第10回公演が『日本の女』(2001)、それで多分、第15回公演が『はたらくおとこ』なんですよ。この『はたらくおとこ』の後にヴィレッヂプロデュースなどをやったことを含めると、第20回公演が『少女とガソリン』なの。そして、シアターコクーンでの作品も含めると第25回公演の今回が『はたらくおとこ』。っていうと5回公演ごとにこのおっさんたち(中村まことさん、松村武さん、池田鉄洋さん、富岡晃一郎さんは3作すべてに出演)とやってるんですよ。自分の中でペースがあるんだと思うんです、5本ごとにやってるっていうのは。多分、この出会いには阿佐ヶ谷スパイダースの猛烈なエキスがどこかあって。で、そこに20周年。たまたまだけどここに立ち返るんだって、ちょっと思いますね。むしろ逆に、今、自分がこのクリエイションに入ったときにどんな気分になるんだろうって。20年目にして必然的にこの面子のこの作品で。確かに源流みたいなところに一回立ち返るんでしょうね。そこでものすごい抱きしめるのか、ぶっ壊すのかわからないけど。いずれにしても激烈です、このメンバーでやるのは。
その中でもずっと繰り返しクリエイションしてきたのが中山と伊達で。彼らとはいろいろあったけど、今は非常にお互いに信頼していて。僕のクリエイションの仕方についても彼らは全面的にフォローしてくれるし、作品貢献もしてくれるので。その信頼は初演の頃よりも強いと思いますよ」

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――今回、そんな伊達さんと中山さんに一言ずついただきたいのですが。
「メンバーに!?」

――(笑)せっかくの20周年なので。
「考えもしなかったよ!(しばし悩んで)中山さんっていうのはほとんど僕の...本人曰く、ほとんど僕の女みたいな(笑)。いやーもう大変なんですよ...愛が!」

――長塚さんに対する愛ですか?
「そう。俺に対する愛がもう大変なんです。それはすごくいびつな形で、怒りになったり、献身になったり、めちゃくちゃで。毎回、中山さんをなだめたり褒めたり...」

――そうなんですか(笑)。
「去年『蛙昇天』(仙台で行われた演劇プロジェクト)をやったときに、僕ら仙台の一軒家で1か月以上共同生活をしてて。(長塚さんはやることも多くて)朝から晩まで超大変だったんですけど、それを2人は一生懸命支えてくれて。稽古から帰ってきても俺は仕事なんですよ。で、ガリガリやってると、中山さんはすぐ風呂を用意して、(伊達さんと中山さんが)2人でキッチンに立って。俺が仕事してるところに『はい、圭史ご飯だよ』とか言われて。『お、ご飯か』なんて言って食べて(笑)。で、ビールが出てきて、夜中まで芝居談義を3人でして。朝になると僕は昨日のキッチンの片づけとかをちょっとして。そうすると2人が起きてきて、朝ごはんをみんなで食べて。で、俺が仕事に戻るんですよ。そうすると2人がまたせっせとお弁当作って(笑)。そして一緒に車で(稽古場に)出かけてって。また稽古場でガリガリやってると、『圭史、そろそろお腹空いたんじゃない?』って言われて、お弁当食べて。中山さんもだけど、伊達くんも俺のご飯を気にしてるの、ずっと(笑)。夜も俺すぐ酔っぱらっちゃうから『圭史、ザブンだけでもしておいで!』って言われる。『じゃないと、疲れ取れないから!』って(笑)。これ3人ともほぼノーギャラでやってる仕事なんですけど。そういうこともね、やってて」

――すごい仲の良さですね!
「中山さんはその『蛙昇天』もだけど『ツインズ』(2015/パルコプロデュース)のときも、大変な役を文句ひとつも言わずにやってくれて、すごく貢献してくれたのはわかってるんだけど。でも今回はせっかく阿佐ヶ谷スパイダースだし、"わがままな女"の中山さんでいてくれて、大いにけっこうだなという風に...」

――長塚さんの"女"として。
「俺はそう思ってないんだけど(笑)。でも中山さんは俺がほかのところにかかりきりになったりしてると、キーってなる(笑)。なんで僕のこと見てくれてないの!? みたいなとこがあるのよ(笑)。だけど『そこはほんと任せたぜ』とか言うと、『うん!』みたいな(笑)。昔はそのバランスが取れてなかったんだけど。今は中山さんの成長したところもたくさん見てるけど、今回は自由にやってくれていいなと思ってます」

――では伊達さんにもお願いします。
「伊達くんはいつも後ろから支えてくれてる。『おっ』て倒れそうなときに大体後ろにいてくれてるようなところがあるので。それをいつもありがたいと思ってるし。俺と中山さんが大変なことになってるやつもなだめてくれるっていうか(笑)。後方支援してくれてるんですよ。一番後ろについて、カンパニーからこぼれてるものがないかということを。俳優のケアもしたり。僕ら阿佐ヶ谷スパイダースって...昔は劇団員なんて言わなかったのに最近は自分たちで劇団員って言っちゃったりしてるけど...、バラしとかをけっこうやってたんですよ。でもそろそろ歳もとってきて、もちろん怪我しちゃいけないっていうところもあるから『帰っていいよ』と言われるんだけど。でも伊達くんはね、ちゃんと『自分たちのカンパニーなんだ』って言って片付けも一生懸命やるからね。ありがたいです」

――素敵ですね。
「3人で変わることなくやれるのはしあわせですね......なんだこれ!」

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『はたらくおとこ』は11月3日(木・祝)から20日(日)まで東京・本多劇場にて。その後、福岡、大阪、仙台など全国6か所を巡回。

取材・文:中川實穗

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阿佐ヶ谷スパイダース Presents 『はたらくおとこ』
[作・演出]長塚圭史 
[出演]池田成志 / 中村まこと / 松村武 / 池田鉄洋 / 富岡晃一郎 / 北浦愛 / 中山祐一朗 / 伊達暁 / 長塚圭史 
※未就学児童は入場不可

★チケットぴあでは、東京・福岡・名古屋公演のチケットを絶賛発売中!

【東京公演】2016/11/3(木・祝)~20(日) 本多劇場
料金:全席指定 6800円 、 U-25 3500円 ※当日要年齢確認

【福岡公演】2016/11/23(水・祝) キャナルシティ劇場
S席 7800円 、 A席 6500円 、 学生 3000円 ※当日座席指定/当日、会場窓口にて座席指定券と交換/要学生証提示

【名古屋公演】2016/12/8(木) 名古屋市青少年文化センター アートピアホール
全席指定 7000円

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