宝塚歌劇花組のトップ男役・明日海(あすみ)りおと、新トップ娘役・花乃(かの)まりあの新トップコンビお披露目となる『カリスタの海に抱かれて』『宝塚幻想曲(タカラヅカ ファンタジア)』が3月13日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。
第一幕の『カリスタの海に抱かれて』は、大石静脚本によるミュージカル。フランス革命のさなか、地中海に浮かぶ常夏の島・カリスタを舞台に、青年将校シャルルが愛と友情に揺れ動く様を描いたラブストーリーだ。明日海演じるシャルルは、カリスタ島に新しく赴任したフランス軍司令官。カリスタで生まれながらもフランスで育ったシャルルの目的は、フランスの動乱に乗じて故郷を独立させること。明日海は軍服が似合う、スマートで美しい佇まい。爽やかな好青年の雰囲気ながら、孤独に育ったシャルルの"陰"を繊細に表現している。一方で、積極的にアピールする島の女性アリシア(花乃)に戸惑う不器用な一面もあり、スマートな雰囲気とのギャップを見せながら観る者の心をくすぐる。
しかし、芹香斗亜(せりか・とあ)演じるシャルルの幼なじみで、独立派グループのリーダー・ロベルトの許嫁でもあるアリシア。そこで生まれる三角関係により、それぞれの人物に葛藤や苦悩が生まれ、ドラマを面白くする。花乃は島育ちのストレートで強気な女性を、芹香は島民の期待をひとり背負い、熱い想いで先頭に立つ男を情感豊かに表現。それぞれがどんな道を選択するのか、最後まで目が離せない展開だ。また、若きナオポレオンを演じる柚香光(ゆずか・れい)は、中盤からの登場ながらしっかりと存在感を放つ。緊迫感のあるフランス革命のシーンも見どころのひとつとなっている。
第二幕のレビューは、さまざまな花をモチーフにしたシーンが展開。幻想的な雰囲気のプロローグで幕が開き、和太鼓のリズムをベースにした華やかなシーンへ。羽根扇を使った美しい演出で、スタートから心を奪われる。また、ソフト帽を被り、ゴールドのスーツに身を包んでクールに踊ってみせたり、中詰めでは明日海が花魁姿で登場したり、『さくらさくら』をアレンジして黒燕尾で踊ったりと、見どころ盛りだくさん。8月の台湾公演も見据え、タカラヅカらしさと日本らしさを合わせた構成で、新生花組の一人ひとりが、キラキラとフレッシュな輝きを見せている。