11月、兵庫県立文化センターを皮切りに、東京芸術劇場 プレイハウス他、各地にて小粋に楽しめる喜劇の上演が決定した。
作品は、イギリス演劇の喜劇王、アラン・エイクボーン作 『扉の向こう側』だ。壮一帆、紺野まひる、岸祐二、吉原光夫、一路真輝、他、と華やかなキャストが顔を揃え、女優陣は、元宝塚歌劇団・雪組の歴代男役・娘役トップスターが一同に会した形となる。
ミュージカル界で活躍する俳優達の集合となる本作品ではあるが、歌無しの完全なストレートプレイである。
『扉の向こう側』(英題"Communicating Doors")は、1995にロンドンで初演。その後1998年にアメリカ・ニューヨークで上演、日本では2013年5月に上演されている。
ホテルのスイートルームの"コネクティングドアー"(隣室に繋がる二重扉)を使い、1970年代、1990年代、2010年代、と三つの年代をタイムワープし、行ったり来たりする、ドタバタ・サスペンス・コメディーだ。荒唐無稽でありながら、不思議な優しさと心地よさを感じる、肩の凝らない上質なコメディー作品である。今回の公演では、板垣恭一が演出を担当する。
<あらすじ>
物語の舞台は、ロンドンの五つ星ホテル「リーガル」の6階スイートルーム。
実業家リース(吉原)はジェシカ(紺野)とルエラ(一路)、二人の妻を殺した過去を持つ・・・と言っても、手を下したのは彼自身ではなく、彼の共同経営者のジュリアン(岸)。しかし何故だか表沙汰にはならず、人生の成功者として日々を送っていた。
しかし、70歳になり死を意識し始めたリースは、過去の自分に自ら制裁を下すかの様に、自分とジュリアンの悪事を告白する文書を書く。その文書を法的に有効なものとする為には第三者の署名が必要だった。
その為に滞在するホテルのスイートルームに娼婦・フィービー(壮)を呼ぶリース。
彼の企みに気づいたジュリアンはフィービーも殺害しようとするが、身の危険を感じたフィービーは「コネクティングドア」を開け隣の部屋へ脱出を試みる。
しかしその扉の向こうは過去と現在を繋ぐ不思議な空間となっていた。
そこで、殺害された筈の二人の妻・ジェシカ、ルエラと出会うフィービー。
お互いの立場を何とか理解し合った3人の女たちは、自分たちの殺人事件を未然に防ごうと奮闘するが、果たして・・・。
一つのドアを通じて、40年の時空移動が繰り広げられるが、その時々の年齢を演じ分けるキャスト陣にも注目だ。
今回の作品に際し、ミュージカル「エドウィン・ドルードの謎」でもそのコメディセンスぶりを発揮した、主演フィービー役の壮一帆から以下のコメントが到着した。
「初のストレートプレイ!
まずは台詞の多さにドキドキしています。先日、宝塚退団後初の舞台でご一緒させて頂いた諸先輩に、ストレートプレイの話を伺う事が出来ましたので、それを胸に、台詞をしっかり身体に受けて臨みたいと思います。
そして宝塚の大先輩・一路真輝さんと、私が新人公演で初主演させて頂いた時の相手役さんだった同期の紺野まひるさんとの共演が、とても楽しみです。一路さんは「楽しみ」というのがおこがましいくらい雲の上の方で、この初共演に大変緊張しています。稽古を通じて、女優として色々学ばせて頂き、本番ではしっかり皆様に楽しんで頂ける作品をお届けしたいと思っています。」
芸術の秋、今から上質な喜劇に出会えるのが楽しみだ。