今年は『レ・ミゼラブル』マリウス役を射止め、今月には『アラジン』タイトルロールデビュー!
大作に次々と出演している若手ミュージカル俳優・海宝直人さんが、12月10日、クリスマス・スペシャル・ナイト『"Trust me!"Naoto with U.』を開催。
そのイベントで、「2016年春 劇団四季ミュージカル『ライオンキング』シンバ役キャストへの挑戦」を発表し、同日取材会を行いました。
子役から活躍している海宝さんですが、なんといっても1998年に開幕し、いまだロングラン公演が続いている『ライオンキング』の、ヤングシンバ オリジナルキャストのひとり。
1999年に発売された劇団四季版『ライオンキング』CDのヤングシンバは、海宝さんですよ!
(※四季の『ライオンキング』CD、2種類ありますのでご注意を)
ヤングシンバが成長し、シンバとしてサバンナに戻ってくるのは、初めてのことだそうです!
上演回数1万回を超えるロングラン・ミュージカルならではの、素敵なニュースですね。
『ライオンキング』1万回達成記事→★
そして2015年は芸能活動20周年!という節目の年だった海宝さん、その長いキャリアの中でも、ヤングシンバは一番長く付き合った役とのこと。
ちなみに当「げきぴあ」では、以前、海宝さんに「捜査日誌」をご執筆いただいたことも。
『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』→★
さて、取材会では、衝撃の発表となった『ライオンキング』へかける思いや、オーディション応募数約1500通の中から選ばれ、現在出演中の『アラジン』のことなどを、たっぷり話してくれました。
――来春『ライオンキング』シンバ役への挑戦決定とのこと、おめでとうございます。どういう経緯で決まったのでしょうか?
「『ライオンキング』はもともと自分にとって、俳優としてやっていきたいと、舞台を続けていく大きなきっかけになった作品でもあり、チャレンジしたいなという気持ちがありました。そんな中、オーディションを受ける機会を頂いて(決まった)...という形です」
――シンバ役に決まった時の気持ちは?
「中学1年生までの3年間(1999年~2001年)、ヤングシンバとして出演していた作品なので、もちろんとても嬉しかったし、感慨深いです。僕にとっては、本当に"育ててもらった"作品です。すごくワクワクしていますし、楽しみでもあります。ヤングシンバを経験しているというのは、自分の中でひとつ、大きなこと。お父さんのムファサに抱きついた瞬間の感覚とか、なんとなくではありますが、身体が覚えている。そういう体感したものを、活かしていければと思います」
――大きくなって、今度はプライドロックの頂上へ。どういう気持ちでしょう。
「すごく記憶が残ってるんですよね、卒業式の時、プライドロックに登らせてもらったこととか(劇団四季では子役がその役を卒業する時、「卒業式」を行う)。あの3年間はすごく自分の人生の中で大きくて。すごく嬉しいといいますか...感慨深いです」
――今月は『アラジン』のアラジン役としてデビューされました。久しぶりに劇団四季のステージに立った、アラジン・デビューの日はどんなお気持ちでしたか?
「とりあえず...緊張はすごくしました。まずそれが素直な感想かな(笑)。そして舞台が終わった時、作品がものすごくハッピーで楽しい作品ですので、笑顔で拍手してくださるお客さまたちを見て、幸せだなと思いました。やっぱり舞台に立つって、舞台で歌ったり芝居ができるって、素敵なことだなと思いました」
――アラジンはどういう青年だと思って演じていますか?
「僕、小さい頃から『アラジン』が好きで、続編の『ジャファーの逆襲』なんかも、擦り切れるほどVHSで見ていたんです(笑)。自分の中ではその"アニメーションのアラジン"というのがすごく大きい。役を作っていく上でも、そのイメージをひとつの下地にして作っていきたいなと思っていました。あとオーディションが、ワークショップ的なやり方だったのですが、その中で演出補のスコット(・テイラー)さんに「アラジンという青年はお金がなくて貧乏で、盗みを働いたりしているけれど、本来彼の中には誠実でまっすぐでノーブルな部分がすごくある。そこを大事にして欲しい」という話をしていただいたので、そこもすごく大事にしていけたらと思ってやっています。それでいて、チャーミングで、でもちょっとマヌケなところもある。みんなに愛してもらえるようなキャラクターになれたら」
――『アラジン』で好きなナンバーは?
「『アラジン』はどの曲もすごく好きなのですが、NYで観た時に感動したのは『A Million Miles Away(行こうよ どこまでも)』。あと『A Whole New World(新しい世界)』は定番ですし、本当に素晴らしいですよね。それから『自慢の息子(Proud of Your Boy)』は小さい頃から好きです。(映画版では未使用になったが)アラン・メンケン(作曲家)が歌っているものがあるんですが、それを昔からずっと聴いていて、すごく素敵な曲だなと思っていましたので、思い入れがあります。先日『アラジン』DVDの新しいものが出たんですが、その中でアラン・メンケンのインタビューが入っていて、映画版制作の途中で亡くなったハワード・アシュマン(作詞家)との話や、この曲が映画版でカットされたことについての思いを語っています。この曲を世の中に出したいという思いがあって、それが舞台版で実現して...というような話、それから映画版でジャファーの声をやって、ブロードウェイの舞台にも出ているジョナサン・フリーマンさんの「自分の見せ場の直前にある『Proud of Your Boy』を聴いてしまうと涙が出てくるから、できるだけ聴かないようにして演じている」という話とかを聞いて、本当に『アラジン』を作ってきた人たちの思いが詰まった曲なんだなと思うと、大切に歌わなきゃと思うんです」
――アラジン、シンバとディズニー作品の主人公が続きますね。
「ディズニーは自分を育ててくれた作品。子どもの頃は、(『美女と野獣』『ライオンキング』と)ディズニーにどっぷりつかりながら生きていました。アラン・メンケンさんの楽曲にも思い入れがありますし、自分の中に蓄積されたものを活かしていければと思います」
――ディズニー作品を演じる上で心がけることは?
「完成度、精度がすごく高い。振付も照明も美術も、練り上げきられているので、自分で余計に足すより、その(もともとある)部分を大事に深めていく。芝居の面や、歌の精度を上げたりですね。そういうところをきちんと丁寧に演じれば伝わるのかなと思っています」
――2015年は大きな舞台出演が続き、芸能生活20周年の節目の年でもありました。どんな一年でしたか? また、2016年はどんな年にしたいですか?
「今年は転機になる作品が多く、責任のある立場というものも勉強させていただくことが多かった1年です。1月から舞台をやっていて、怒涛でしたし、『レ・ミゼラブル』をやっている間は各都市で20周年のアニバーサリーライブをやらせて頂いたりもした。自分の持久力の挑戦でもあった。そこを乗り越えてこれたので、自分の中でも成長できたかなと思います。その経験を活かしつつ、また新たな挑戦をしていきたいと思いますし、より芝居を深めていきたいす。ステージ上でリアルに生きる...役同士の交流を、しっかりと深めていければいいなと思います」
――経験を積んで外見もますます精悍になりましたね。今の自分のチャームポイントは?
「難しいですね(笑)!みなさんに笑顔(が良いと)はよく言っていただくんですけど。お姉ちゃん(=劇団四季の女優である海宝あかねさん)にもそっくりらしいですよ。劇団の方にも「くしゃっと笑うとそっくりだね」って言われます(笑)。言われるんですけど。あとは精悍になったと仰っていただきましたが、男らしい部分をこれからどんどん増していけたらと思っています!」
そしてイベント(スペシャルトーク&ライブ)では、海宝さんらしい、素直で優しく、美しい歌声を響かせていました。
現在『アラジン』に出演中、この日も昼公演に出演後のイベントとのことで、「せっかくなので、ひたすらディズニー、こってりディズニーの世界へ」と、ディズニーソング・コレクションのセットリスト。
思い入れを語っていた『自慢の息子』はもちろん、「ディズニーの初ミュージカル作品であり、僕にとっても初ミュージカルでした」という『美女と野獣』のナンバー、「よくコンサートでも歌ってますが、何度歌っても良い曲!」という『魔法にかけられて』のナンバー等々...を披露。
そしてもちろん、『ライオンキング』シンバ役への挑戦の発表では、お客さまから悲鳴のような歓声が!
2016年は、海宝さんの活躍から、目が離せない年になりそうです。
取材・文・撮影:平野祥恵
【公演情報】
●劇団四季『ライオンキング』
・東京公演...四季劇場[春]にてロングラン上演中
3月31日(木)公演分まで発売中
4月1日(金)~8月31日(水)公演分 一般発売:12/20(日)
・大阪公演...
5月15日(日)まで大阪四季劇場(ハービスENT内)にて上演中
●劇団四季『アラジン』
大同生命ミュージカルシアター 電通四季劇場[海]にてロングラン上演中
2016年12月31日(土)公演分まで発売中