大作ミュージカルの代名詞にしてミュージカルの金字塔、『レ・ミゼラブル』が、9月20日の夜公演をもって国内上演回数3000回を達成しました!
ヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作とし、19世紀初頭のフランスの動乱期を舞台に「無知と貧困」「愛と信念」「革命と正義」「誇りと尊厳」といったテーマを描く壮大な作品。
映画版の大ヒットも記憶に新しく、劇中歌『夢やぶれて』も広く知られています。
日本では1987年に初演。
28年の間には、数多くの俳優がこの作品に関わり、この作品がデビューだった俳優や、この作品からスター街道へと歩を進めた俳優も多数。
スターを生み出す作品とも呼ばれ、そういった面では、日本ミュージカル界の礎を築いた作品とも言えましょう。
2015年は4月の東京・帝国劇場を皮切りに、愛知、福岡、大阪、富山と全国をまわり、現在はツアー最終地・静岡市清水文化会館マリナートで公演中です。
【バックナンバー】
3000回を迎えたこの日は、本編終了後、舞台上で特別カーテンコールが行われました。
通常のカーテンコール後、再度オーケストラが『Red and Black』を奏でると同時に、スクリーンには
「ミュージカル『レ・ミゼラブル』日本上演通算3000回達成!」
と大写しに。
同時に客席から沸く歓声!
そして舞台上には、(2015年カンパニー全員ではないものの)本日出演していないキャストも登場です!
ジャン・バルジャン3人衆も揃い踏み。
マダム・テナルディエ役、森公美子さんの進行で特別カーテンコールは行われました。
まず森さんから
「ロンドンの『レ・ミゼラブル』は、今年で30周年を迎えました。私たち日本の『レ・ミゼラブル』は1987年に初演を迎え、帝国劇場を中心に全国各地を回り、そして本日ここ、清水文化会館マリナートにて3000回に達しました!」
とお客さまに3000回達成のご報告です。
もちろん客席は拍手&歓声。
続けて「これもすべて、『レ・ミゼラブル』を愛してくださるお客さまがいらっしゃるからこそ。本当にありがとうございます。
3000回に至るまでにはたくさんのスタッフの皆さま、たくさんのオーケストラの皆さま、そしてたくさんの出演者の皆さまがいらっしゃいました。その中でもやはり作詞をしてくださった陰の立役者である岩谷時子先生は、今は天国で私たちを応援してくださっていると思います。斉藤晴彦さんも天国にいらっしゃると思います。見てますかー!3000回を迎えましたよー!
そして皆さんの応援を受けて、3000回を迎えることができました」
と謝辞が述べられました。
続けてジャン・バルジャン役の皆さんからのご挨拶も。
まず、この日のステージに立っていた福井晶一さん。
「3000回という節目の舞台に出演することができ、本当に嬉しく思っています。3000回とひと言で言っても、本当にたくさんの出来事があって、たくさんの努力があって、この回数を重ねてきたことと思います。
そして今日このように劇場に来てくださるお客さまの温かいご支援がなければ達成することが出来なかったと思います。本当にありがとうございます。
初演からたくさんの方々がこの作品に携わって、作り上げてきた3000回だと思います。僕たちはその気持ちを受け継いで、明日の3001回目からまた毎日、1回1回を大切に演じていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします」
ヤン・ジュンモさんは
「私はいま『レ・ミゼラブル』でここに立っていることがとても幸せです。3000回という歴史的な瞬間を皆さんと一緒に過ごすことができ、光栄です。これまで28年間この作品を守ってきた、多くの俳優、スタッフ、オーケストラさん、そしてたくさんの観客の皆さまに感謝します。これからも続く『レ・ミゼラブル』の歴史が楽しみです。ありがとうございました、カムサハムニダ」とご挨拶。
2011年からバルジャンを演じている吉原光夫さんは
「このような素晴らしい機会に、舞台上で皆さんと一緒にいられることを光栄に思います。そして1987年に帝国劇場でスタートした『レ・ミゼラブル』、28年回で3000回。先ほどそうスタッフさんに聞いた時「重いな」と思いました。この舞台に立つことは、もちろんお客さんやスタッフさんがいなければ無理なんですが、このお芝居に役者として立つということは、すべての役において、非常に重いことなんだなと思いました。そして今までその重みを背負って、ふたつの足でこの舞台に立って、ずっと繋げてきてくれた人たちがいるんだなと思うとすごく感慨深くなります。まだまだ、これからも『レ・ミゼラブル』は続いていくと思いますので、ぜひ皆さん、生きている限り...いや、死んでも(笑)最後まで一緒にいてください。本日はありがとうございました」と話しました。
最後に森さんから改めて「『レ・ミゼラブル』を愛してくださってありがとうございます」と感謝の言葉が述べられたのち、舞台上&客席で『民衆の歌』の大合唱。
バルジャンの皆さんが揃って口にしていた、ここまで『レ・ミゼラブル』を繋いできた先達への思いを聞いた直後の『民衆の歌』は、いつも以上にしみじみと心に染み入りました。
皆さんが戦ってきた末の、この記念すべき大記録なんですね。
客席も、舞台上も、『レ・ミゼラブル』愛に溢れていた、素敵な記念日でした。
==2015年公演より==
取材・文・撮影(3000回カーテンコール):平野祥恵(ぴあ)
舞台写真提供:東宝演劇部
【公演情報】
・9月24日(木)まで 静岡市清水文化会館マリナート