2012年に東京のみで上演されたNODA・MAP『エッグ』が、2015年、オリジナルキャストで再演される。本作は、架空のスポーツ"エッグ"に情熱を注ぎ、オリンピックで頂点に立つ日を夢見るふたりのアスリートと、ひとりの女性シンガーソングライターを軸に展開する物語。妻夫木聡、深津絵里、仲村トオルらとともに名を連ねる藤井隆に、心境を訊いた。
「初演の『エッグ』は本当に"楽しかった!"という記憶しかないくらい、すごく居心地が良くて、アットホーム感があったんですね。橋爪功さんが家庭菜園で作られたお野菜を持ってきてくださったり、大倉孝二さんがサロンみたいに楽屋でレコードをかけてくださったり(笑)。だから、また初演のキャストが揃い、自分もその中に入れていただけたことが本当に嬉しいなと思います」。
NODA・MAP第17回公演「エッグ」撮影:岡本隆史
稽古場でも刺激的な日々を送っていたという藤井。「どの舞台でもそうなんですが、セットがないお稽古場で、どんな風にいたらいいのかなって、みんなで想像しながら作り上げていく作業がすごく楽しいんです!野田さんのアイデアを美術さんが模型にされたのを見て『すごいな~!』ってワクワクしたり。そんな瞬間がお稽古中に何度もあるので、本当に毎日刺激的なんです。今回は再演でどうなるかはわかりませんが、今からとても楽しみです」。
演じるのは、深津扮する人気シンガーソングライター、苺イチエの振付師・お床山(おとこやま)。劇中歌をはじめ、すべての音楽は、椎名林檎が書き下ろした楽曲だ。「芸能界やスポーツ界が大衆に与える影響が描かれていて、僕はスターのすぐそばにいる人の役。その中で、気持ちが引き裂かれそうになるくらい苦しい場面もあります。ですが本番中、共演者の皆さんと一緒に走らせていただく快感を味わわせていただきました。それと、深津さんが歌われるシーンが大好きなんです!とにかく可愛いんですよ。あの姿をもう一度近くで観られるのがすごく嬉しいですし、お客様にも味わっていただきたいです」。
NODA・MAP第17回公演「エッグ」撮影:岡本隆史
藤井にとって、同じ作品に同じ役で出演するのは初めての経験だ。しかも今回は大阪、北九州、パリでも上演される。「自分がどう変わるかも含めて、新たな楽しみがありますね。稽古で積み重ねてきても、お客様の反応で気付かされることもありますので、各地域での反応も楽しみにしています」。
取材・文:黒石悦子