6月日生劇場、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演されるハロルド・ピンター作×デヴィッド・ルヴォー演出 舞台『昔の日々』。
翻訳の谷賢一さんに本公演について語って頂きました!
★★★
ハロルド・ピンター作『昔の日々』、翻訳をやらせてもらいました、谷賢一です。
いつか絶対訳したい、と思っていた、僕にとって特別な作家、ピンター。こんなに早く、翻訳家として関わることができたなんて、驚きです。
そして演出家はデヴィッド・ルヴォー。前々から一度お会いしてみたいと思っていた辣腕・鬼才の稽古場は実に刺激的。喫煙者が僕と彼の2人だけなので、タバコ場でたまーに雑談がてら、ピンター作品の不思議と奇跡についてお話します。
ルヴォーと意見がばっちり合ったのは、こんなところ。
「ピンター作品にまつわる世間的なイメージ、不思議、難解、神秘的......。そんなもん、まるっきり嘘だ!」
「ピンター作品は、スリリングで、暴力的で、セクシー。それなのに不思議と笑える。ユーモアがある」
稽古場で立ち上がりつつある作品には、そんな不思議なブレンドがすでに匂い立ちつつあります。おいしく淹れたコーヒーは、苦くて、酸っぱく、でも甘くて柔らかい、複雑な味がするものですが、『昔の日々』もまた、とてもたくさんの味がブレンドされていて、読むだけでは感じられない面白さが匂い立っています。
読むだけでは感じられない。そう、僕にとってもそうなのです。以前、イギリスに留学していた頃、いくつかピンター作品の上演を観てあまりの面白さに驚愕したものですが、今回、稽古場で、自分の訳した言葉にも関わらず、さらに奥行きのある味わいがルヴォーと俳優たちの間から生まれる瞬間を目にして、「読むだけでは感じられない」豊穣な味わいに驚いています。
※僕とピンターの「因縁」について、詳しくは自分のブログに書きましたので、よろしければこちらもどうぞ。
麻実さん、若村さん、堀部さんという手練にして個性豊かな俳優陣の掛け合いにもうっとりしちゃうね。特に麻実さま、素敵です。僕は基本的にロリコンなので、年上の女性をこんなにセクシーに感じたのは初めてかもしれません。相手に挑みかかる言葉の艶やかさ、視線の鋭さ。攻撃されてたじろぐ堀部さんの当惑も実にチャーミングで、その二人の間を漂う若村さんは女性の持つ無垢さ・透明さゆえの魔性を感じて、これもまた目を奪われます。
僕は思います。ピンターはやはり、難解ではない。学術的に読み解くことも可能ですが、生身の人間同士の接触の中でこそ、本当のピンターの匂いは感じられる。ハロルド・ピンターというノーベル文学賞作家について、今まで味わったことのない方は、ぜひ劇場で、五感から、ピンター文学、ルヴォーの演劇の色気と匂いを感じてみて下さい。
★★★
『昔の日々』
【作】ハロルド・ピンター
【演出】デヴィッド・ルヴォー
【出演】堀部圭亮 若村麻由美 麻実れい
《東京公演》
2014年 6月 6日(金)~ 6月15日(日)
【会場】日生劇場
【席種】S席 8,000円 A席 5,000円 (全席指定・税込)
【一般発売】発売中
※6月7日(土)17時公演終演後、演出家デヴィッド・ルヴォーによるアフタートークショー開催。
※6月8日(日)13時公演終演後、演出家デヴィッド・ルヴォーのワークショップ開催。
●焼菓子付きチケット発売中!
マキシム・ド・パリ焼菓子付S席 8000円
【受付期間】5月24日(土)10:00~5/30(金)23:59
【受付公演】6月7日(土)12:00/17:00
6月10日(火)14:00
6月13日(金)14:00
6月14日(土)12:00/17:00
※焼菓子のお渡しは公演当日となります。詳細は、チケット券面にてご確認下さい。
《大阪公演》
2014年 6月19日(木)~ 6月22日(日)
【会場】シアター・ドラマシティ
【席種】S席 8,000円 (全席指定・税込)
【一般発売】発売中