『嫌われる勇気』稽古場取材レポート

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■『嫌われる勇気』vol.1■

ウォーキング・スタッフ プロデュース『嫌われる勇気』がまもなく開幕します。

原作は、Amazonの2014年書籍年間ランキング1位に輝いた、大ヒット本。
内容は、フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される、アルフレッド・アドラーの思想を紹介したもの。
といっても堅苦しさはなく、アドラー心理学を"青年と哲人との対話"の物語形式でわかりやすく説いています。

アドラーは、日本ではフロイト、ユングほどの知名度がないのですが、欧米では絶大な支持を誇っています。
その内容は「どうすれば人は幸せに生きることが出来るか」という哲学的な問いに、きわめてシンプルかつ具体的な答えを提示するもの。
「嫌われる勇気を持つことこそが、幸せな人生に繋がる」というアドラーの考えはいま、多くの共感を呼んでいます。

...と、ここまでは書籍のご紹介。

舞台ではなんと、この(物語形式とはいえ)心理学の専門書が、スリリングなサスペンスに生まれ変わります!
脚本・演出を手がけるのは、今年の2月に第22回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞したばかりの和田憲明
緊迫した濃密な演劇空間を生み出す手腕に評価が高い彼が、原作に登場する「哲人と若者」をさらに複数の登場人物に分割、そのキャラクターたちの人間関係を描くことで物語性を深めると同時に、アドラー心理学への理解も深まっていく...という、概要を聞くだけで知的好奇心が刺激される内容!

キャストは利重剛小嶋尚樹愛加あゆ黒澤はるか伊達暁の実力派5名のみ。
まさに和田演出の真骨頂、息詰まる濃密な空間が生まれそうです。


9月某日、その稽古場を取材してきました。
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原作の"哲人"にあたるのが、利重剛さん扮する香月
アドラー哲学の教えを説く、大学教授です。
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世界はどこまでもシンプルである
人は変わることができる
そして、だれでも幸福になれる

...そう説く、アドラー研究者の香月。
様々な傷や苦しみを持つ人々は、人生はそんなに単純じゃない、とその言葉をすんなり受け入れることが出来ません。

そんな彼に教えを請うていた娘がいました。
大学生の木戸陽子
...教えだけではなく、もしかしたら助けを求めていたのかも?
演じるのは黒澤はるかさんです。
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人は変われない。私の友人は、小さい頃にいじめにあって引きこもりになってしまった。彼女は本心から変わりたいと思っている。なのに外に出られない」と主張する彼女に、香月はアドラーの哲学にのっとってシンプルに明確に、「それは違う」と説いていきます。
その言葉はなかなか、グサグサと心に突き刺さります...。

黒澤さんからは、抑えた悲壮感がにじみ出ていて、見ていてなんだか悲しくなります。
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利重さん扮する教授は優しそうで、説明が明確で、穏やかで、こういう人がアドラーの研究をするのかなあ、と納得なのです!
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そして緻密な舞台セット!
もはやここ、稽古場ではなく研究室です。
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陽子と同じく、香月の語る内容に「世の中、そう単純に理屈や奇麗ごとが通るわけじゃない」「偽善だとしか思えない」と語るのは、陽子の父・木戸。
木戸は刑事です。
娘が事故で死に、その死が自殺ではないかと疑い、彼女が熱心に通っていた教授のもとに、話を聞きに来たのですが...。
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そしてちょうど抱えていた事件に思いを馳せます。
実の母と、義理の父を惨殺し、逮捕され、頑なに黙秘している女、下村。
香月(アドラー)の理論で言えば、彼女もまた、「幸せになれる」のか?

物語は、香月の研究室と、下村の取調室を行き来し、事件の真相へと迫っていきます...。
すごく"気になる"展開なんですよー!
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木戸刑事=小嶋尚樹さん。
アドラーの理論を受け付けないのがわかる、いかにもな叩き上げ刑事風!
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木戸刑事の相棒、恩田刑事=伊達暁さん。
若手とベテランの中間らしい、ちゃっかり感もありつつ、きちんと刑事としての正義感もあるような感じでした。
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そして、キーパーソンである、両親を惨殺した殺人犯、下村は愛加あゆさん。
元宝塚トップ娘役の愛加さん。その天使のようなパブリックイメージを覆す、ハードな役柄に、体当たりで挑んでいます!
愛加さん、目が笑ってないです...。
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愛加さんの、鬼気迫る表情から目が離せません。
この作品、おそらく愛加さんにとっても、女優人生のターニングポイントになりそうな気がします。
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下村はなぜ、両親を殺害したのか?
そして、そんな彼女にも、救いはあるのか...?
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緊迫のやり取りの全貌は、ぜひ本番の舞台で!

取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)


【公演情報】
9月26日(土)~10月4日(日) 赤坂RED/THEATER(東京)

★当日引換券 発売決定!★
9月29日(火)0:00~各公演前日の23:59まで
※詳細はチケットリンク先にてご確認ください。

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