----今回演じるのは、クラブ「ASTERISK」の強気のトップダンサーです。
「名前がRinoですから、そのまんま（笑）。MIKEYさんは私をイメージして作ったんだと思います。彼とは前回の『ASTERISK』で仲良くなって。踊りのスタイルも好きだし、彼の世界観のファンになっちゃったので、彼が演出するなら、もちろん出演します、と言ったんです」
---共演者から演出者に変わったMIKEYさん。いかがですか？
「MIKEYさんを100パーセント信頼しています。私が出演する場面はすべて彼が振り付けてくれましたし、音楽も彼が作っていて、最後のショーの私のパートでは、録音ですけど私が自分で歌うんですよ。MIKEYさんの振付は、機械的なくらい、ビートにすごく敏感。エッジがあってシャープで、インパクトがあります。そうなると踊る側もクリーンじゃないと踊れないし、パワーを使いますし、息が止まりそうですね（笑）。まずは教わったものを身体に入れて、その上で感じるものを表現したいです。最近のダンサーは覚えがめちゃくちゃ早いんですけど、私は時間をかけて学ぶタイプ。まずは筋肉に覚えさせないとできないんです。完璧じゃないと嫌だし、といっても、課題を常にみつけるから完璧にはなれないんですけど、ちゃんとやりたいと思いながら毎回闘い、発見を繰り返しています」
----たとえば、どんな発見を？
「台本を読むのと実際に踊ってみるのとでは全然違いますし、自分の中で日々見えて来るものがあります。それに今回、Yoshieさんからインスパイアされることが多くて。私達はお芝居もするんですけど、Yoshieさんはダンスだけでなくすべてにおいて200パーセント、ソウルを入れて来るんです。一緒に舞台の上にいると、『この役はこう演じたほうがいいのかな？』といった感じで、色々なことがわかってきます」
----Rinoは、Yoshieさん扮するオーナーから厳しく扱われ、Koharuさん扮するヒカルという若手からも追い上げられますね。20代のKoharuさん、30代の仲宗根さん、40代のYoshieさんと、世代の違う三人のスターの競演は、大きな見どころとなりそうです。
「私はKoharuちゃんもYoshieさんも尊敬しているので、このメンバーで踊れて夢がかなった気分です。Koharuちゃんとは前回の『ASTERISK』で共演したのですが、一つ一つの動きがクリアだし、自分の中のソウルもすごく表現しているし、華があるし、ダンサーである以上に"スター"ですよね。カリスマだと思います。Yoshieさんとはずっと踊りたかったので、実現して光栄です。Yoshieさんは、ダンスそのものなんですよね。身体と精神がつながっているというか。基礎をすべて持っているだけでなく、感性があって、その表現力にノックアウトされますし、自分の未熟さを思い知ります。別次元にいる方なので、同じ舞台に上がるのは怖い部分もありますが、自分を揚げてくれる方と一緒にいたほうが自分も成長するはずなので、この経験はただただ有難いです」
----今回の作品は、ダンスについての物語になっています。共感する部分はありますか？
「すべて自分と同じというわけではないけれど、通じるものがあります。例えば親子の関係。親は『こうするのがあなたのため』と思っているんだけど、子どもにしてみれば『こっちを向いてほしい』『もっとこうしてほしかった』などと思うし。もちろん愛し合ってはいるでしょうけど、ずれているところもあるところが、考えさせられますね。そして何より、ダンスが自分にとってエスケープだったというところに、とても共感します。10代、20代はただただ踊りが好きで突っ走ってきたけれど、30代になってふと気づいたら、自分ができることも、人とのつながりも、行った国も、すべてがダンスのおかげ。ダンス・セイブ・ミーという感じで、本当に感謝しています。そのエネルギーを、舞台から皆さんに伝えたいですね」
（取材・文：高橋彩子）
【公演情報】
上演中～5月10日（日）、東京国際フォーラムホールCにて。
当日券は各公演開演の1時間前より、会場正面入り口当日券売り場にて販売！
