9月11日(金)より、『AZUMI ~幕末編~』が開幕します。
8月にAKB48を卒業した川栄李奈が、女優としての第一歩を踏み出す作品としても話題!
原作は小山ゆうによる傑作コミック。
刺客として育てられた少女・あずみが、苦悩しながらも強く生きる物語です。
鮮烈な印象を残す主人公あずみは、これまでに映画では上戸彩が、舞台では黒木メイサがを演じてきていますが、今回川栄李奈が演じる"新・あずみ"は、どんな少女になるのでしょうか...!?
また物語は戦国時代を舞台にした<第一部>、幕末を舞台にした<第二部>がありますが、今回は初めて"幕末編"が上演されます。
歴史上のスターも多く登場する幕末の動乱期、どんな物語が紡がれるのでしょう...。
開幕も目前に控えた9月某日、その稽古場を取材してきました。
改めて、あずみ=川栄李奈。
おバカキャラでブレイクした川栄さんですが...。
観劇の際、そのイメージを抱いて行くとおそらく衝撃を受けます。
主人公であるあずみの膨大なセリフ、膨大な立ち回り...その量を感じさせず、まるで息をするかのように自然にそこに、あずみが居ました。
殺陣もキレがあり、新たなアクション女優の誕生すら予感させます!
そしてそういった技術的なものにもまして何より、あずみの本質を見抜いているのだろうと思わせる、その佇まい。
それは、刺客=人殺しの宿命を持った少女の、孤独と悲しみです。
ふとした表情、賑やかな笑いのシーンですら、その陰を感じさせます。
改めて言います。「川栄あずみ、スゴイ!」
アドリブをぶち込む余裕も。
そんな時の笑顔はひたすら可愛い!
そして川栄あずみを取り巻く若きイケメンたちも、並々ならぬ情熱と、才能を漲らせていました。
坂本竜馬=浅香航大。
『マッサン』で注目を集めた浅香さんが、幕末のヒーロー竜馬を演じます。
飄々として正義感のあふれた、いわゆる世間一般が抱く坂本竜馬のイメージをしっかりと抑えつつ、悲しみを背負った少女・あずみに心を揺り動かされる竜馬像は、新鮮味があって面白い。
物語の中に確かに息づく竜馬です。
そして「刀のない時代を作りたいんじゃ」と言う竜馬の言葉は、おそらくこの物語のテーマであるような気がします。
別れて育ったあずみの双子の兄?弟?の、向駿介=渡部秀。
あずみ同様、時代の激流に流されていく駿介ですが、渡部さんの目ヂカラが、どこか希望を感じさせるのです...。
じゃれあうきょうだいの姿は、ほっと和むシーンでもあります。
双子のため、自分が姉だ!兄だ!と譲らないきょうだいですが、頼れる兄貴っぽさ、人懐っこい弟っぽさ、どちらも感じさせる渡部さん、なんだか不思議。
そして駿介は物語の語り部でもあるので、もの凄いセリフ量なのですが、渡部さんのセリフ回しが聞き取りやすく安心します。
駿介の友人、圭次郎=久保田秀敏。
穏やかで優しげな顔から、追い詰められていく表情の変化が鮮やか。
またその変化の葛藤と切なさも、きちんと伝えてくれます。
友人である駿介と圭次郎、ふたりの間の物語もまた、この作品の重要な柱になってきます。
あずみの宿敵・壮太は早乙女友貴。
殺陣のプロ・友貴さんは、なんだかもう、佇まいが違います!
そしてスピード感が違います!!
目が惹きつけられる、華やかさ。
しかしその早乙女壮太に対峙する川栄あずみも負けてない!
大衆演劇とアイドルと、畑は違えど、自分の見せ方・魅せ方をわかっているふたりの立ち回りは、稽古場からすでに見応え十分!
町田慎吾さんは、悪役・敵役ポジションを。
悪っるい顔で笑ってますねえ...。
あずみと敵対する役柄を複数演じる町田さんですが、欲望ギラギラの悪役と、苛烈な役、似て非なる役柄の演じ分けにご注目。
佐藤祐基さんも複数役をこなします。
骨太の演技で、この時代の泥臭さを体現しているよう。
そして底知れぬ不気味さも...。
岡本あずささんも、優しげな役に元気な役と、複数演じます。
泣かせの演技を見せたと思えば、この美しい顔とのギャップも楽しい、ハジけたコメディエンヌっぷりも。
稽古場の空気も見事に掴み、爆笑を巻き起こしていました。
そして細貝圭さんも怪しげな存在感を見せ付けます。
取材時は要所要所での登場でしたが、後半キーマンになっていきそうな...!
若き俳優たちのほとばしる情熱が注ぎ込まれたキャラクターが輝き、登場人物すべてが熱く、必死にこの時代を駆け抜けていく『AZUMI ~幕末編~』。
その熱量に圧倒され、引き込まれます。
そしてアイドル、もしくは"若手イケメン"と称されている彼ら彼女らのポテンシャルの高さにも唸らされます。
これは、伝説の舞台が生まれそうですよ!
取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)
【公演情報】
9月11日(金)~24日(木) 新国立劇場 中劇場(東京)