宝塚最後の"100周年トップ"龍真咲、退団公演で「愛をプレゼント」――制作発表レポート


宝塚歌劇団月組公演『NOBUNAGA<信長>-下天の夢-』『Forever LOVE!!』の制作発表が2月15日、都内にて行われた。本作は月組トップスター龍真咲のサヨナラ公演。会見では、宝塚のテーマでもある"夢"と"愛"を、龍と月組メンバーが一丸となって描き出す意気込みが語られた。
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2012年から月組トップスターとして数々の舞台で主演を務めている龍。宝塚歌劇団創立100周年という大きな節目であった2014年4月時点のトップとして、大いに劇団を盛り上げたひとりである。5つある組のうち、この時トップを務めていたほかのスターたちはすでに退団しているため、龍は最後の"100周年トップスター"。また今回の月組公演はかんぽ生命が協賛につき、<簡易生命保険誕生100周年 かんぽ生命 ドリームシアター>と銘打たれていることから、小川友次 歌劇団理事長が「(龍は)100周年の申し子のような気がする(笑)。ツキを持った月組のトップ」とコメント。それに呼応するように、龍本人も「100周年の申し子の名に恥じぬように最後まで責務をまっとうしたい」と意気込んだ。

公演は芝居とショーの2本立てで、前半は戦国乱世を駆け抜けた織田信長を主人公にした『NOBUNAGA』。「単純に織田信長を演じてみたかったんです。ただ、彼が抱いた天下統一という夢は、私が宝塚歌劇に入ってひとつの夢を成し遂げるラストには相応しいのでは」と龍。様々な愛の形を綴るショー『Forever LOVE!!』については「宝塚で15年やってきましたが、私がテーマとしてきたものは、ハートであり愛でした。愛を形にするのはとても難しいですが、私たちが宝塚の舞台で演じることで、決して見ることのできない"愛"を、最後に皆さまにどのようにプレゼントできるのかと考えて、今からとてもワクワクしています」と話した。
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会見には月組トップ娘役・愛希れいか、男役スター珠城りょう、凪七瑠海、美弥るりからも出席。「全身全霊でしっかり龍さんについて頑張っていきたい」(愛希)、「本当に寂しい思いですが、最後まで龍さんの背中を追い続け、支え、龍さんの愛を感じ、龍さんに自分の愛を伝えながら演じたい」(珠城)、「いま月組は龍さんを中心としたいいピラミッドが出来ていますので、それを最後まで支え続け、お屋形さま(信長役の龍)についてきたい」(凪七)、「自分の演じる秀吉は、懐で草履を温めて信長様に差し出したというエピソードがあります。真咲さんは大人気なので、みんなで草履の争奪戦になると思いますが、秀吉として一番に草履を奪い、毎日温めて差し出したい」(美弥)と、それぞれ龍のさよなら公演への思いを語っていた。
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公演は6月10日(金)から7月18日(月・祝)まで兵庫・宝塚大劇場、8月5日(金)から9月4日(日)まで東京宝塚劇場にて。チケットは兵庫公演が5月7日(土)、東京公演が7月3日(日)に一般発売を開始する。




げきぴあでは、制作発表会見の模様を、もう少し詳しくお届けします。


会見は、月組メンバー5名によるパフォーマンスからスタート。
会見で、主題歌等が披露されることは多々あるのですが、なんと今回は、15分超!の充実の内容で、龍さんも「皆さま本日は、制作発表をご観劇...と言っていいほど長いパフォーマンスでしたが(笑)...。お越しくださいましてまことにありがとうございます」とご挨拶で述べるほど。

まずは『Forever LOVE!!』の、おそらくテーマ曲になるであろうナンバーを龍さんが歌います。
「ステージこそ愛」「愛を感じすぎると泣いてしまいそう」「時に涙し汗を流した」といった歌詞が、サヨナラ公演を思わせて、やっぱりぐっと来てしまいますね。
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ここで歌われる歌詞については「...あたってる...。と、思いました(笑)」と龍さん。
「私がまだ振りが覚えられない、歌詞が難しいとピヨピヨ泣いたり笑ったりしていた時期から、(演出の)藤井先生は温かく見守ってくださっていたんだなと。すべての思いが込められている歌詞だと思います。特に前半で歌っていた歌詞は、私そのもの」とのこと。
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続けて、『NOBUNAGA<信長>-下天の夢-』のパフォーマンス。
明智光秀役・凪七瑠海さん。
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「光秀はあまりにも有名な武将ですので、配役をきいて嬉しい気持ちと大きなプレッシャーを感じました。彼自身、謎多き人物。とても興味をそそられる人物です。彼が本当のところどう思っていたのかや、信長に対しての気持ちをどんどん作っていきたい」と凪七さん。


豊臣秀吉役・美弥るりかさん。
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この役については「有名な人物ですし、個性的な役者さんが演じてきている役。それを私がどのように演じていくのか不安がありつつ、作っていく楽しみもあるなと思っています。(演出の)大野先生からアドバイスを頂きつつ、自分なりの秀吉像を作れたら」と話しました。
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ローマ出身の騎士・ロルテス役の珠城りょうさん。
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「私自身も「一体誰だろう...」というのが正直な第一印象でした(笑)。大野先生から少し伺ったところ、マルタ騎士団に所属していて、マルタ島を追われたことの汚名返上のために日本に乗り込んでくるということです。日本に乗り込んでくるローマ出身の騎士としてどのように作品と関わっていくのか、自分の役割をしっかり果たしていけるように、歴史も勉強しつつ、楽しみにしていきたいと思います」とのこと。
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信長の正室・帰蝶役はトップ娘役・愛希れいかさん
「作品のテーマである夢を抱き、そして織田信長を最後まで愛しぬきたい」と話しました。
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そして織田信長役・月組トップスター龍真咲さん。
ショー仕様の衣裳から早替えでの再登場!
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信長役は「絶対にやりたかったんです!なんとしてもやりたかった!」と力を込めて話す龍さん。
その思いは直感だといいつつも、「信長が抱いた天下統一という夢は、私が宝塚歌劇に入ってひとつの夢を成し遂げるラストには相応しいのでは」とも。

この赤いマントも、信長っぽいですよね!
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作品について、演出の先生方のご挨拶はこちら。
まず『NOBUNAGA<信長>-下天の夢-』の作・演出を手がける大野拓史さん
「龍さんの最後の舞台を担当させていただき、大変光栄に思っています。龍さんは客観的にみていると、「こういうこともするんだ」「えっ、こうなるんだ」と思うような独特な個性を持ってやっている方。でも「なるほど、そうか」と思える舞台を作り上げている。それが信長という、独自の個性を持って、だからこそ歴史で名を残した役に似合うと思った。信長をやると言ってから、色々な人に、色々な信長像の希望を言われていますが、龍さんとタッグを組めば、それを超える新しい壮大な信長像を作り上げられると思っています」と話します。
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またサヨナラ公演であることについては「サヨナラ公演は、その都度その人が卒業したい形に近いものにしますが、今回には(龍から)「なるべく多くの人に活躍させてあげて欲しい、そしてみんなで一緒にやれる場面が欲しい」と言われました。その言葉をききながら、龍さん、いつのまにか組織の長...トップになったんだなと思い、感慨深かったです。"信長様、僕頑張ります!"という気持ちになりました(笑)」と語っていました。


一方でショー『Forever LOVE!!』を手がける藤井大介さん
「今まで月組を引っ張ってきてくれた龍真咲のファイナル公演ですので、とにかくそこに一番焦点を当てて、盛り上げて作っていきたい。そして龍が率いる、龍の愛する個性的で素敵なスターさんがいっぱいいますので、その(月組の)魅力もあわせてお楽しみいただけるショーになればと思います。
彼女は非常に現代風に見えますが、誰よりも宝塚への強い愛情を持っている人。今回はずばり"愛"という言葉をテーマに、今まで龍真咲が作り上げてきた愛をこれからも永遠に...という意味を込め、『Forever LOVE!!』とつけました。様々な愛の形、愛の姿、愛の結晶を楽しんでいただけますよう、一丸となって頑張ります」と意気込みを。
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さて、その龍さんは
「今、皆さんのご挨拶をお聞きして、私の卒業公演は色々な、たくさんの方々の愛や夢が詰まった作品になるのではないかと思っています。私がこの最後に、なぜ織田信長をやりたかったかというと、ただ単に織田信長を演じてみたかったというひとつの夢があったからです。そして『1789』の時に「わたしはロックが好きなんだ、そして燃え滾る魂のような思いの溢れる役が好きなんだ」と目覚めた思いがあり(ロック・ミュージカルとなり)、そして日本物のスペシャリストの大野先生がやってくださるとのことだったので、ぜひぜひと甘えることになりました。大野先生としっかりと信長に命を吹き込み、作品を作っていきたいです。

そして『Forever LOVE!!』については、やはり宝塚のテーマであり、そして私が15年宝塚でやってきてテーマとしてきたものは、ハートであり愛でした。愛を形にするのはとても難しいですが、私たちが宝塚の舞台で演じることで、決して見ることのできない"愛"を、最後に皆さまにどのようにプレゼントできるのかと考えて、今からとてもワクワクしています」とご挨拶。
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愛希さんは
「大野先生の作品にはあまりご縁がなかったのですが、こうして先生の作品で、日本物が出来るということですごく幸せに思っています。ショーも、今(パフォーマンスで)龍さんの歌の裏で影コーラスをさせてもらったのですが、すごく素敵な歌詞と素敵なメロディで、今からどのようなショーになるのかとてもワクワクしています。月組の皆さまと一緒に全身全霊でしっかり龍さんについて頑張っていきたい」と意気込みを。
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珠城さんも愛希さん同様「今日、少しだけでもコーラスをさせていただいてとても嬉しかったです。龍さんのサヨナラ公演ということで、本当に寂しい思いもあるのですが、いち組子として、最後まで龍さんの背中を追い続け、支え、龍さんの愛を感じ、龍さんに自分の愛を伝えながら公演ができるようにしたい」と話しました。
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凪七さんは「制作発表でこんなにセリフを言い、歌い踊ったのは初めてですので、口から心臓が飛び出るほど緊張していました」と笑いつつ、
「龍さんの退団公演です。いま月組は龍さんを中心としたいいピラミッドが出来ていますので、それを最後まで支え続け、お屋形様についていきたい」とのこと。


美弥さんは「さきほど真咲さんが歌っていた歌(ショーのナンバー)も本当に素敵な曲。最後の最後の日まで、真咲さんの魅力がぎゅっと詰まったショーになるんだろうなと思いますし、その作品に月組の一員として参加できることが本当に光栄に思います。
自分の演じる秀吉は、懐で草履を温めて信長様に差し出したというエピソードがあります。真咲さんは大人気なので、みんなで草履の争奪戦になると思いますが、秀吉として一番に草履を奪い、毎日温めて差し出したい。最後の日まで龍さんの背中をおいかけて、みんなで最高の舞台を作れるように、私も精一杯頑張っていきたいと思います」と心境を話しました。


皆さんの龍さんへの愛に溢れたコメントの数々を聞いているだけで、ウルっときてしまう会見でした...。
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取材・文・撮影:平野祥恵


【公演情報】
・6月10日(金)~7月18日(月・祝) 宝塚大劇場(兵庫)
 一般発売:5月7日(土)
・8月5日(金)~9月4日(日) 東京宝塚劇場
 一般発売:7月3日(日)




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