7月17日東京・シアタークリエで、村井良大、佐々木喜英が主演する舞台『マホロバ』が開幕した。激しいアクションと壮大なストーリー展開でスペクタクルな舞台を創り出し、現在、演劇界で熱い注目を集めている30-DELUXが2004年に上演し、そのクオリティの高さから幻の傑作と呼ばれた作品が、キャスト・演出を一新して10年ぶりに蘇る。
物語は太古の日本が舞台。騎馬と鉄器の国「キバツクニ」の侵略を受けた島国「倭国」で、死肉喰らいの野生児と呼ばれ見世物小屋で虐げられるザッパと、キバツクニの皇子ミズハ、ふたりの少年の友情と運命が、時代の動乱の中、翻弄されていく。彼らが倭国のどこかにあると信じる楽園「マホロバ」は本当にあるのだろうか...。
「倭国」と「キバツクニ」、さらに人の生命を司るヨモツクロスギを守る「樹海の民」、そして「流浪の民」...。民族間の戦いを軸に、人々の生き様を骨太に描き出すストーリーは、もはや歴史巨編か一大叙事詩とでも呼びたくなる壮大さ。約3時間の上演時間中、その間の一瞬も飽きさせないストーリーの巧みさに唸らされる。その物語世界を力強く生き抜いたキャスト陣の熱演がまた、見事だ。ザッパ役の村井良大は、声の出し方、立ち方、歩き方まで目を見張るほどの素晴らしい野生児ぶり。そしてそのピュアさに心が揺さぶられ、いつの間にか彼に感情移入して見てしまう。一方でミズハ役の佐々木喜英は、繊細で優しい少年時代から後半の冷徹な王の顔、その豹変も鮮やかで、さらにそう変わらざるをえなかった悲劇も説得力を持って演じている。加えてふたりともに立ち回りもスピーディで迫力たっぷり、見ごたえ充分。若手俳優と呼ばれる彼らのポテンシャルの高さと熱演っぷりに、一演劇ファンとしても頼もしく、嬉しくなった。
さらに、皇子イコマを演じる佐藤アツヒロのクールな悪役ぶりを筆頭に、彩輝なお、彩乃かなみ、サントス・アンナ、岸祐二、大和田獏、ふたりを取り巻く豪華キャストがそれぞれの役にピタリとハマり、物語に厚みを持たせた。清水順二ら30-DELUXのメンバーも戦乱に翻弄されつつも地に足を着けて生きる人々を、時にコミカルに、そして華やかなアクロバットで魅せる。舞台に立つすべてのキャラクターがしっかりと生き、それぞれのキャラクターの息吹から物語が、世界がうねり出す。舞台全体が息づいているような、熱い作品が誕生した。
初日の舞台では、カーテンコールで村井、佐々木から挨拶も。「無事に初日があいたことを嬉しく思います。立ち回りが多い舞台ですが、誰ひとり欠けることなく、このステージに立てていることが幸せ。明日からも気を抜かずに千秋楽まで頑張っていきます。ぜひまた『マホロバ』の素敵な空間に会いにきてください」と佐々木。村井も「怪我がないよう千秋楽まで突っ走っていきたい。最後まで応援してください」と話し、満席の客席も大きな拍手で舞台の成功を祝った。その後客電が点いても拍手は鳴りやまず、客席はスタンディングオベーションに。その熱気に驚きながらも嬉しそうに村井が「本当に感謝でいっぱい。これからもより良いものを作っていきたい」と再度挨拶をし、終幕となった。
東京公演は7月27日(日)まで行われる。
【公演情報】
・7/17(木)~27(日) シアタークリエ(東京)
・8/2(土)・3(日) 名鉄ホール(愛知)
・8/9(土)・10(日) サンケイホールブリーゼ(大阪)
●追加トークショー 開催決定!●
チケット発売と同時に完売となった『マホロバ』トークショーですが、その後も寄せられた多くのご要望に応え、追加トークショーが決定!
【アフタートークショー開催日】
7月22日(火)夜の部 村井良大×30-DELUX
7月24日(木)夜の部 佐々木喜英×30-DELUX