国内外の様々なダンス・コンテストやダンスバトルで優勝し、日本、台湾、中国、韓国、ドイツ、フランスほかで、パフォーマンス、審査員、ワークショップなど行っているYoshie。日本を代表するダンスクルー、BE BOP CREWのメンバーであり、女性3人のチームebonyのメンバーとしても活躍し、多くのストリート・ダンサー達の尊敬を集める彼女が、ASTERISKに初登場。一体、どんな舞台を見せてくれるのだろうか?
----今回は、ヒロインのヒカルが10代で挑むキッズダンスコンテストの審査員役と、20代になってショーのオーディションを受けるクラブ"アスタリスク"のオーナーの2役ですね。全体を引き締める役割は、今回の座組みでのYoshieさんの位置づけと重なるようです。
「真面目というか、ドSな感じが、ものごっつ、かぶっていて、やり易いです(笑)。2役とも強い女性ですが、その強さの違い、そして人間性の違いも、きちんと見えるように演じたいですね」
----オーディションの場面のYoshieさんの振付は相当ハードだと、Koharuさんからうかがいました。
「オーディションって、簡単なことをさせる場合もありますが、やはり難しいことをどれだけできるか見て合否を決めるわけですから。私がオーディションをするなら、こうしたいなという振付にしました」
----具体的にはどういうものなのでしょうか?
「"オールド・スクール"と呼ばれる、ストリート・ダンスのベーシックを取り入れたんです。そこにフリースタイルを混ぜて、温故知新というか、そういうオリジナルの振付にして。若い世代のダンサーは恐らく、オールド・スクールをそんなに学んでいないんですね。でも、ストリート・ダンスがどこから来ているのか、とか、ベーシックなスタイルを通ったらこんなに楽しいんだよ、といったことを、彼らに知っておいてほしいという思いがありました。そういうのを、Koharuちゃんのような若いダンサーが踊っているのもまたいいでしょう? 他の場面で、彼ら自身のスタイルを踊る場面もあるので、ここで手こずるような振りをやってもファンは喜ぶだろうし、本番までにきちんと踊りこなしてくるはずですし。でもって、観に来た方の中で『私もあの動き、やってみたい』と思う人が現れれば『カモン、カモン』みたいな(笑)。ダンスの歴史をみんなで共有しようよ!という気持ちです」
----今回はYoshieさんにも台詞もあります。ダンスだけでなくお芝居もなさるというのは、いかがですか?
「10年以上前、ダンサーのJUNさんが立ち上げた"メルティンポット"というグループに参加していたのですが、そこにはSET(劇団スーパーエキセントリックシアター)の方もいて、お芝居とダンスで構成した舞台を何回かやりました。もともと、小学生のころは演劇部でしたし、本当はお芝居が大好きなんです。ただ、私は才能タイプではなく、努力しないとできないタイプなので、ダンスと両方やったら中途半端なことになるからと、その後はしばらくお芝居に絡むものはお断りしてきて。でも、一昨年、岸谷五朗さんが演出した『DANCE EARTH~生命の鼓動~』という舞台でお芝居をやる機会があり、やっぱり楽しいなと感じました。今回も台詞をいただけてとても嬉しいですね。勿論、役者さんから見たら、全然ですけど。ストリート・ダンサーは今後、ミュージカルなどの舞台にすごく必要とされてくると思うんです。そしてそこでは、ただダンスがうまいだけでなく、お芝居的なことも必要になってくる。私がやることで、若いダンサー達もそうしたものに興味をもってくれたら嬉しいです」
----ところで、Yoshieさんのダンスは、とても大きくてダイナミックな印象です。踊りというのはコンパクトにまとめたほうが動きやすいこともあるのではないかと思いますが、そうはしたくない......?
「性格ですね。小さく踊っていると不安になるんです、『だいじょうぶかな?』『みんな退屈してない??』って(笑)。昔はもっとわさわさしていて、『踊りがうるさい』とよく言われていたのだが、だいぶ削れてシンプルになってきました。常にエンジンがトップギアーのまま、がーーーーって行っていたところを、年齢を重ねる毎にコントロールできるようになり、バッとやったら次は引く、ということもできるようになってきて。今、良い感じですね。もっと良くなると思います。目標は、50歳になった時、『え!?』とびっくりされるダンサー。ジャズやコンテンポラリー・ダンスにはいるんですが、ストリートで、50歳でバリバリ踊っている女性って少ない。だから、そこを目指しています」
(取材・文:高橋彩子)
【公演情報】
5月8日(金)~5月10日(日)、東京国際フォーラムホールCにて。
当日券は各公演開演の1時間前より、会場正面入り口当日券売り場にて販売!